◆日本映画
★「勝手にしやがれ!! 脱出計画
※次々とトラブルに巻き込まれていく勤労ハンパ者コンビを、黒沢清の脚本、喜久村徳章の撮影、トルステン・ラッシュの音楽で描いたコメディの第二作。
暴力団組長・神崎(団巌)は、娘アスカ(阿部由美子)が勝手に男と付き合っているのを知って激怒し、二人の調査を雄次(哀川翔)と耕作(前田耕陽)に依頼した。公園で抱き合うアスカの様子を隠し撮りしたビデオを見てさらに怒り狂った神崎は、相手の男である予備校生の木村(梶原聡)を連れてきたら200万出すという。耕作と、雄次たちに仕事を回している由美子(洞口依子)や栄(大杉漣)も200万と聞いて心を動かすが、雄次は断ってしまう。ある日、雄次は街で神崎組の芹沢(古井栄一)たちに追われていた木村を機転を利かせてかくまった。アスカは恋人というわけではなく、彼女の方から無理矢理誘われ、組長の娘とは知らず手を出してしまったらしい。このままでは叔父の住むオーストラリアに逃亡するしかないという木村の言葉に、雄次と耕作は目を輝かせるが…。
★「カナカナ
※29歳の女と13歳の男の子の同棲生活を、大嶋拓監督の制作・脚本・編集、JON BRAYの音楽で描いたドラマ。
1993年の夏、恋人・外村(瀬戸口郁)と別れた徳子(県多乃梨子)は実家に戻った。しかし、定職に就かず結婚もしない徳子にとって、実家も安息の場ではなかった。ある日、友人の中学校教師・美弥子(間宮かおる)につきあって登校拒否児の家庭訪問に行った徳子は、13歳の隆人(松崎健二)と出会う。そして数日後、隆人がコンビニでサンドイッチを万引きするところを目撃した徳子は、彼のアパートへついて行き、彼の母親が仕事で出掛けたまま帰って来ないことを知る。一方その頃、徳子にエリート・サラリーマンとの見合い話が持ち上がる。見合い当日、徳子が出がけに隆人の部屋に立ち寄ると、隆人がウイスキーで酔っぱらっていた。徳子は見合いをすっぽかして隆人の看病をした。母親の説教にいたたまれなくなった徳子は、翌日実家を出て隆人のアパートに転がり込む。徳子は、隆人が20歳になるまで面倒をみるという契約を交わし、29歳の女と中学生の奇妙な同棲生活が始まるが…。
★「きけ、わだつみの声
※学徒出陣した若者の遺稿手記集「きけわだつみのこえ」を基に、第二次大戦中の若者の生き様を、早坂暁の脚本、原一民の撮影、ギル・ゴールドスタインの音楽で描いた戦後50周年記念映画。
1995年の真夏、ラグビー場で仲間とスクラムを組んでいた鶴谷(緒形直人)は、タックルした瞬間に意識を失うが、次の瞬間、雨の神宮外苑でずぶ濡れになって行進する学生達の中にいた。鶴谷が周囲の学生に尋ねると、隣にいた学生たちは戦争だと答える。その学生たち、勝村(織田裕二)、相原(風間トオル)、芥川(仲村トオル)はそれぞれ明大、早稲田、東大のラガーメンだった。そして彼らは、生きて再びここでラグビーをやりたいという。鶴谷は1943年10月21日の、学徒出陣の大壮行会の真っ只中にいたのだ。何故兵役を拒否しないのか、戦争に反対しないのかと問う鶴谷を、誰もが一笑に付す。やむなく鶴谷は逃亡するが、勝村は陸軍少尉となりフィリピン戦線に送られる。彼は輸送船で相原と再会するが、やがて米軍の爆撃を受け、相原は足を銃撃され重症を負う。たどり着いたフィリピンの野戦病院では、橋本婦長(もたいまさこ)、津坂映子(鶴田真由)ら従軍看護婦たちが傷病兵の看病に追われていた。勝村はそこで特攻を初めて知り…。
> YouTubeのきけ、わだつみの声 劇場予告
★「君を忘れない
※太平洋戦争を生きた7人の若きゼロ戦乗りたちの恋と友情を、長谷川康夫の脚本、高間賢治の撮影、長岡成貢の音楽で描いた青春物語。
1945年、海軍の望月大尉(唐沢寿明)は特攻作戦への反発から腕のたつパイロットを育てるため、自ら隊長となり302特別飛行隊を組織した。しかし、集まった隊員は、肥満体で高所恐怖症の高松一飛曹(松村邦洋)、常にハーモニカを持ち歩くジャズ好きの佐伯少尉(池内万作)、東京帝大出で反戦主義者の早川少尉(袴田吉彦)、心に傷をもつ軍国少年・三浦少尉(反町隆史)、整備兵上がりの森一飛曹(堀真樹)、海軍兵学校をトップで卒業し、望月と確執を持つ上田少尉(木村拓哉)と、変わり者ばかりだった。しかも、上田と三浦以外はパイロットと呼べるような操縦技術を持ってなかった。しかし、激しい飛行訓練を通じて、バラバラだった七人に連帯感が生まれていった。ある日、早川は連れられて行った遊郭の娘・緑(水野真紀)と恋に陥ちる。望月の別れた恋人・志津子(戸田菜穂)に想いを寄せる上田は、事あるごとに望月と対立し…。
★「君といつまでも
※精神異常の男に監禁された女の夢と現実を描いた山本直樹のコミック「君といつまでも
フリーライターの茜(杉本彩)についてSMボンデージクラブへ行った静美(後藤宙美)は、会場で一人の男と出会う。酒に酔っていた静美は、その男に気を許し、男から貰ったハイになるクスリを飲んで気を失ってしまう。ベッドしか置いていないガランとした部屋で気づいた静美は、鎖でベッドにつながれていた。驚く静美にその男・加倉井(田口トモロヲ)は、君とずっと一緒にいたいんだと言って、彼女をその部屋に監禁してしまう。その頃、静美の兄・健治(有薗芳記)が父の法事の件で、田舎から上京して来ていた。しかし、妹のアパートへ行っても仕事先を訪ねても、静美の行方は分からない。茜が静美と最後に別れたボンデージクラブの屋上で、健治は加倉井の投薬袋を拾う。健治は、その袋に名前があった病院へ行くが、加倉井を見つけることは出来なかった。一方、友人から借りていたその部屋を明け渡すため、加倉井は静美をつれて海の近くのビルへ移る。その夜、静美は自分と兄の関係について加倉井に告白するが…。
★「斬り込み
※やくざの地上げに絡む抗争に立ち向かうトビ職人の男を描いた吉川潮の小説「斬り込み―平成残侠伝
幼い頃、任侠ヤクザの父を抗争で亡くした石神新三(世良公則)は、深川に住む父の親友・辰巳仙吉(菅原文太)にひきとられ、今は小頭として、若いトビ職人や町の人から慕われていた。とこらが、新三が住む長屋の家主・藤川正明(山口仁)が株で失敗し、多額の負債を抱えてしまうが、その裏には東京進出を狙う関西の暴力団・阿久津組が動いていた。正明は長屋を含めた自分の土地の権利書を阿久津(中尾彬)に奪われ自殺する。しかし、残された彼の妻・夕子(中村久美)は老舗の木材店や家屋敷、そして長年面倒をみてきた長屋の住民のために、阿久津たちの地上げに抵抗する。夕子にずっと憧れを抱いていた新三は、なんとか彼女を助けたいと思うが、喧嘩っ早い自分を押さえるために、不動明王の刺青を彫った時の誓いを破るわけにはいかなかった。ところが彼の前に、仙吉の実子で昔家出をしてヤクザ者になってしまった祐吉(内藤剛志)が現れ…。
★「藏
※新潟の蔵元の娘とその義母を中心にして旧家の波乱に満ちた変転を描いた宮尾登美子の原作を、高田宏治の脚色、森田富士郎の撮影、さだまさし、服部隆之の音楽で映画化した文芸ドラマ。
大正8年、吹雪となった一月の夜更け、新潟県亀田町の地主で蔵元二代目・田乃内意造(松方弘樹)の長女・烈(一色紗英)が生まれた。母の賀穂(黒木瞳)が病弱であったため、烈は賀穂の妹・佐穂(浅野ゆう子)が養育することになった。佐穂の献身的な世話で烈はすくすくと成長したが、小学校入学の直前、烈の目が夜盲症という失明に至る不治の病におかされていることが判明した。意造はあらゆる治療を試みたが効果はなかった。賀穂は、病平癒を願って越後三十三カ所の巡礼に旅立ち、その先で病死する。烈は佐穂を親代わりに成長していったが、そんな折、意造は二十歳以上も年の若い芸妓せき(夏川結衣)を後添えにした。烈は佐穂が後添えになるものとばかり思っていたので反発するが、佐穂は、黙って田乃内家を出る。意造とせきの間に待望の男子が生まれるが、事故に巻き込まれて死ぬ。意造はあまりの衝撃に脳卒中で倒れる。弱気になった意造は蔵を閉めると言い出すが、烈は、自分が酒造りをすると申し出て…。
★「クレイジー・コップ〜捜査はせん!
※ダメ刑事や怪しげな一味が巻き起こす騒動を、高橋洋の脚本、上野彰吾の撮影、小椋悟、飯田裕子の音楽で描いたスラップスティック・コメディ。
三ツ目署の刑事たちはダメなヤツばかりだが、特にヒドいのが、花村大吉(間寛平)だ。彼らは、毎日暇を持て余しては、怪しげな猫卍一味と無意味なおっかけっこをしていた。そんなある日、警視庁から国家機密漏洩事件の捜査のため小塚原警視(米山善吉)が三ツ目署に派遣されて来た。だが本当の目的は、彼の上司・久方(大竹まこと)の昇進土産のために事件のデッチあげることだった。そして容疑者にされたのは、猫卍家の一人娘で外務省に勤める昌代(渡辺典子)だった。いばりちらす小塚原の下、なんとか彼らの鼻をあかしてやろうと捜査に躍起になる花村たちは、やっとのことで昌代の兄・清一郎(神戸浩 )を捕らえるが、小塚原の邪魔が入って取り逃がす。そんな時、久方の愛人で秘密クラブを経営する女スパイ・明美(筒井真理子)が、昌代を拉致、監禁する。これを追って、花村たちや猫卍一味らが現場に急行し、昌代を巡って大立ち回りとなるが…。
★「極道の妻たち 赫い絆
※極道の世界に生きる女たちを描いた家田荘子の原作を、塙五郎の脚色、木村大作の撮影、小六禮次郎の音楽で映画化した人気シリーズ第8弾。
大阪の堂本組の一人娘・きわ(岩下志麻)は、生まれた時から極道の世界で揉まれ、並の極道より根性が据わっていると評判だった。堂本組の当代は病身のため引退し、跡目はきわの夫で若頭補佐の久村修一郎(宅麻伸)が継ぎ、きわも組の姐となる。襲名披露の日、対立する三東会の組長・後藤修造(萩原流行)の弟・信治(古田新太)がホテルできわを襲い、この騒ぎで久村は信治の子分を射殺してしまう。組のため幹部の村上(渡辺裕之)が罪を被り、きわも傷害罪で懲役となる。きわは三東会との和解のため久村と離婚し、5年後に仮釈放されてからも家へ戻らず姿を消した。きわが去って間もなく久村は元ホステスの眉子(鈴木砂羽)を後妻に迎えるが、組員の妻たちからは疎ましく思われる。また久村は幹部の兵頭(長谷川初範)と共に銀行やゼネコンと組んでドリームランド建設用地買収に取りかかり、組からヤクザ色を払拭しようとするが、武闘派連中に不満が燻る。ある日、先代の増吉(内田朝雄)が何者かに射殺され…。
> YouTubeの待ちや!
★「午後の遺言状
※避暑に訪れた別荘で過ごす老女優のひと夏を、新藤兼人の原作・脚色、三宅義行の撮影、林光の音楽で描いた人間ドラマ。
夏の蓼科高原に、女優・森本蓉子(杉村春子)が避暑にやって来た。彼女を迎えたのは30年間、その別荘を管理している豊子(乙羽信子)だった。豊子に、庭師の六兵衛が死んだことを知らされた蓉子は、六兵衛が棺桶に乗せたのと同じ石を川原から拾って棚に飾る。豊子には22歳の娘・あけみ(瀬尾智美)がいた。子供のいない未亡人の蓉子は、あけみを自分の子供のように可愛がっている。翌日、別荘に古い友人の牛国夫妻がやって来る。しかし、夫人の登美江(朝霧鏡子)は痴呆症になっていた。そんな登美江を元に戻したい一心で、夫の藤八郎(観世栄夫)は蓉子に会わせたのだが、チェーホフの『かもめ』の一節を空で言えたかと思うと、すぐに元の状態に戻ってしまう。そこへピストルを持った脱獄囚(木場勝己)が別荘に押し入って来た。だが、警戒中の警官が難を救ってくれた。翌日、牛国夫妻は故郷へ行くと言って別荘を後にする。やっと落ち着いた蓉子に豊子は、近く嫁入りするあけみは、豊子と蓉子の夫・三郎(津川雅彦)との子供だったと…。