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1980年代

1987年の映画4

1987年の映画4

■カンヌ国際映画祭

★パルムドール:「悪魔の陽の下に」監督:モーリス・ピアラ
※ジョルジュ・ベルナノスの小説「悪魔の陽の下に」の映画化。北フランスの寒村。主任司祭スグレ神父(モーリス・ピアラ)のもとで助任司祭ドニサン(ジェラール・ドパルデュー)は厳しい修行によって神への絶対的な信頼を求めるが、意に反し悪魔と出会い、人の心を見透かす力を得てしまう。そして、恋人を殺したことで絶望している少女ムシェット(サンドリーヌ・ボネール)の魂を救おうと懸命になる。だがムシェットは……。
パルムドール受賞作でありながら、現在VHSはあるが、DVDは発売されていない。
> YouTubeの"Sous le soleil de satan" de Maurice Pialat
監督のモーリス・ピアラ(マウヒス・ピァラ)は1925年8月21日フランス生まれ。2003年1月11日没。映画監督になる前は画家だった。また、監督自身が出演することが多い。俳優ではこの「悪魔の陽の下に」をはじめジェラール・ドパルデューやサンドリーヌ・ボネールをよく起用している。寡作な監督である。
> YouTubeのMaurice PIALAT (1925-2003)
モーリス・ピアラの他の作品には、愛を求め、愛に傷つきながらも成長してゆく少女(サンドリーヌ・ボネール)の姿を描いた「愛の記念に」 (1983年:YouTubeのA nos amours - trailer) 、美しい犯罪者と警官の愛の行方を描いた「ソフィー・マルソーの刑事物語」(1984年:YouTubeのPOLICE (Maurice Pialat, 1985) MoC Series trailer) 、ジェラール・ドパルデュー主演で家族の絆を描いた「パパと呼ばないで」(1995年) がある。

★監督賞:ヴィム・ベンダース「ベルリン・天使の詩
※ヴィム・ベンダースは1945年8月14日ドイツ・デュッセルドルフ生まれ。大学を中退しパリで絵画や彫刻を学ぶ。しかし、まもなく帰国しミュンヘン大学で映画を学びつつ映画批評を書くようになる。また在学中に数編の映画を制作している。その後ニコラス・レイ監督のアシスタントを経て、監督作の発表を始める。「パリ・テキサス」(1984年)でロードムービーを代表する監督となり、ニュー・ジャーマン・シネマの開拓者との評価を得る。小津安二郎監督に心酔していることでも知られる。
「ベルリン・天使の詩」は、ヴィム・ヴェンダース、ペーター・ハントケが脚本を、名キャメラマンのアンリ・アルカンが撮影を、ユルゲン・クニーパーが音楽を担当。
守護天使ダミエル(ブルーノ・ガンツ)は、長い歴史を天使として見届け、人間のあらゆるドラマを寄り添うように見守った。だが親友の天使カシエル(オットー・サンダー)に永遠の生命を放棄し、人間になりたい、と打ち明ける。やがてサーカスの空中ぶらんこ芸人、マリオン(ソルヴェーグ・ドマルタン)に想いを寄せるダミエルはついに「壁」を境に東西に隔てられた街・「ベルリン」に降り立った。
「全てのかつての天使、特に(小津)安二郎、フランソワ(トリュフォー)、アンドレイ(タルコフスキー)に捧ぐ」というクレジットで終わるが、ヴェンダースは2007年、インタビューに応えて今ならロベール・ブレッソンとサタジット・レイを必ず加えると述べた。
> YouTubeのDemjen: Szabadsag vandorai + Wenders: Berlin felett az eg
ヴィム・ベンダースの他の作品には、ペーター・ハントケの前衛小説を映画化したヴェンダース監督初の劇場用長編。試合を退場させられたプロサッカー選手の姿を描いた「ゴールキーパーの不安」(1971年:YouTubeのThe Goalkeeper's Fear of the Penalty)、ナサニエル・ホーソーンの名作「緋文字」をゼンタ・ベルガー主演で映画化した「緋文字」(1972年)、アメリカに旅行記を執筆するために来たドイツ人作家フィリップ・ヴィンター(リュディガー・フォーグラー)と9歳の少女アリス(イェラ・ロットレンダー)との心の交流を描いた、即興撮影を用いたロード・ムービー3部作の第一作「都会のアリス」(1973年)、ナスターシャ・キンスキーのデビュー作で、作家志望の青年ヴィルヘルム(リュディガー・フォーグラー)が旅行を通じて様々な人と出会いながら、自分探しに意味を見出せなくなっていく様子を描いたロード・ムービー3部作の2作目「まわり道」(1974年:YouTubeのHanna Schygulla & Nastassja Kinski)、自由気ままにさすらいの旅を続けている映写技師の姿を即興撮影によって描いたロード・ムービー3部作の3作目「さすらい」(1975年:YouTubeのIm Lauf der Zeit)、詐欺師トム・リプリー( デニス・ホッパー)が、白血病を病む額縁職人のヨナタン(ブルーノ・ガンツ)を殺人事件に巻き込んでいく様を描いたサスペンス「アメリカの友人」(1977年:YouTubeのDER AMERIKANISCHE FREUND - HQ Trailer (1977))、肺がんのため死期の迫った映画監督ニコラス・レイとの共同作業を綴ったドキュメンタリー「ニックス・ムービー ― 水上の稲妻」(1980年)、ポルトガルでSF映画を撮影していたスタッフは、資金難から中断を余儀なくさせられる「ことの次第」(1981年ヴェネチア国際映画祭金獅子賞:YouTubeのDer Stand der Dinge)、フランシス・F・コッポラ製作総指揮でハードボイルド小説の元祖ダシール・ハメットを主人公にしたジョー・ゴアズの小説「ハメット」をセピア調の映像で映画化した「ハメット」(1982年)、失踪した妻(ナスターシャ・キンスキー)を探すためテキサスの街・パリを目指す男(ハリー・ディーン・スタントン)の孤独と家族の絆をサム・シェパードの脚本を得て描いたロードムービーの傑作「パリ、テキサス」(1984年カンヌ国際映画祭パルム・ドール:YouTubeのParis, Texas promo)、小津に縁のある人たちにインタビューしたり、東京の風景を記録してゆく小津安二郎監督へのオマージュ「東京画」(1985年:YouTubeのTokyo-Ga)、世界的ファッションデザイナー・山本耀司の創作活動を追ったドキュメンタリー「都市とモードのビデオノート」(1989年:YouTubeのAufzeichnungen zu Kleidern und Stadten)、友人のダミエルが人間になったためひとり取り残された天使カシエルも人間になることを願っていた。「ベルリン・天使の詩」の続編「時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!」(1993年カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ:YouTubeのIn weiter Ferne, so nah!)、ミケランジェロ・アントニオーニとの共同監督作で4話のオープニングと挿話をヴェンダースが担当。ソフィ・マルソーらが出演した「愛のめぐりあい」(1995年:YouTubeのKim Rossi Stuart- Al di la delle nuvole)、映画の録音技師ヴィンター(リュディガー・フォーグラー)のもとにリスボンにいる監督モンロー(パトリック・ボーショウ)から助けを求める絵葉書が届きヴィンターはリスボンを目指すロードムービー「リスボン物語」(1995年)、ビデオスコープというプロジェクターを発明したスクラダノウスキー兄弟の回想録で映画の誕生を扱った「ベルリンのリュミエール」(1996年:YouTubeのdie gebruder skladanowsky)、バイオレンス映画の製作者マックスは謎の一味からの襲撃され拉致監禁されてしまう。ビル・プルマン、アンディ・マクダウェル、ガブリエル・バーン他が出演したサスペンス「エンド・オブ・バイオレンス」(1997年)、キューバのミュージシャンたちの最高にセクシーな音楽と彼らの人生の哀歓を生き生きと描き出したドキュメンタリーの傑作「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」(1999年:YouTubeのBUENA VISTA SOCIAL CLUB - TRAILER)、U2の同名曲を映画に翻案した純愛物語。謎めいた美女・エロイーズ役のミラ・ジョヴォヴィッチ、親友を亡くし、彼女一途になるトムトム役のジェレミー・デイヴィスらが心に傷を抱えた人物を繊細かつ共感を込めて演じた「ミリオンダラー・ホテル」(2000年:YouTubeのThe Million Dollar Hotel - American trailer)、アキ・カウリスマキやジム・ジャームッシュら15人の巨匠監督たちによる10分間の短編を集めたオムニバス「10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス」(2002年:YouTubeのTen Minutes Older : The Trumpet (trailer))、スキップ・ジェイムスやJ.B.ルノアーら伝説のブルースマンの音楽に生きる人生を綴ったドキュメンタリー「ソウル・オブ・マン」(2003年:YouTubeのThe soul of a man (1/7))、イスラエルで育った少女ラナ(ミシェル・ウィリアムズ)がアメリカで再会したベトナム帰還兵の伯父ポール(ジョン・ディール)と共に、謎の殺人事件を追ってアメリカ縦断の旅に出る、アメリカ同時多発テロをテーマにした「ランド・オブ・プレンティ 」(2004年:YouTubeのLand of Plenty (2004) trailer)、脚本のサム・シェパードが主役の西部劇スター、ハワード・スペンスを演じた回顧的な作品「アメリカ、家族のいる風景」(2005年)がある。

★主演男優賞:マルチェロ・マストロヤンニ「黒い瞳
※「黒い瞳」はニキータ・ミハルコフ監督がアントン・チェーホフの短編を基に制作。湯治場で美しいロシア人の人妻・アンナ(エレナ・ソフォーノワ)と出会い、一夜をともにしたロマーノはアンナとの新生活のために妻エリザ(シルヴァーナ・マンガーノ)と別れる決意をするが、妻に実家が破産したと告げられ・・・そして衝撃のラストが待っていた。
マルチェロ・マストロヤンニが実らぬ恋に悩む中年男の悲哀と愚かさを好演し主演男優賞受賞。
YouTubeのOci Ciornie aka Dark Eyes (Nikita Mikhalkov, 1987)
※マルチェロ・マストロヤンニは1924年9月28日イタリア北部のフォンターナ・リーリ生まれ。第二次世界大戦に従軍し捕虜も経験する。終戦後ローマで映画の制作スタッフとして働きながらローマ大学で演劇を学ぶ。その後ルキノ・ヴィスコンティ監督に認められ、1947年に俳優デビュー。やがてフェリーニ作品に頻繁に出演するようになり、多くの名作を残し世界的な名声を得る。1996年12月19日パリの自宅においてすい臓ガンで死去。
生涯において出演作は約170作にのぼるが、主な作品には、ヴィスコンティ監督がドストエフスキーの短編小説をニーノ・ロータの美しい音楽と幻想的なセット、そしてマストロヤンニやジャン・マレー、マリア・シェルの存在感あふれる演技で映画化した「白夜」(1957年:YouTubeのNoites Brancas (Le Notti Bianche), 1957)、高度経済成長期のローマを舞台に、上流階級の退廃を痛烈に描きカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞したフェデリコ・フェリーニ監督の「甘い生活」(1960年:YouTubeのLa Dolce Vita - Trevi Fountain Scene)、愛を失った夫婦(マストロヤンニ、ジャンヌ・モロー)が愛を取り戻すために虚しい試みを繰り返すミケランジェロ・アントニオーニ監督の「」(1960年:YouTubeのLa Notte Trailer)、ブリジット・バルドーと共演したルイ・マル監督の「私生活」(1961年)、マストロヤンニが新作の撮影を目前にして息詰まった映画監督・グイドを演じたフェデリコ・フェリーニ監督の代表作「8 1/2」(1962年:YouTubeの8 1/2 original trailer)、ピエトロ・ジェルミ監督の諷刺喜劇「イタリア式離婚狂想曲」(1962年カンヌ映画祭最優秀喜劇映画賞:YouTubeのDivorzio all'italiana : Pietro Germi (1961))、ソフィアローレンが野性的な色気を振りまくヴィットリオ・デ・シーカ監督のセックスにまつわる3話のオムニバス「昨日・今日・明日」(1963年:YouTubeのIeri Oggi Domani)、ソフィア・ローレンとマストロヤンニ主演でヴィットリオ・デ・シーカ監督が描く結婚の悲喜劇「ああ結婚」(1964年:YouTubeのMatrimonio all'italiana)、殺人をスポーツとして認めることになった未来社会を描いたロバート・シェクリィの短編『七番目の犠牲者』をマストロヤンニとウルスラ・アンドレス主演でエリオ・ペトリ監督が映画化したハードボイルド「華麗なる殺人」(1965年:YouTubeのla decima vittima)、ヴィットリオ・デ・シーカ監督が、不治の病に冒されたアメリカ人女性デザイナー(フェイ・ダナウェイ)とイタリア人技師の絶望的で燃えるような愛を描いた「恋人たちの場所」(1968年:YouTubeのTrailer A palce for lovers)、ソフィア・ローレンとの共演で、戦争によって切り裂かれた男と女の運命を壮大なスケールと美しい映像で描いたヴィットリオ・デ・シーカ 監督の「ひまわり」(1969年:YouTubeのひまわり)、クロード・ルルーシュが製作、マストロヤンニとカトリーヌ・ドヌーヴ主演で、J=L.トランティニアンの次女の実話をナディーヌ・トランティニャン監督が映画化した「哀しみの終るとき」(1971年)、ドイツ軍がイタリア人300名以上を虐殺した「アルデァティーネの悲劇」を題材にしたジョルジ・パン・コスマトス監督の社会派戦争アクション「裂けた鉤十字/ローマの虐殺」(1973年:YouTubeの裂けた鉤十字/ローマの虐殺予告編)、19世紀初頭、王政復古時代のイタリアで秘密結社「気高い兄弟たち」から脱げ出そうとする男の悲劇を描いたタヴィアーニ兄弟の「アロンサンファン 気高い兄弟」(1973年:YouTubeのALLONSANFAN-1973-ENDING)、マルコ・フェレーリ監督が生きることに絶望した4人の中年男たちの奇怪な行動を描いたブラックコメディ「最後の晩餐」(1973年:YouTubeのtrailer: The Grande Bouffe)、ジュゼッペ・パドローニ・グリッフィ監督、ラウラ・アントネッリ主演の絢爛豪華なエロティックドラマ「悦楽の闇」(1975年)、反ファシストの男(マストロヤンニ)と主婦(ソフィア・ローレン)のたった一日だけの恋を描いたエットレ・スコーラ監督の「特別な一日」(1977年)、ナスターシャ・キンスキー主演で妻子ある中年男と16歳の女子学生が、禁断の愛に溺れていく姿を官能的に詩情を込めて描いたアルベルト・ラトゥアーダ監督の「今のままでいて」(1978年)、好色なインテリ男がグラマーな美女(バーニス・ステガース)を追って迷い込んだ場所とは・・・フェデリコ・フェリーニ監督の「女の都」(1980年)、フェリーニ監督が老いた芸人コンビ(マストロヤンニとジュリエッタ・マシーナ)の心情を枯れたタッチで描いた「ジンジャーとフレッド」(1985年:YouTubeのGinger And Fred - Original Trailer 1986)、初老のアメリカ人(ジャック・レモン)が、40年ぶりに再会したイタリアの友人(マストロヤンニ)との交流によって、人間らしい心を取り戻していく姿を描いたエットーレ・スコラ監督の「マカロニ」(1985年)、ギリシャ北部を旅する初老の養蜂家(マストロヤンニ)を通して老いのあり方を描いたテオ・アンゲロプロス監督の沈黙の三部作第2作「蜂の旅人」(1986年)、イタリアの映画撮影所チネチッタ創立50周年を記念して、巨匠フェリーニ監督が映画への思いを綴った「インテルビスタ」(1987年)、エットーレ・スコラ監督がマッシモ・トロイージ、マリナ・ヴラディらの出演で、閉鎖の危機に追い込まれた映画館スプレンドールで働く男女3人の人間模様を描いた「スプレンドール」(1989年)、老いた父(マストロヤンニ)と成長した息子(マッシモ・トロイージ)の久しぶりの再会をあたたかいタッチで描いたエットーレ・スコラ監督の「BARに灯ともる頃」(1989年:YouTubeのChe ora e(trailer))、長年連れ添った夫の葬式の場で、ある男性から23年間にも及ぶ片想いを告白された一人の女性(シャーリー・マクレーン)の恋を描くビーバン・キドロン監督の「迷子の大人たち」(1992年:YouTubeのUsed People (1992) - Trailer)、ロバート・アルトマン監督がジュリア・ロバーツ、キム・ベイシンガー、ティム・ロビンス他の豪華キャストでファッション業界の裏側を描いた「プレタポルテ」(1994年)、マノエル・デ・オリヴェイラ監督が自らを投影した映画監督役にマストロヤンニを抜擢したロードムービー「世界の始まりへの旅」(1997年)などがある。

★主演女優賞:バーバラ・ハーシー「或る人々
※「或る人々」はアンドレイ・コンチャロフスキー監督作。日本未公開。
ニューヨークでジャーナリストをしているダイアナ(ジル・クレイバーグ)は、麻薬に溺れる娘のグレース(マーサ・プリンプトン)とのギャップを埋めるため、叔父一家の住むルイジアナ・ミシシッピーの外界と隔絶された沼地へやって来た。叔父の未亡人ルース(バーバラ・ハーシ)には3人の息子がいたが、自由放任のダイアナとは正反対の強引な教育方針で一家をまとめていた。やがて二つの家族は微妙に変化していく。
※バーバラ・ハーシーは1948年2月5日ハリウッド生まれ。1966年18歳でテレビドラマ出演。1968年映画デビュー。1988年の『ワイルド・アパート』でもカンヌ国際映画祭女優賞を受賞している。
バーバラ・ハーシーの他の出演作には、30年代不況期のアメリカ、貨車で放浪する娘(バーバラ・ハーシー)とアナーキストの青年(デイヴィッド・キャラダイン)たちがギャング団を結成し、労働者を苦しめる鉄道会社に復讐するため列車強盗をくり広げるという実話をマーティン・スコセッシ監督が映画化した「明日に処刑を…」(1972年:YouTubeの明日に処刑を…予告編)、「ローハイド」などの演出で日本にも馴染みのアンドリュー・V・マクラグレン監督が、看守を殺害して脱獄したナバホ・インディアンと白人の混血児(ジェームズ・コバーン)と彼を捕らえた保安官(チャールトン・ヘストン)との宿命の対決を描いた「大いなる決闘」(1976年)、色情霊にレイプされた女性の悲劇を描いたシドニー・J・フューリー監督のポルターガイストホラー「エンティティー 霊体/ヘルハウス」(1982年:YouTubeのThe Entity)、アメリカの最初の宇宙探査計画である「マーキュリー計画」を舞台に宇宙に夢を馳せた男たちの姿をサム・シェパード、スコット・グレンらの出演で描いたフィリップ・カウフマン監督の「ライトスタッフ」(1983年:YouTubeのThe Right Stuff Trailer)、ロバート・レッドフォード、グレン・クローズ主演、バリー・レビンソン監督の野球映画「ナチュラル」 (1984年:YouTubeのThe Natural - The Final Homerun)、デヴィッド・アンスポー監督が栄光と挫折を知るバスケットボールコーチ(ジーン・ハックマン)と田舎町の高校生チームの絆を描いた実話スポーツドラマ「勝利への旅立ち」(1986年:YouTubeのHoosiers)、ニューヨーク・マンハッタンを舞台に、ミア・ファロー、ダイアン・ウィースト、バーバラ・ハーシー演じる三姉妹をめぐる人々の人生をシニカルかつユーモラスに描いたウディ・アレン監督の「ハンナとその姉妹」(1986年:YouTubeのハンナとその姉妹 trailer)、バーバラ・ハーシーがジョディ・メイ、リンダ・ムブシと共にカンヌ国際映画祭女優賞を受賞した「ワイルド・アパート(A World Apart)」 (1988年)、イエスを人間的な側面から描いたニコス・カザンキザスの小説をマーティン・スコセッシ監督が ウィレム・デフォーやハーベイ・カイテル出演で映画化した「最後の誘惑」(1988年:YouTubeの最後の誘惑予告編)、ベット・ミドラー、バーバラ・ハーシー主演で全く対照的な女同士の友情を繊細に描いたゲイリー・マーシャル監督の「フォーエバーフレンズ」(1988年)、傑作写真集『裸の街(NAKED CITY)』生み出した写真家アーサー・H・フェリグ(通称ウィージー)の生涯をジョー・ペシ主演で描いたハワード・フランクリン監督のフィルム・ノワールの傑作「パブリック・アイ」(1992年)、マイケル・ダグラスが主演したジョエル・シュマッカー監督のパニック・アクション「フォーリング・ダウン」(1993年:YouTubeのFalling Down(1993))、スウィング・ジャズに魅了された青年達がナチスの時代に生きる苦悩を印象的に描いたトーマス・カーター監督の青春ドラマ「スウィング・キッズ -引き裂かれた青春-」(1993年:YouTubeのSwing Kids)、純粋で内気な女性(デブラ・ウィンガー)が、愛を知ると共に美しく変化していく姿を描いたスティーブン・ギレンホール監督のエロティックロマン「欲望(A Dangerous Woman)」(1993年)、原題の「Pallbearer」は棺を担ぐ人の意。就職活動中の青年(デビット・シュウイマー)と恋人(グウィネス・パルトロウ)そして自殺した同級生の魅力的な母(バーバラ・ハッシー)とのおかしな三角関係を描いたマット・リーヴスの監督第1作「ハッピィブルー(The Pallbearer)」(1996年)、ヘンリー・ジェイムスの小説「ある婦人の肖像」を、 ニコール・キッドマン, ジョン・マルコビッチらの出演でジェーン・カンピオン監督が映画化した「ある貴婦人の肖像」(1996年:YouTubeのThe Portrait of a Lady)、ジェームズ・アイヴォリー監督が、実在した有名な作家である父(クリス・クリストファーソン)と娘(リーリー・ソビエスキー)の絆を美しい映像で描いた「シャンヌのパリ、そしてアメリカ」(1998年:YouTubeのThe Soldier's Daughter Never Cries (Francis singing))、カート・ヴォネガット・JRの小説「チャンピオンたちの朝食」を映画化。自動車販売会社社長と彼を取り巻く個性的な人々が繰り広げる騒動を ブルース・ウィリス主演でアラン・ルドルフ監督がユーモラスに描いた「ブレックファースト・オブ・チャンピオンズ」(1999年:YouTubeのBreakfast of Champions - Trailer)、ヒラリー・スワンク.パトリック・スウェイジ出演、小さな町で起きる複数の事故や事件が複雑に絡み合うグレッグ・マルクス監督の「11:14」(2003年:YouTubeの11:14 trailer)、急病の母を見舞うため、ヒッチハイクで病院に向かう大学生が体験する恐怖を描いたスティーヴン・キングの短編をミック・ギャリス監督が映画化したサスペンス・ホラー「ライディング・ザ・ブレット」(2004年:YouTubeのMontado na Bala(Riding the Bullet)Trailer)がある。

★審査員特別賞:「懺悔(REPENTANCE)」(ソ連)監督:テンギズ・アブラゼ
※「懺悔(REPENTANCE)」は共産党独裁時代のグルジア共和国で製作された作品。ソ連の過去の悲劇を正面から扱い、スターリン批判ともとれる問題作で数年間発表が禁止されたが、その後ゴルバチョフ政権が進めるペレストロイカ(改革)、グラスノスチ(情報公開)の象徴的存在となりソ連国内で大ヒットしたテンギズ・アブラゼ監督の遺作である。
テンギズ・アブラゼは1924年1月31日グルジア・クタイシに生まれ。1994年3月6日没。
トビリシ演劇大学で学んだ後、モスクワの全ロシア国立映画大学を卒業。1953年より映画監督としてグルジア映画社に勤務し、短篇ドキュメンタリー作品の制作を始めた。
「幸せの樹」(1977年)、「懺悔」(1984年)などの作品で世界的に知られる。
> YouTubeの「懺悔(REPENTANCE)」 

★審査員賞:2作品受賞
☆「親鸞 白い道」監督:三國連太郎
※浄土真宗の開祖・親鸞の半生を描いた三國連太郎原作の小説「親鸞 白い道」を本作品で監督デビューした三國連太郎自身がストイックな映像で映画化した作品。森山潤久,大楠道代,泉谷しげる,ガッツ石松,加藤嘉が出演している。

☆「ひかり」監督:スレイマン・シセ
※遥か昔、不思議な力を持って生まれた少年ニャナンコロ。父親はその力を恐れ、彼を殺そうとする。母親によって逃がされたニャナンコロは、父に対抗するべく、より強大な力を手に入れる。子供から大人へと成長する過程での通過儀礼ともいえる旅を描きアフリカンニューシネマとして話題になったマリのスレイマン・シセ監督・脚本・制作のファンタジー。
スレイマン・シセは1940年マリ・バスコ生まれ。

★国際批評家賞:
☆「REPENTANCE」(ソ連)

☆「あなたがいたら/少女リンダ」(英国)監督:デヴィッド・リーランド
※1951年のイギリス。ひっそりとした海辺の田舎町を舞台に、唯一心を許していた母親亡き後、偽善的な父に反発するトラブルメーカーだった16歳の少女リンダ(エミリー・ロイド)が様々な男性経験を重ね、やがて自らの道を見つけてゆく姿を描いた少女の成長物語で、主人公リンダの複雑な心の揺れ動きを新鮮なタッチで描いたデヴィッド・リーランド監督の青春映画である。
デヴィッド・リーランドの他の監督作には、キャサリン・マコーマック、レイチェル・ワイズらの出演で第2次大戦中に農場の奉仕活動で出会った3人の女性たちの心の交流を描いた「スカートの翼ひろげて」(1998年)、リーアム・ニーソン主演で栄光のために戦う男の姿を雄々しく描いた「スピリット/傷だらけの栄光(THE BIG MAN)」(1990年)、ジェフ・ダニエルズ主演で死の恐怖にとり憑かれた男の混乱した日常を描いたブラックコメディ「チェッキング・アウト」(1989年)などがあり、またスティーヴン・スピルバーグとトム・ハンクスによって制作され、第二次世界大戦の実話に基づく物語を各話ごとに監督が替わって作られたテレビドラマシリーズ、「バンド・オブ・ブラザース」(2001年)でも監督を務めた。
> YouTubeのバンド・オブ・ブラザース予告編

☆「ガレリアの婚礼」(仏/ベルギー)監督・脚本:ミシェル・クレイフィ
※パレスチナ人の村長は、息子に伝統的な結婚式を挙げさせてやりたいとイスラエルの司令官に訴える。幾つかの条件付きで許可されるが、その結婚式の背後では司令官の暗殺をもくろむ青年グループや、それを阻止しようとする穏健派、イスラエルの秘密警察などが暗躍していた。
監督のミシェル・クレイフィは、1950年ナザレ(現イスラエル領)生まれのパレスチナ人。1970年にベルギーへ移住しブリュッセルの芸術・スペクタクル国立高等研究所を卒業。1980年に2人のパレスチナ人女性の生き方を描いたドキュメンタリー「豊穣な記憶」で監督デビュー。
その他に、インティファーダ(石)を通して犠牲者としてのパレスチナ人の視点から加害者であるイスラエルを告発した「石の賛美歌」(1990年)、結婚するためには祖母が南米で失くした「3つの宝石」を見つけ出さなくてはならない…パレスチナの神話的世界と武力闘争という現実が交差するクレイフィ監督の最後のフィクション「三つの宝石の物語」(1995年)などの作品がある。


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