■アカデミー賞
★作品賞:わが谷は緑なりき(ジョン・フォード)
※19世紀末、英国ウェールズ地方の炭坑町を舞台に、少年の目を通して描かれる時の流れと家族の姿。ジョン・フォード監督による不朽の名作。まるでカラー作品を思わせる美しい緑の谷での映像で撮影賞も受賞。
★監督賞:ジョン・フォード「わが谷は緑なりき」
★主演男優賞:ゲーリー・クーパー「ヨーク軍曹」
※第1次世界大戦で活躍し、いくつもの勲章を手にした実在の勇士ヨーク軍曹。彼の半生を映画化した、伝記映画の名作。
★主演女優賞:ジョーン・フォンティーン「断崖」
※夫の不可解な行動から、自分が殺されるのではないかと疑い始めた女の不安と恐怖。夫が持ってきたミルクの不気味な白さ。毒入りではないかと思わせるヒッチコックのテクニック。
★助演男優賞:ドナルド・クリスプ「わが谷は緑なりき」
★助演女優賞:メアリー・アスター「偉大な嘘」
■ベネチア映画祭
★作品賞:
☆鉄の王冠(アレッサンドロ・ブラゼッティ)
☆世界に告ぐ(ハンス・シュタインホフ)
★監督賞:G・W・パプスト「喜劇役者たち」
★主演男優賞:エルメーテ・ザッコーニ「ドン・ブオナパルテ」
★主演女優賞:ルイゼ・ウルリッヒ「アン・ネリー」
★この年の主要な作品
◆市民ケーンン 監督:オーソン・ウエルズ
※オーソン・ウェルズが、25歳の時に発表した処女作。絶大な権力者の秘めたる人生を斬新な映画手法で洞察した傑作。“ローズバット(ばらの蕾)”という謎の言葉を残して新聞王ケーンが死んだ。記者たちは言葉の解明を開始するが・・・
◆マルタの鷹 監督:ジョン・ヒューストン
※ダシール・ハメットのハードボイルド小説の映画化で、ジョン・ヒューストンの監督デビュー作。私立探偵サム・スペード(ハンフリー・ボガート)は、中世の歴史に名高いマルタ島騎士団が製作したといわれる宝石をちりばめた「マルタの鷹」の争奪にまつわる殺人事件に巻き込まれていく。
◆偽りの花園 監督:ウィリアム・ワイラー
※日常に退屈している富豪の妻(ベティ・デイヴィス)はある日、実家の綿工場の経営が危機だと知る。彼女は兄弟と一緒になって事業資金を夫からせしめようと画策する。
◆サリヴァンの旅 監督:プレストン・スタージェス
※社会派映画を作ろうと一大決心したコメディ映画の監督サリヴァンは、貧しさを体験しようと売れない女優を伴って旅に出る。ある事件をきっかけに囚人にまで堕ちたサリヴァンだったが…。