1950年代

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ベネチア映画祭

★作品賞:「ロベレ将軍」監督:ロベルト・ロッセリーニ
※第二次大戦末期、ナチ占領下のジェノヴァに、グリマルディ大佐と自称する男がいた。本名をジョバンニ・ベルトーニ(ヴィットリオ・デ・シーカ)という彼は、バクチと女に身をもちくずし、ナチ司令部の下士官と結託して、イタリア・パルチザンを釈放させるといっては家族から金をせしめていた。その頃、連合軍は北イタリアのパルチザンと連絡をとるため、イタリア人将軍ロベレを南イタリアに潜入させた。ナチ司令官のミューラー大佐(ハンネス・メッセマー)は、彼を捕えてパルチザン組織の絶滅を計るが、将軍はナチの一分隊に発見され射殺される。大佐は、ニセのロベレ将軍を仕立て、彼をオトリにしてパルチザンを探ることを思いつく。そして、替え玉に選ばれたのはグリマルディだった。
ロベルト・ロッセリーニ監督が数年の沈黙を破って制作したレジスタンスにまつわる作品。
※ロベルト・ロッセリーニは,1906年5月8日ローマ生まれ。イタリア映画界でのネオレアリズモ運動の先駆的な監督の一人であり、またフランスのヌーヴェル・ヴァーグの映画作家たちにも多大な影響を与えた。1941年長編第1作を完成。以後30本以上の長編映画を制作。1977年6月3日心臓発作で死去。
ロベルト・ロッセリーニの他の監督作には、第二次大戦末期のローマにおけるレジスタンスの闘いを描いた戦争3部作の第1作でイタリアン・ネオレアリズムの記念碑的作品「無防備都市」Roma, citta aperta (1945年:YouTubeのFrancesco Francesco Francesco Francesco)、第二次世界大戦末期、イタリア半島を北上する連合軍兵士と民衆の交流を6つのエピソードで描いた戦争3部作の第2作「戦火のかなた」(1946年:YouTubeのPaisa-1946. Napoles ocupada, 1943)、アンナ・マニャーニ主演で撮った2つの愛の物語「アモーレ」(1948年:YouTubeのEl amor 1948 Anna Magnani)、人を殺すことができるカメラが小さな漁村に巻き起こす騒動をジェンナロ・ピサノ、マリリン・ビュフェル共演で描いた「殺人カメラ」(1948年)、戦争により廃墟と化したベルリンを舞台に半焼したアパートで暮らす少年とその家族を描いた戦争3部作の第3作「ドイツ零年」(1948年:YouTubeのGermania anno zero - Rossellini)、戦争により祖国を追われ、夫以外誰も知らない島で暮らす女性の姿をイングリッド・バーグマンマリオ・ヴィターレ共演で描いた「ストロンボリ/神の土地」(1950年:YouTubeのStromboli Terra Di Dio 1949)、実在の聖人フランチェスコの事蹟を虚飾を排しナザリオ・ジェラルディ、アルド・ファブリッツィ共演で描いた「神の道化師、フランチェスコ」(1950年:YouTubeのFrancesco, Giullare di Dio (Roberto Rossellini, 1950))、聖書が説く7つの大罪の一つ一つをテーマにしたエピソードによるオムニバス映画「七つの大罪」(1952年:第5話:ねたみ)、米国商社の駐伊総代理人夫人が我が子を自殺で失ったことをきっかけに社会の矛盾に目覚める姿をイングリッド・バーグマン、ジュリエッタ・マシーナ他の共演で描いた「ヨーロッパ一九五一年」(1952年:YouTubeのEuropa 51 / Ingrid Bergman)、イタリアの5人の監督がイングリッド・バーグマンやアリダ・ヴァリの出演で女性の魅力を描いたオムニバス「われら女性」(1952年:YouTubeのIngrid Bergman in Siamo Donne(part1))、結婚生活が危機にある夫婦のイタリア旅行をイングリッド・バーグマン、ジョージ・サンダース共演で描いた「イタリア旅行」(1953年:YouTubeのViaggio in Italia / Ingrid Bergman)、不倫の恋に悩む人妻の姿をイングリッド・バーグマン、マチアス・ヴィーマン共演で描いた「不安」(1954年)、フランス救国の英雄ジャンヌ・ダルクの過酷な運命をイングリッド・バーグマン主演で描いた「火刑台上のジャンヌ・ダルク」(1954年)、インドにおける象使いの青年の恋、ダム建設に従事してきた土木技師、森を愛する老人、主人を失った小猿など4つのエピソードで構成したドキュメンタリー「インディア」(1958年)等がある。

★主演男優賞:ジェームス・スチュアート或る殺人
※「或る殺人」は、オットー・プレミンジャー監督作。妻(リー・レミック)を犯した知人を復讐のため殺害した夫(ベン・ギャザラ)。検察側は妻と知人は前々から不倫関係にあったと主張する。果たして真相は?裁判で弁護士(ジェームズ・スチュワート)と検察のが激しく衝突する。主人公の弁護士スチュワートがジャズマニアという設定で、実際彼が演奏するシーンもある。


★主演女優賞:マドレーヌ・ロバンソン二重の鍵
※「二重の鍵」は、クロード・シャブロル監督作。妻子ある身でありながら愛人をつくってしまったアンリ(ジャック・ダクミーヌ)。男は人目もはばからずに愛人レダ(アントネラ・ルアルディ)の家に通うが、ある日、レダは何者かに殺される。
マドレーヌ・ロバンソンはアンリの妻テレーズ役。他に長男リシャールにアンドレ・ジョスラン。父の気にいりの娘エリザベトにジャンヌ・ヴァレリー。彼女の婚約者ラズロにジャン・ポール・ベルモンド



カンヌ映画祭

★パルムドール:「黒いオルフェ」監督:マルセル・カミュ
※リオのカーニバルを翌日に控えた日、田舎から出て来た少女ユーリディス(マルベッ・ドーン)は、市電の運転手オルフェ(ブレノ・メロ)と知り合い、カーニバルを通して深く愛し合うようになる。しかし、オルフェには将来を約束された婚約者がいた。アカデミー賞外国語映画賞も受賞。


★監督賞:フランソワ・トリュフォー大人は判ってくれない
※男子校に通う多感な少年アントワーヌ(ジャン・ピエール・レオ)は「女」に「悪戯」に「映画」に夢中だ。何かと目立つ彼は、常に大人の目の敵にされてしまう。大人たちはそんなアントワーヌを反抗期だというが…。
フランソワ・トリュフォー監督の自伝的ともいえる映画。他の出演は、父ジュリアンにアルベール・レミー、母ジルベルトにクレールモーリエ、親友ルネ・ビジェーにパトリック・オーフェー

★主演男優賞:ディーン・ストックウェル、ブラッドフォード・ティルマン、オーソン・ウェルズ「強制」

★主演女優賞:シモーヌ・シニョレ「年上の女」

★審査員特別賞:「STERNE」(ブルガリア=東独)

★国際批評家賞:「ARAYA」(ベネズエラ)、「二十四時間の情事」(仏)


★この年の主要な作品

◆「お熱いのがお好き」監督:ビリー・ワイルダー
※ 1929年、禁酒法時代のシカゴで、売れないバンドマンのジョー(トニー・カーティス)とジェリー(ジャック・レモン)は暗黒街一味による殺人現場(モデルは聖バレンタインの大虐殺)を目撃してしまったことから、ヴォーカルのシュガー(マリリン・モンロー)をはじめとする女性ばかりのバンドに女装してまぎれこみ、マイアミへ逃れるが…。
AFI選出の“ベスト・ハリウッド・コメディ100”で第1位に輝いた。

◆「北北西に進路を取れ」監督:アルフレッド・ヒッチコック
※広告代理店経営者のロジャー(ケイリー・グラント)は、ある日タウンゼント(ジェームズ・メイスン)ら宝石密輸団からキャプランというスパイと間違えられ、殺人の濡れ衣を着せられてしまう。逃亡しながら事件の真相をつかもうとする彼に、謎の美女(エヴァ・マリー・セイント)が絡み…。スリリングかつロマンティック、そしてユーモア精神をも忘れないヒッチコックの名演出。

◆「リオ・ブラボー」監督:ハワード・ホークス
※テキサス州のメキシコ国境に近い町、リオ・ブラボーの保安官チャンス(ジョン・ウェイン)。仲間はアル中のデュード(ディーン・マーチン)と若造のコロラド(リッキー・ネルソン)、そして口うるさい助手のじいさん、スタンピー(ウォルター・ブレナン)。チャンスは仲間と共に、逮捕された弟を奪い返そうとする、ならず者のネイサン一味と対決する。

◆「蛇皮の服を着た男」監督:シドニー・ルメット
※原作・脚本:テネシー・ウィリアムズ。アメリカ南部のある町に、蛇皮の服を着た流れ者(マーロン・ブランド)がやってきた。彼は雑貨屋で働くことになり、雑貨屋の女主人(アンナ・マニャーニ)は彼に強く惹かれていく。だが、それに気づいた嫉妬深い亭主は、彼女を射殺する。南部の超保守的で陰湿な因襲が背景にある。

◆「夜を楽しく」監督:マイケル・ゴードン
※偶然発生した電話回線のトラブルがふたりの男女(ロック・ハドソン、ドリス・デイ)を結びつけ、そのまま恋に発展してしまい…。

◆「勝手にしやがれ」監督:ジャン・リュック・ゴダール
※警官を殺し、パリに逃げてきたミシェル(ジャン=ポール・ベルモンド)はアメリカ人の恋人パトリシア(ジーン・セバーグ)との気楽な生活を楽しんでいた。だが、愛を確かめたい彼女は彼の居場所を警察に密告してしまう。「ヌーヴェルヴァーグ」の代表的存在であるジャン=リュック・ゴダールの長編デビュー作にして最高傑作。

◆「いとこ同志」監督:クロード・シャブロル
※いとこのポール(ジャン・クロード・ブリアリ)を頼って、進学のため田舎からパリに出てきたシャルル(ジェラール・ブラン)。ポールのアパートで暮らすうちに、そこに集まってくる女性のひとりに恋心を抱く。しかし、状況はことごとくシャルルの裏目に出る。中平康監督作『狂った果実』の影響下から生まれた、初期ヌーヴェル・ヴァーグの代表的作品。

1950年代

1959年の映画(DVD)

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アカデミー賞

★作品賞:「ベン・ハー」監督:ウイリアム・ワイラー
※古代ローマ帝国時代。エルサレムの名家に生まれたベン・ハー(チャールトン・ヘストン)は、親友メッサラ(スティーブン・ボイド)に裏切られ、反逆罪に問われる。そして母と妹は地下牢に入れられ、ベン・ハーは奴隷となりローマ軍船へ送られた。途中、砂漠で渇に倒れそうになった時、飲み水を恵んでくれた人があったが、ベン・ハーはこの人のことを忘れなかった。やがて彼はローマで開かれた戦車競技大会に出場し、メッサラと宿命の対決を迎える。
ウィリアム・ワイラー監督が、6年半の製作期間と当時で54億円という巨費を投じて完成させた、3時間半強のスペクタクル史劇超大作。アカデミー賞11部門受賞。
> YouTubeのBen-Hur (1959) Trailer

★監督賞:ウィリアム・ワイラー「ベン・ハー
※ウィリアム・ワイラーは,1902年7月1日フランスのミュルーズ(アルザス)生まれ。1920年、18歳でハリウッドに渡り、ユニヴァーサルでの雑用係からスタートし、1925年に映画監督デビュー。1930年代にはユニヴァーサルの主要監督の一人になる。その後傑作を数多く監督し、アカデミー賞では監督賞を3回受賞、ノミネート回数は12回に上った。「ナインティ・テイク・ワイラー」とあだ名される程の完璧主義者で「巨匠の中の巨匠」と呼ばれるにふさわしい監督であった。1981年7月27日自宅にて心臓麻痺で死去。
ウィリアム・ワイラー監督の主な作品には、第2の人生を歩もうとする夫婦の関係を描いたノーベル文学賞作家シンクレア・ルイスの小説を映画化した「孔雀夫人」 (1936年:YouTubeのDodsworth (1936))、ベティ・デイヴィスがアカデミー主演女優賞を、フェイ・ベインターが助演女優賞を受賞した「黒蘭の女」(1938年:YouTubeのBette Davis: "Jezebel" Tribute)、エリミー・ブロンテの名作をローレンス・オリヴィエ、マール・オベロン主演で映画化した「嵐が丘」(1939年:YouTubeのWuthering Heights)、アカデミー賞で作品、監督、グリア・ガースンの主演女優賞、テレサ・ライトの助演女優賞など主要6部門を受賞した「ミニヴァー夫人」(1942年:YouTubeのMRS. MINIVER (1942) Theatrical Trailer)、第二次世界大戦が終わり社会や家庭で復帰した三人の三者三様の姿を描いてアカデミー賞で作品賞をはじめ8部門で受賞した「我等の生涯の最良の年」(1946年:YouTubeのBest Years of Our Lives Recut Trailer)、ヘンリー・ジェイムズの小説「ワシントン広場」を映画化しオリヴィア・デ・ハヴィランドの主演女優賞などアカデミー賞5部門を受賞した「女相続人」(1949年:YouTubeのThe Heiress (1949) - Theatrical Trailer - c Paramount Pictures)、カーク・ダグラス主演でニューヨーク第21警察署を舞台に刑事の苦悩と葛藤の一日を描いた「探偵物語」(1951年:YouTubeのdetctv stry a)、無名のオードリー・ヘプバーンがヒロインに起用され清々しい演技でアカデミー主演女優賞を獲得した「ローマの休日」(1953年:YouTubeのRoman Holiday)、グレゴリー・ペック, チャールトン・ヘストンらの出演で土地と水を奪い合う西部の男を雄大なスケールで皮肉も込めて描いた「大いなる西部」(1958年:YouTubeのThe Big Country Trailer (1958))、一人の少女の嘘によって、自殺などに追い込まれた女性達の悲劇を描いたリリアン・ヘルマンの戯曲「子供の時間」をオードリー・ヘプバーンとシャーリー・マクレーン共演で再映画化した「噂の二人(The Children's Hour)(1961年:YouTubeのThe Children's Hour, 1961 - Tribute)、孤独な男の女性に対する倒錯した愛情を描いたジョン・ファウルズの同名小説をテレンス・スタンプ、サマンサ・エッガー主演で映画化した「コレクター」(1965年:YouTubeのThe Collector: Butterfly Collection)、ヘップバーン、ピーター・オトゥール主演の小粋でオシャレなロマンティック・コメディ「おしゃれ泥棒(How to Steal a Million)」(1966年:YouTubeのHow To Steal A Million)、ブロードウェイで活躍した女優ファニー・ブライスの半自伝的ミュージカルを映画化してバーブラ・ストライサンドがアカデミー主演女優賞を受賞した「ファニ−・ガ−ル」(1968年:YouTubeのBarbra Streisand "Funny Girl" DVD Trailer) がある。

★主演男優賞:チャールトン・ヘストン「ベン・ハー
※チャールトン・ヘストンは、1924年10月4日イリノイ州エヴァンストン生まれ。ノースウェスタン大学卒業後、陸軍に入隊し第二次世界大戦に参戦。退役後の1950年に映画デビュー。いくつもの名作に出演し、ハリウッド黄金期後期を支えた。
私生活では、20歳で結婚したリディア夫人と64年間連れ添った。2008年4月5日夜半過ぎ、自宅にて夫人に看取られ84歳で死去。
チャールトン・ヘストンのベン・ハー以後の主な出演作は、サミュエル・ブロンストン監督がスペインを救った伝説的英雄、エル・シドの波乱万丈の半生を描いた「エル・シド」(1961年:YouTubeのEl Cid. 1961)、カウアイ島のキングと呼ばれる大地主と彼を取り巻く人々を通して真実の愛と人の絆の深さを描いたガイ・グリーン監督の「ダイアモンド・ヘッド」(1962年)、ニコラス・レイ監督が清国と戦う連合軍の55日間に渡る篭城戦を壮大なセットと厳密な時代考証を元に描いた「北京の55日」(1963年:YouTubeの"55 Days At Peking" Movie 1963 Start ( HIGH VOLUME))、キャロル・リード監督がチャールトン・ヘストン、レックス・ハリソン共演でミケランジェロの創造とエゴを描いた「華麗なる激情」(1965年:YouTubeのThe Agony and the Ecstasy)、ジョージ・スティーヴンス監督がキリスト(マックス・フォン・シドー)の生涯を数々のエピソードで丹念に綴った「偉大な生涯の物語」(1965年:YouTubeのThe Greatest Story ever told - Theatrical Trailer)、アパッチに部下を虐殺され報復のため討伐隊を編成する北軍のダンディー少佐(チャールトン・ヘストン)を描いたサム・ベキンバー監督の「ダンディー少佐」(1965年:YouTubeのMajor Dundee (1965))、全世界に衝撃を与えたフランクリン・J・シャフナー監督の傑作SF「猿の惑星」(1968年:YouTubeのPlanet of the Apes (Franklin J. Schaffner, 1968))、テッド・ポスト監督の「続・猿の惑星」(1970年:YouTubeのBENEATH THE PLANET OF THE APES - 1970)、細菌戦争後の世界を描いたリチャード・マシスンの小説「地球最後の男」をボリス・セイガル監督が映画化した「地球最後の男 オメガマン」(1971年:YouTubeのomega man trailer)、リチャード・フライシャー監督がチャールトン・ヘストン主演で環境汚染による食糧問題を描いたSFサスペンス「ソイレント・グリーン」(1973年:YouTubeのSoylent Green (1973))、チャールストン・ヘストンが国王の失脚を企む狡猾なリシュリュー枢機卿を演じたリチャード・レスター監督の「三銃士」(1973年:YouTubeのThe Three Musketeers-trailer)、マーク・ロブソン 監督が大地震の猛威とその惨状で織り成す人間模様を描いた「大地震」(1974年:YouTubeのEarthquake (1974) - Trailer)、セスナとの接触事故により操縦不能に陥ったジャンボジェット機の救出作戦をカレン・ブラック共演で描いたジャック・スマイト監督の「エアポート'75」(1974年:YouTubeのAirport 75 Tribute/Trailer HQ)、ダルタニアンの恋人コンスタンス(ラクウェル・ウェルチ)が誘拐される『三銃士』の続編「四銃士」(1974年:YouTubeのThe Four Musketeers-Trailer)、看守を殺害して脱獄した復讐に燃える男と引退保安官との戦いを描いた「大いなる決闘」(1976年)、チャールトン・ヘストンが政府の諜報員シュワルツェネッガーの上司を演じたジェームズ・キャメロン監督の「トゥルーライズ」(1994年:YouTubeのTrue Lies trailer)、チャールトン・ヘストンがコミッショナー演じ、プロアメリカン・フットボールの世界をアル・パチーノ、キャメロン・ディアス共演で描いたオリヴァー・ストーン監督の「エニイ ギブン サンデー」(1999年:YouTubeのAny Given Sunday (1999) - Trailer)、チャールトン・ヘストンが老チンパンジー役でカメオ出演したティム・バート監督の「PLANET OF THE APES/猿の惑星」(2001年:YouTubeのPLANET OF THE APES - Trailer (2001))などがある。
また、コロンバイン高校銃乱射事件に題材を取ったマイケル・ムーア監督の「ボウリング・フォー・コロンバイン」(2002年:YouTubeのCharlton Heston in Michael Moore's 'Bowling for Columbine')では、全米ライフル協会(NRA)会長としてチャールトン・ヘストンがインタビューを受けた。

★主演女優賞:シモーヌ・シニョレ「年上の女」
モーヌ・シニョレは、1921年3月25日ドイツ・ヴィースバーデン生まれ。パリで育ち1942年からエキストラとして映画に出演。以後フィルム・ノワールのヒロインや娼婦役で強い印象を残す。私生活では監督のイヴ・アレグレと離婚後、1951年にイヴ・モンタンと再婚。生涯を共にする。1985年9月30日没。
シモーヌ・シニョレの出演作には、アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督の「悪魔のような女」(1955年)、ゾラ原作の「テレーズ・ラカン」をマンセル・カルネ監督がシモーヌ・シニョレ主演で映画化した「嘆きのテレーズ」(1952) 、ジャン=ルイ・バローと共演した「泣きぬれた天使」、パトリス・シェロー監督、シャーロット・ランプリング主演の莫大な遺産をめぐる官能と狂気を描いたハードボイルド「愛の肉体」「帰らざる夜明け」、ジャック・ベッケル監督作、シモーヌ・シニョレが実在した伝説の妖婦・マリーを演じた「肉体の冠」(1951年) 、ジャン・ピエール・メルヴィル監督がレジスタンスの悲壮なる戦いを描いた「影の軍隊」(1969年)、『Z』『戒厳令』とともにコンスタンタン・コスタ=ガヴラス監督、モンタン主演による政治3部作を成す実話をもとにしたサスペンス「告白」(1970年)などがある。

★助演男優賞:ヒュー・グリフィスベン・ハー
※ヒュー・グリフィスは、1912年5月30日イギリス・ウェールズ生まれ。1940年代からイギリス映画に出演し、1950年代にハリウッド映画に出演。1980年5月14日満67歳で没。
本賞は族長イルデリム役で受賞した。
ヒュー・グリフィスの他の出演作には、大地主の養子として育てられたトム・ジョーンズの身に降りかかる運命をアルバート・フィニー、スザンナ・ヨーク共演で描いたトニー・リチャードソン監督の「トム・ジョーンズの華麗な冒険」(1963年:YouTubeのTom Jones (1963)-Trailer)、贋作画家である父親(ヒュー・グリフィス)の悪事がバレる前に展示中の絵画を盗み出そうとする娘と探偵をオードリー・ヘップバーン、ピーター・オトゥール共演で描いたウィリアム・ワイラー監督の「おしゃれ泥棒」(1966年:YouTubeのHow To Steal A Million)、ロンドンでスリの仲間に加わった救貧院育ちのオリバー少年の冒険をマーク・レスター、ロン・ムーディー共演で描いたキャロル・リード監督の「オリバー!」(1968年:YouTubeのOliver! (1968) pt.1/15)、ジェフリー・チョーサーの『カンタベリー物語』の映画化して1972年ベルリン映画祭金熊賞を受賞したピエル・パオロ・パゾリーニ監督の「カンタベリー物語」(1971年:YouTubeのI racconti di Canterbury(scena))などがある。

★助演女優賞:シェリー・ウインタースアンネの日記
※「アンネの日記」は、ジョージ・スティーブンス製作・監督作。第2次世界大戦下、ナチスドイツによるユダヤ人迫害から逃れるためユダヤ人少女アンネ・フランク(ミリー・パーキンス)の家族は、親しいヴァン・ダーン一家とともにオランダへ亡命し、屋根裏部屋へ隠れる。その隠遁生活の中、アンネはダーン家の息子ぺーター(リチャード・ベイマー)と愛し合うようになるが、やがて秘密警察が現れて…。シェリー・ウインタースはファン・ダーン夫人役。
※シェリー・ウィンタースは,1922年8月18日セントルイス生まれ。ブロードウェイの舞台を経て、1943年に映画デビュー。本作のほかに、両親の喧嘩のとばっちりで盲目となった娘の恋と別れをシドニー・ポワチエ、エリザベス・ハートマン共演で描いたガイ・グリーン監督の「いつか見た青い空」(1965年:YouTubeのA Patch of Blue (1965))でアカデミー助演女優賞、転覆した豪華客船から決死の脱出を謀る乗客の苦難と悲劇をジーン・ハックマン、アーネスト・ボーグナイン他の共演で描いたロナルド・ニーム監督の「ポセイドン・アドベンチャー」(1972年:YouTubeのOriginal trailer Poseidon Adventure)でゴールデングローブ助演女優賞を受賞。
シェリー・ウインタースの他の出演作には、名銃・ウィンチェスターに執着する男を ジェームズ・スチュワート主演で描いたアンソニー・マン監督の「ウィンチェスター銃 73」(1950年:YouTubeのWinchester '73 - Original Trailer 1950)、シオドア・ドライサーの小説「アメリカの悲劇」をモンゴメリー・クリフト、エリザベス・テイラー共演で映画化したジョージ・スティーヴンス監督の「陽のあたる場所」(1951年:YouTubeのA place in the Sun)、狂信者に命を狙われる幼い兄妹の恐怖をロバート・ミッチャム、リリアン・ギッシュ共演で描いたチャールズ・ロートン監督の「狩人の夜」(1955年:YouTubeの1955 The night of the hunter - Trailer)、教養ある中年男のローティーンの少女に対する偏執的な愛をジェームズ・メイソン、スー・リオン共演で描いたスタンリー・キューブリック監督の「ロリータ」(1962年:YouTubeのLolita)、イエス・キリストの波乱に満ちた生涯を数々のエピソードで描いたマックス・フォン・シドー、ドロシー・マクガイア、チャールトン・ヘストン共演、ジョージ・スティーブンス監督の「偉大な生涯の物語」(1965年:YouTubeのThe Greatest Story ever told - Theatrical Trailer)、定職にもつかずに女性たちを渡り歩くアルフィーの生活をマイケル・ケイン主演で描いたルイス・ギルバート監督の「アルフィー」(1966年:YouTubeのAlfie - Original Trailer 1966)、グリニッチ・ビレッジを根城に演劇、文学などを志す青年の喜怒哀楽をレニー・ベイカー、クリストファー・ウォーケン共演で描いたポール・マザースキー監督の「グリニッチ・ビレッジの青春」(1976年:YouTubeのNext Stop Greenwich Village)、19世紀の保守的な社会で自由で誠実に生きようとした女性の冒険と苦難をニコール・キッドマン、ジョン・マルコヴィッチ共演で描いたジェーン・カンピオン監督の「ある貴婦人の肖像」(1996年:YouTubeのThe Portrait of a Lady [trailer])などがある。

1950年代

1958年の映画(DVD)

1958年の映画(DVD)

アカデミー賞

★作品賞:「恋の手ほどき」監督:ビンセント・ミネリ
※社交界の花形になる教育を大伯母から受けている下層階級の少女ジジ(レスリー・キャロン)は、なぜみんなが恋にばかり夢中になるのか分からない。プレイボーイとしてゴシップにこと欠かないガストン(ルイ・ジュールダン)とも気楽に遊びに行く。ところがそのガストンが彼女に本気になってしまった。教師役にハーミオン・ジンゴールドモーリス・シュバリエ

★監督賞:ビンセント・ミネリ恋の手ほどき
※MGMミュージカル最後の傑作であり、アカデミー賞9部門で受賞した。
★主演男優賞:デビッド・ニーブン旅路
※監督:デルバート・マン。海辺の町ボーンマスの冬。女主人クーパー(ウェンディ・ヒラー)の小さなホテルには、偽りの手柄話ばかりするポラック大佐(デヴィッド・ニーブン)、見栄っ張りの貴婦人を母に持つ内気なシビル(デボラ・カー)、作家マルコム(バート・ランカスター)らが集っていた。そこへ、マルコムに暗い影を負わせる原因となった元の妻アン(リタ・ヘイワース)がホテルに現れたことから、彼らの静かな生活に歪みが生じていく…。

★主演女優賞:スーザン・ヘイワード私は死にたくない」(VHSのみ)
※「私は死にたくない」は、ロバート・ワイズ監督作。金髪美人のバーバラ(スーザン・ヘイワード)はすでに、幾つかの罪を重ねていたが、よき妻であり、よき母であった。1952年3月9日、カルフォルニア州バーバンクで老婦人が惨殺され、札つきの前科者である2人の男が逮捕されたとき、一緒にいたバーバラも共犯とされて捕った。彼女にはアリバイがあった。事件の夜は夫ヘンリーの麻薬を止めさせようとして激しい口論となり、夫はそのまま家を飛び出したのだ。警察は嘘発見器にかけようとする。だが彼女が拒否すると尋問は打ちきられ、警察は彼女を有罪と結論づける。カルフォルニアの新聞は、最初から犯人として扱っていた。無罪を証明するには、夫を見つけ出さなければならない。だが、弁護費用は余りにも少なかった。1人の女の囚人が、彼女にアリバイをでっちあげることをすすめ、彼女はついこの話に乗ってしまう。すると、サムという男が面会に来て、事件の夜、モーテルに2人が泊っていたことにするといった。「ほんとうはやったんだろう」とサムはしつこくきき、彼女がそれを認めなければ、偽証罪になるから助けられないといった。仕方なく、彼女はやったと言ってしまう。


★助演男優賞:バーヅ・アイブス大いなる西部
※監督:ウィリアム・ワイラー。東部出身のジム(グレゴリー・ペック)は、牧場主テリルの娘パット(キャロル・ベイカー)と結婚するためにテキサスに赴いた。しかしテリル家は水源地をめぐってヘネシー家と争っており、またパットを想うテリル家の牧童頭のスティーヴ(チャールトン・ヘストン)はジムを敵視。非暴力主義者のジムはこれらの物事をすべて合理的に解決しようとするが…。バール・アイヴスはテリル家と敵対するヘネシー家の当主役。

★助演女優賞:ウェンディ・ヒラー旅路


ベネチア映画祭

★作品賞:無法松の一生稲垣 浩
※小倉の人力車夫・松五郎(三船敏郎)は喧嘩っぱやいが人情に厚い名物男。そんな彼が陸軍大尉の家族と知り合いになり、大尉の戦死後、未亡人よし子(高峰秀子)とその子どもに愛情を持って奉仕し続けていくが…。稲垣浩監督が戦時中の1943年に監督した名作を、同じ脚本(伊丹万作)でカラー・リメイク。戦時中の作品は軍部の検閲によってカットされており、その無念の想いを15年後の日本映画黄金期のこの映画にぶつけた。

★主演男優賞:アレック・ギネス「馬の口」

★主演女優賞:ソフィア・ローレン「黒い蘭」


カンヌ映画祭

★パルムドール:戦争と貞操[鶴は翔んで往く](ミハイル・カラトーゾフ

★監督賞:イングマール・ベルイマン女はそれを待っている」(VHSのみ)

★主演男優賞:ポール・ニューマン長く熱い夜」(VHSのみ)

★主演女優賞:該当なし

★審査員特別賞:「ぼくの伯父さん」(仏)監督・主演:ジャック・タチ

★国際批評家賞:「VENGEANCE」(スペイン)


★この年の主要な作品

◆「熱いトタン屋根の猫」監督:リチャード・ブルックス
※アメリカ南部の旧家、当主のビッグ・ダディ(バール・アイヴス)は癌に侵されているが、本人はそのことを知らない。彼に溺愛されている息子ブリック(ポール・ニューマン)は酒びたりで妻マーガレット(エリザベス・テイラー)とも上手くいっていない。そんな折、父の財産を目当てに長男夫婦が帰省してきた。テネシー・ウィリアムズの戯曲を映画化。まさに熱いトタン屋根の上で猫がのたうちまわるような家族の愛憎劇が繰り広げられる。ブリックが同性愛者であるという設定も、当時としては衝撃的だった。演技派への転向を図ったリズが熱演。

◆「めまい」監督:アルフレッド・ヒッチコック
※高所恐怖症のために刑事を辞めた男(ジェームズ・スチュワート)が、友人から妻(キム・ノヴァク)の監視を依頼される。やがて彼女は教会の鐘楼から飛び降りてしまうのだが、彼女を止めることのできなかった彼はそれがトラウマとなり、やがて街で彼女そっくりの女性と出会うが…。あらゆるところにめまいを感じさせる効果をもたらすヒッチコックの演出の妙。

◆「手錠のままの脱獄」監督:スタンリー・クレイマー
※手錠でつながれた白人(トニー・カーチス)と黒人(シドニー・ポワチエ)。護送車が事故を起こし、二人は脱出に成功する。互いに激しく憎み合い、生き延びるためには裏切りさえも辞さない二人。だが、警察の手が伸び、次第に協力せざるを得ない状況になってくる。アカデミー賞オリジナル脚本賞、撮影賞受賞。

◆「恋人たち」監督:ルイ・マル
※平凡な毎日から逃れるように愛人との密会を重ねているジャンヌ(ジャンヌ・モロー)。ある日、車が故障して途方に暮れている彼女の前に、若い考古学者ベルナール(ジャン・マルク・ボリー)が現われる。庭に出たジャンヌは夜空を見つめながら「夜は美しい」と呟くとすぐに「夜は女性なり」とベルナールが応じる。2人が持っていたグラスがぶつかり、その音が夜の闇に響く。そしてジャンヌの手とベルナールの手が重なり合い、2人は熱く長い抱擁をする。ブラームスの弦楽四重奏が流れるなか、映画史に残るラヴシーンは続く。

◆「モンパルナスの灯」監督:ジャック・ベッケル
※1917年のモンパルナスを舞台に、結核に冒されながらも情熱的な創作活動を続けたモジリアニ(ジェラール・フィリップ)と、恋に落ちたジャンヌ(アヌーク・エーメ)との苦悩と悲恋の生涯を描く。

◆「灰とダイヤモンド」監督:アンジェイ・ワイダ
※アンジェイ・ワイダの映画は「灰とダイヤモンド」「地下水道」などの歴史的傑作もVHSのみの発売であり、DVD化されていない。

1950年代

1957年の映画(DVD)

1957年の映画(DVD)

アカデミー賞

★作品賞:「戦場にかける橋」監督:デビッド・リーン
※第2次世界大戦下のビルマ戦線における日本軍の連合軍捕虜収容所。捕虜たちは日本軍の架橋建設工事に従事することになり、その技術をもつイギリス軍将校(アレック・ギネス)は日本軍将校(早川雪州)に反発しながらも、あくまで自らのプライドをもって事にあたり、やがて橋は完成するが…。主題曲は『クワイ河マーチ』

★監督賞:デビッド・リーン「戦場にかける橋」
デヴィッド・リーン」監督は、異文化の衝突の中で紡ぎ出される人間のプライドと、すべてを無にしてしまう戦争の愚かしさを両立して描いた。

★主演男優賞:アレック・ギネス「戦場にかける橋」
※アレック・ギネスは微妙な心境の変化を見事に演じた。

★主演女優賞:ジョアン・ウッドワードイブの三つの顔
※製作・監督・脚本:ナナリー・ジョンソン。地方都市に住む平凡な主婦イブ・ホワイト(ジョアン・ウッドワード)は突然の頭痛と記憶喪失に悩まされるようになり、夫とともに精神科を訪れる。そこで彼女はルーサー医師(リー・J・コッブ)から、おとなしく従順なイブ・ホワイト、遊び好きなイブ・ブラック、そして治療中にさらに現れた聡明な貴婦人イブ・ジェーンと、自分が多重人格者であることを知らされる。日本では劇場未公開。

★助演男優賞:レッド・バトンズサヨナラ
※レッド・バトンズはグルーバー少佐の同僚のケリー役。

★助演女優賞:ミヨシ・梅木サヨナラ
※監督:ジョシュア・ローガン。朝鮮戦争の撃墜王グルーバー少佐は、転勤で来日。ある日グルーバー(マーロン・ブランド)は、松林歌劇の花形スター、ハナオギ(高美以子)と偶然会い、恋に落ちる。その頃、日本人との結婚がご法度とされる中で、ハナオギは別れを決心するが、必死に結婚を説くグルーバーの愛に、ふたりは改めて将来を誓い合うのだった。梅木ミヨシはカツミ役で唯一の日本人オスカー女優となった。


ベネチア映画祭

★作品賞:「大地のうた」監督:サタジット・レイ
※ベンガルの片田舎で育ったオプーは、出稼ぎに行った父の留守を母と姉とで守っていた。そんな一家に伯母が転がり込み、生活が急変する。サタジット・レイの衝撃のデビュー作にして、世界中の映画賞を総ナメにした感動ドラマ。

★主演男優賞:アンソニー・フランシオサ「夜を逃れて」

★主演女優賞:シドラ・リテンベルク「Malva」


カンヌ映画祭

★パルムドール:「友情ある説得」監督:ウイリアム・ワイラー

★監督賞:ロベール・ブレッソン「抵抗(レジスタンス)」
※ロベール・ブレッソン監督の他の映画には、「バルタザールどこへ行く」「スリ」「ジャンヌ・ダルク裁判」「少女ムシェット」「ブローニュの森の貴婦人たち」「田舎司祭の日記」「ラルジャン」などがある。

★主演男優賞:ジョン・キッツミラー「平和の谷」

★主演女優賞:ジュリエッタ・マシーナカビリアの夜
※監督:フェデリコ・フェリーニ。娼婦カビリア(ジュリエッタ・マシーナ)は、いつも男にだまされていたが、何度男に裏切られようと彼女には夢があった。純粋無垢な心を失わなければ、いつか幸せな人生を歩めると信じていたのだ。真に愛してくれる男を純粋な心で待ちつづける彼女の前に、ある日オスカル(フランソワ・ペリエ)という男が現れ、カビリアに求婚した。ついに夢がかなうという幸福でいっぱいのカビリアは、彼のもとに走って行くのだったが・・・
フェリーニとマシーナ夫妻の他の映画には、「魂のジュリエッタ」「ジンジャーとフレッド」「」「」などがある。

★審査員特別賞:
☆「地下水道」(ポーランド)

☆「第七の封印」(スェーデン)
※監督:イングマール・ベルイマン。ペストが蔓延し魔女狩りが横行する中世を舞台に、宗教に回答を求める騎士の姿を描いた人間ドラマ。マックス・フォン・シドー、グンナール・ビョルンストランドほか出演。


★この年の主要な作品

◆「十二人の怒れる男」監督:シドニー・ルメット
※17歳の少年による殺人事件の裁判で、12人の陪審員中11人は有罪に投票するが、ひとりだけ証拠に疑問を持ち無罪を主張。白熱する議論と説得の中、ひとり、またひとりと無罪の方へ心が傾いていく。レジナルド・ローズのTVドラマの映画化。ヘンリー・フォンダ、リー・J・コッブ、ジャック・ウォーデンらの名演技と、シドニー・ルメットのサスペンスフルな演出はまさに映画的で必見。

◆「情婦」監督:ビリー・ワイルダー
※ロンドン郊外に住む金持ちの未亡人が殺され、その容疑者レナード(タイロン・パワー)はロンドンきっての弁護士ロバーツ(チャールズ・ロートン)に弁護を依頼する。やがて裁判が始まり、レナードに反感を抱く妻クリスチーネ(マレーネ・ディートリッヒ)が検察側の証人として出廷してきた。二転三転のどんでん返しによるスリリングな展開。最後に「決して結末を口外しないように」とのナレーションも入る。

◆「死刑台のエレベーター」監督:ルイ・マル
※医師ジュリアン(モーリス・ロネ)は、社長夫人(ジャンヌ・モロー)との情事を重ねるが、ついに2人にとって邪魔者の社長を殺害すべく完全犯罪の計画を実行に移す。しかし、その犯行後に乗ったエレベーターが止まってしまい、彼は中に閉じ込められてしまう。ルイ・マル監督25歳のデビュー作。マイルス・デイヴィスのクールなジャズ音楽も見事な効果をあげている。

◆「悲しみよこんにちは」監督・製作:オットー・プレミンジャー
※南フランス海岸の別荘で暮らす17歳のセシル(ジーン・セバーグ)の父レイモン(デヴィッド・ニーヴン)が、デザイナーのアンヌ(デボラ・カー)と再婚することになった。しかしジルはアンヌが気に入らず、レイモンの愛人エルザ(ミレーヌ・ドモンジョ)と共謀して、彼女を破滅へと追いやっていく。フランソーズ・サガン18歳の時の処女長編小説を映画化。

◆「鉄道員」監督・脚本・主演:ピエトロ・ジェルミ
※第二次世界大戦後のイタリア。初老の鉄道機関士アンドレアは、妻サラ(ルイーザ・デラ・ノーチェ)と、長女ジュリア(シルバ・コシナ)、長男マルチェロ(リナート・スペツィアーリ)、末っ子サンドロ(エドアルド・ネヴォラ)の3人の子供と平穏な日々を過ごしていた。しかし、ある日彼の運転する機関車にひとりの若者が身を投げて…。純真無垢な少年サンドロの眼を通して、親子の愛情や夫婦の愛、そして庶民の喜怒哀楽を、詩情豊かに描いている。

◆「野いちご」監督:イングマール・ベルイマン
※ストックホルムで孤独に生きる79歳の老教授が、名誉博士の称号を授与されることになった。式典の日の明け方、自分が葬式馬車の柩に横たわっている夢を見る。車で式典に向かう途中、教授は昔住んでいた屋敷に立ち寄る。そこで野いちごを見つけた彼は、若き日の悲恋を回想する。そして車は式典会場へと向う。往年の名監督でもある主演のヴィクトル・シェストレムは、これが遺作となった。ベルリン国際映画祭金獅子賞受賞。ベルイマンの他の映画作品には、「秋のソナタ」「ある結婚の風景」「ファニーとアレクサンデル」「沈黙」「愛のレッスン」「夏の夜は三たび微笑む」などがある。また、ベルイマン脚本、ビレ・アウグスト監督で「愛の風景」がある。

1950年代

1956年の映画(DVD)

1956年の映画(DVD)

■アカデミー賞

★作品賞:「80日間世界一周」監督:マイケル・アンダーソン
※ビクトリア王朝時代のイギリス。80日で世界一周できるかどうか賭けをした紳士フォッグ(デビッド・ニーブン)が召使パスパトゥを連れて旅に出た。パリ・スペイン・カルカッタ・横浜・サンフランシスコ・ニューヨークへと旅は続く。果たしてフォッグは時間までにイギリスへ帰ることができるのか?!また、ジョン・ギールグッドは首になった執事、シャルル・ボワイエは旅行店店主、フランク・シナトラはクラブのピアノ弾き、バスター・キートンは列車の車掌、ピーター・ローレは日本人の観光案内者、ジョン・ミルズは馬車の御者。世界のスターがちょい役で出演しているので、それを探すのも本作の楽しみだが、こういう特別主演を、このこの映画から、”カメオ出演”というようになった。

★監督賞:ジョージ・スティーブンスジャイアンツ
※テキサスの大牧場主ビック・ベネディクト(ロック・ハドソン)のもとにメリーランドから嫁いできたレズリー(エリザベス・テイラー)は、家の古い慣習をつぎつぎと打ち破りながら、夫を愛し、子を育てていく。一方、彼女を密かに愛する牧童頭ジェット・リンク(ジェームス・ディーン)は、手に入れた土地から石油を掘り起こし、一夜にしてベネディクト一族を超える大金持ちとなっていく…。

★主演男優賞:ユル・ブリンナー王様と私
※リチャード・ロジャース&オスカー・ハマースタイン二世のミュージカル。19世紀末のシャム王家に、家庭教師としてやってきたリベラルなイギリス人女性(デボラ・カー)が、封建的思想の王様(ユル・ブリンナー)のかたくなな心を和らげ、やがて愛されるようになっていく。アカデミー賞では他に、美術、衣裳デザイン、録音、ミュージカル音楽賞を受賞。ふたりが『シャル・ウイ・ダンス』を歌い踊るシーンなど名場面がいっぱいあり、後にジョディ・フォスター、チョウ・ユンファ主演で『アンナと王様』としてリメイクされている。日本映画『Shall We ダンス?』の主題歌も本作から採ったもの。

★主演女優賞:」イングリッド・バーグマン追想
※監督:アナトール・リトバック。ロシアの将軍ボーニン(ユル・ブリンナー)は英国に預けられたロマノフ王朝の財産を、皇女アナスタシア(イングリッド・バーグマン)の替え玉を使い横取りしようと企むのだが…。アナスタシア生存説をもとに、ミステリー・タッチで展開する歴史ロマン。イングリッド・バーグマンの祖母の役にヘレン・ヘイズ

★助演男優賞:アンソニー・クイン炎の人ゴッホ
※監督:ヴィンセント・ミネリ。アーヴィング・ストーン原作。後期印象派画家のゴッホ(カーク・ダグラス)の生涯を描いた作品。

★助演女優賞:ドロシー・マローン風と共に散る
ダグラス・サーク監督。幼馴染のミッチ(ロック・ハドソン)、カイル(ロバート・スタック)とルーシー(ローレン・バコール)との三角関係を描く。ドロシー・マローンはミッチに恋するカイルの妹役。


■ベネチア映画祭

★作品賞:該当なし

★主演男優賞:ブールビル「パリ横断」
※「パリ横断」は、クロード・オータン=ララ監督作のコメディ。他に、ジャン・ギャバン、ルイ・ド・フュネスが出演している。

★主演女優賞:マリア・シェル居酒屋
ルネ・クレマン監督。原作はエミール・ゾラ。19世紀なかばのパリ。内縁の夫に裏切られた洗濯屋のジェルヴェーズ(マリア・シェル)は、実直な屋根職人クポーと結婚。しかし、彼は事故で大怪我を負って以来酒浸りとなり、彼女の前夫を同居させてしまう。ロベール・ジェイアール撮影監督によるモノクロ映像が、当時のパリの雰囲気を見事に描いている。

★サン・ジョルジュ賞:「ビルマの竪琴」監督:市川崑
※太平洋戦争終結後、米軍の要請で抵抗する日本軍の残党を説得しに行き、そのまま行方不明となった水島上等兵。その消息を追う、同じ井上部隊の面々。やがて水島は、部隊の前に仏僧姿で現れるのだが…。出演:三國連太郎, 安井昌二, 西村晃, 北林谷栄, 伊藤雄之助

★イタリア批評家賞:「攻撃」監督:ロバート・アルドリッチ
※第二次世界大戦下のベルギー戦線。米軍の無能な中隊長(エディ・アルバート)の判断ミスで仲間が次々と戦死していき憤る小隊長(ジャック・パランス)。しかし中隊長の父は政界の実力者であり、そのコネを用いて自分も政界に打って出ようと目論む上官(リー・マーヴィン)は、彼をとがめることもない。やがて小隊長は中隊長を殺そうと公言し、実行に移そうとする。


■カンヌ映画祭

★パルムドール:「沈黙の世界」監督:ジャック・イブ・クストー
※スキューバの生みの親で、海洋保護の第一人者としてその生涯を海に捧げたジャック=イヴ・クストールイ・マルと共に創り上げた傑作海洋ドキュメンタリー。イルカをはじめとする海洋生物たちの行動を生き生きと描く。

★監督賞:セルゲイ・ユトケービッチ「オセロ」

★主演男優賞:該当なし

★主演女優賞:スーザン・ヘイワード「明日泣く」
※スーザン・ヘイワードの出演作には、マーク・ロブソン監督「哀愁の花びら」、ウィリアム・A・ウェルマン監督「ボー・ジェスト」、デルマー・デイブス監督「ディミトリアスと闘士」、スチュアート・ヘイスラー監督「タルサ」、ルネ・クレール監督「奥様は魔女」、ヘンリー・キング監督「キリマンジャロの雪」などがある。

★審査員特別賞:「ピカソ 天才の秘密」(仏)
※20世紀を代表する芸術家パブロ・ピカソが本作のために取り掛かった作品の製作現場に密着したドキュメンタリー。アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督が、ピカソの知られざる一面を浮き彫りにする。


★この年の主要な作品

◆「上流社会」監督:チャールズ・ウォルターズ
グレース・ケリー最後の出演作となった傑作ミュージカル。結婚前夜パーティ。前妻トレイシーが再婚することになって妙に落ちつかないデクスター(ビング・クロスビー)。そんな時、ゴシップ記者マイク(フランク・シナトラ)が現れ…。

◆「捜索者」監督:ジョン・フォード
※南北戦争終結から3年後、放浪の末に兄の家を訪れたイーサン(ジョン・ウェイン)は、やがて兄一家がコマンチ族に殺害され、幼い末娘デビー(ナタリー・ウッド)がつれ去られてしまったことを知り、復讐と姪を奪還するための、捜索の旅に出る。ジョン・ウェインが演技派としても一級であったことを証明した作品である。

◆「白鯨」監督:ジョン・ヒューストン
※復讐に憑かれた男と"怪物・白鯨"の戦いを描いた。エーハブ船長を演じたグレゴリー・ペックの鬼気迫る熱演が絶賛された海洋スペクタクル映画の決定版である。

十戒」監督:セシル・B・デミル
※3000年前のエジプト。ナイル川で拾われ、エジプト国王の王子として育てられたモーゼ(チャールトン・ヘストン)は、王の実子ラメシス(ユル・ブリンナー)の罠にはまり、砂漠に追放される。やがて彼は神の啓示により、イスラエルの民を連れてエジプト脱出を企てる。セシル・B・デミル監督が、自身のサイレント映画『十誠』を巨額の製作費でリメイクしたスペクタクル史劇。

◆「バス停留所」監督:ジョシュア・ローガン
※純情カウボーイ、ボー(ドン・マレー)と、男のことなど知り尽くしている歌手シェリー(マリリン・モンロー)のロマンスをコミカルに、次第にしっとりとした味わいを加えて描く。アクターズ・スタジオで修業したマリリン・モンローが、その成果を発揮したラブ・コメディ。

◆「監獄ロック」監督:リチャード・ソープ
※刑務所に入れられたビンス(エルヴィス・プレスリー)は、囚人仲間からギターや歌のてほどきを受けて、やがて出所してからロック歌手として成功する。せっかく作ったレコードをどこの店にも置いてもらえず、地方ラジオ局のDJに頼んで流してもらったら、またたくまに反響を呼んだというエピソードは、プレスリー自身の体験を基にしたもの。

◆「素直な悪女」監督:ロジェ・ヴァディム
※両親を亡くした美貌の娘ジュリアット(ブリジット・バルドー)は、孤児院暮らしから逃れるため富豪の次男との結婚を約束するが、長男を目の当たりにした彼女は…。なぜ純情で優しいジャン=ルイ・トランティニャンを棄てて、誠実さのかけらもないクリスチャン・マルカンに走るのか?しかし、バルドーは撮影が終わった後、J=L.トランティニアンと駆け落ちをしてしまったのです。

◆「影」監督:イエジー・カワレロウィッチ
※他のカワレロウィッチ監督の映画には、「クオ・ヴァディス」(2001年)、[尼僧ヨアンナ」(1961年)、「夜行列車」(1959年)などがある。

1950年代

1955年の映画(DVD)

1955年の映画(DVD)

アカデミー賞

★作品賞:「マーティ」監督:デルバート・マン
※独身男マーティ(アーネスト・ボーグナイン)は、老いた母親とふたり暮らし。容姿コンプレックスの彼は恋愛に臆病になっていたが、ある日ダンス・ホールで同じ境遇の女教師クララ(ベッツィー・ブレア)と出会い、お互いに惹かれあう。だが、二人の交際に反対する彼の母親や親友は大学出のクララに反感さえ匂わせる。マーティは思い悩み、約束した夜のデートをついにすっぽかしてしまうのだが……。

★監督賞:デルバート・マン「マーティ」
※デルバート・マンは,1920年1月30日カンザス州ローレンス生まれ。映画よりもテレビ作品の監督として活躍した。2007年11月11日没。

★主演男優賞:アーネスト・ボーグナイン「マーティ」
※「ポセイドン・アドベンチャー」、「ワイルドバンチ」の名優アーネスト・ボーグナイン。悪役のイメージから一転して心優しい男に挑み、その演技力を高く評価された。

★主演女優賞:アンナ・マニャーニ「バラの刺青」
※アンナ・マニャーニの他の出演作は、ジャン・ルノワール監督の「黄金の馬車」、ロベルト・ロッセリーニ監督の「アモーレ」、ヴィスコンティ、ロッセリーニ、ザンバらイタリアの巨匠が、同国の女優を主役に描いた5話オムニバス「われら女性」、ヴィスコンティ監督の「ベリッシマ」、ピエル・パオロ・パゾリーニ監督の「マンマ・ローマ」などがある。

★助演男優賞:ジャック・レモンミスタア・ロバーツ」 監督:ジョン・フォード
※太平洋戦争末期、アメリカ海軍貨物輸送船バケツ号の面々は戦闘に参加できず、小島で退屈な日々を送っていた。そんな中、貨物係のロバーツ中尉(ヘンリー・フォンダ)はことあるごとに威圧的な艦長(ジェームズ・キャグニー)に反抗的態度を示していたが…。フォード監督が製作途中に病気で倒れ、マーヴィン・ルロイが後を継いで完成させた。ジャック・レモンはパルヴァー少尉役で受賞。

★助演女優賞:ジョー・バン・フリートエデンの東」監督:エリア・カザン
※第一次世界大戦下のカリフォルニア州サーリナスで農場を営むアダム(レイモンド・マッセイ)の2人の息子、優等生で父の寵愛を受けているアーロン(リチャード・ダヴァロス)と、落ちこぼれで愛に飢えている弟キャル(ジェームス・ディーン)の家族と青春の確執を描いたエリア・カザン監督の名作。他にジュリー・ハリス、バール・アイヴス
ジョー・バン・フリートはキャル兄弟の母で、アダムと離婚後はいかがわしい酒場を経営しているケートを演じた。


■ベネチア国際映画祭

★作品賞:「奇跡」監督:カ−ル・テオドール・ドライエル

★主演男優賞:
ケネス・モア「愛情は深い海のごとく」
クルト・ユルゲンス「悪の決算」「Des Teufels General」


■カンヌ国際映画祭

★パルムドール:「マーティ」監督:デルバート・マン

★監督賞:
ジュールス・ダッシン男の争い
※刑務所から戻ったヤクザの兄貴分トニー(ジャン・セルヴェ)は、仲間たちと共に宝石商の金庫破りを再び計画。入念な準備により強奪は成功したのだが…。金庫破りの30分間、まったくセリフがないのが凄い。監督自身イタリア人の金庫破り名人役で出演。

セルゲイ・ワシーリコフ「シプカの英雄」

★主演男優賞:スペンサー・トレイシー「日本人の勲章」

★主演女優賞:該当なし

★審査員特別賞:「失われた大陸」(伊)

★国際批評家賞:
☆「恐怖の逢引き」(スペイン)
☆「RAISCES」(メキシコ)


★この年の主要な作品

◆「旅情」監督:デヴィッド・リーン
※ベニスへ一人でバカンスにやってきたアメリカ人女性(キャサリン・ヘップバーン)が、そこで知り合った中年紳士(ロッサノ・ブラッツィ)と恋に落ちる。妻子あるその男の胸に一度は飛び込んだ女だったが、やがて甘美な思い出だけを胸にベニスを去る決意をする。テーマ音楽「サマー・タイム・イン・ベニス」も有名。

◆「黄金の腕」監督:オットー・プレミンジャー
※“黄金の腕”と言われる賭博カードディーラー(フランク・シナトラ)が、献身的な女性(キム・ノヴァク)の愛によって麻薬中毒から立ち直る姿を描いたサイコサスペンス。悪妻にエレノア・パーカー
映画にモダンジャズを持ち込むという先駆的な手法が、映画音楽シーンに一大センセーションを巻き起こした。

◆「ピクニック」監督:ジョシュア・ローガン
※「労働の日」の朝早く、カンサス州の小さな町に風来坊ハル(ウィリアム・ホールデン)が学生時代の友人アラン(クリフ・ロバートソン)を頼って現われた。その日は年に一度、町中の人々がピクニックに出かける日であり、アランの婚約者マッジ(キム・ノヴァク)とその妹ミリー(スーザン・ストラスバーグ)ら町の娘たちは、精悍なハルに心惹かれていくが…。

◆「ヴェラクルス」監督:ロバート・アルドリッチ
※革命の嵐が吹き荒れるメキシコ。ベン(ゲーリー・クーパー)とジョー(バート・ランカスター)も野望を抱いてこの町へやって来た。二人は皇帝の側近デ・ラポルデュル候爵に雇われて、フランスへ帰国するデュバル伯爵夫人(デニーズ・ダーセル)のヴェラクルスまでの護衛を引き受ける。しかし、護衛とは表向きの口実で、実際は…。

◆「オクラホマ!」監督:フレッド・ジンネマン
※まだオクラホマがアメリカ合衆国の州として認められていない頃、カーリー(ゴードン・マクレー)は恋人のローリー(シャーリー・ジョーンズ)を村祭りに誘うが、日頃彼女につれない態度ばかりとっていたことからすげなく断られてしまう。やがてふたりは仲直りするが、彼女はそもそもの約束だからと、雇い人のジャッド(ロッド・スタイガー)と一緒に村祭りへ赴くのだが…。作曲リチャード・ロジャース&作詞オスカー・ハマースタイン二世の名コンビによるミュージカル。アカデミー賞録音賞およびミュージカル映画音楽賞。

◆「七年目の浮気」監督:ビリー・ワイルダー
※マンハッタンの暑い夏。家族を郊外に送り出して、しばしひとり暮らしを満喫の中年サラリーマン(トム・イーウェル)が、アパートの上の階に引っ越してきた美女(マリリン・モンロー)に一目ぼれ。しだいに浮気の妄想が頭をよぎりはじめる。通気口から吹き上がる風でモンローの白いドレスが舞い上がるショットは、映画史に残る名シーンだが、ジョー・ディマジオとの離婚の原因の一つともなった。

◆「夜と霧」監督:アラン・レネ
※第二次世界大戦時にアウシュビッツ強制収容所で行なわれたユダヤ人大量虐殺を告発したドキュメンタリー映画。

◆「マダムと泥棒」監督:アレクサンダー・マッケンドリック
※現金輸送車を襲う計画を立てた5人組は計画の準備のため、弦楽五重奏の練習と偽ってひとりの老婦人の家を間借りするのだが…。出演:アレック・ギネス, セシル・パーカー, ハーバート・ロム, ピーター・セラーズ, ジャック・ワーナー

1950年代

1954年の映画(DVD)

1954年の映画(DVD)

アカデミー賞

★作品賞:「波止場」監督:エリア・カザン
※ボクサーくずれのテリー(マーロン・ブランド)は、兄チャーリー(ロッド・スタイガー)が波止場を仕切るボスのジョニー(リー・J・コッブ)の命令で仲間を殺す現場を目撃。その妹イディ(エヴァ・マリー・セイント)の嘆き悲しむ姿に心動かされ、バリー神父(カール・マルデン)に真相を告白するが、やがてチャーリーも殺害されるに及び、単身ボスの本拠地へ乗り込む。

★監督賞:エリア・カザン「波止場」
※ピューリッツァー賞受賞の原作をドキュメンタリー・タッチの迫真力で映画化。スタジオでの撮影を捨て、ニュージャージー州ホボーケンの波止場で撮影された。

★主演男優賞:マーロン・ブランド「波止場」
※プロデューサーはホボーケン出身のフランク・シナトラの起用を望んだが、監督がマーロン・ブランドを強く希望。

★主演女優賞:グレース・ケリー喝采
※監督:ジョージ・シートン。かつてミュージカルスター、フランク・エルジン。数年前に自らの不注意で息子を事故死させてしまった彼に新作舞台の出演依頼が入る。
ブロードウェイで上演され賞賛を浴びたクリフォード・オデッツ原作の舞台劇を映画化。他の出演はビング・クロスビーほか。

★助演男優賞:エドモンド・オブライエン裸足の伯爵夫人」監督:ジョセフ・L・マンキウィッツ
※酒場の踊り子マリア(エヴァ・ガードナー)が映画監督ハリー(ハンフリー・ボガート)らに見出され、身の回り品ひとつ持たず裸足のままローマへ飛んで映画に出演。やがてハリウッド・スターとなった彼女は、イタリアの伯爵(ロッサノ・ブラッツィ)と結婚するが、伯爵が戦争で性的不能者となったため、不倫の恋に走る。
映画は伯爵夫人マリアの葬式から始まり、式に参列しているハリーの言葉がナレーションとなって、波乱に満ちたヒロインの生涯が回想されていく。エドモンド・オブライエンはハリーと交互に回想する映画会社の宣伝担当者オスカーを演じている。

★助演女優賞:エバー・マリー・セイント「波止場」
※マーロン・ブランドと同じアクターズ・スタジオ出身の演技派。これがデビュー作。


■ベネチア国際映画祭

★作品賞:「ロミオとジュリエット」監督:レナート・カステラーニ
※シェイクスピア原作の名作悲劇を、イタリアンリアリズムの名匠レナート・カステラーニ監督が映画化。出演はローレンス・ハーヴェイ, スーザン・ジェントール, フローラ・ロブスン

★主演男優賞:ジャン・ギャバン
現金に手を出すな」監督:ジャック・ベッケル
※大量の金塊を盗んだ初老のギャング・マックスとリトンは、その仕事を最後に裏の世界からの引退を決める。しかし、金塊の秘密を知った麻薬密売人のボスにリトンが捕らえられてしまい…。ジャンヌ・モロー, リノ・ヴァンチュラ、ルネ・ダリー。マックスの奥さん役ギャビー・バッセはギャバンの奥さんだった人。

☆「われら巴里っ子」監督:マルセル・カルネ
※チャンピオンになれなかった元ボクサー・ヴィクトル(ジャン・ギャバン)は拳闘クラブを開き、自分の夢を託して若者を育てるが、妻ブランシュ(アルレッティ)はそんな夫を快く思わなかった。ヴィクトルが教えているアンドレ(ローラン・ルザッフル)は、恋とボクシングの間で気持が揺れていた。

★主演女優賞:該当なし


■カンヌ国際映画祭

★パルムドール:「地獄門」監督:衣笠貞之助

★監督賞:アレクサンデル・フォルド「バルスカ街の5人組」

★主演男優賞:該当なし

★主演女優賞:マリア・シェル「最後の橋」

★審査員特別賞:「しのび逢い」(仏)

★国際批評家賞:「洪水の前」(仏)


★この年の主要な作品

◆「」監督:フェデリコ・フェリーニ
※美しい心をもつジェルソミーナは何度も夫ザンパノ(アンソニー・クイン)を信じ、その度に裏切られる。大道芸人の笑顔という仮面の下の悲しみをほとんどパントマイムで表情豊かに、フェリーニの生涯の妻ジュリエット・マシーナが演じている。そしてニーノ・ロータの音楽…

◆「夏の嵐」監督:ルキーノ・ヴィスコンティ
※19世紀オーストリア支配下のヴェニス。そこで運命的に出会った伯爵夫人(アリダ・ヴァリ)と青年将校(ファーリー・グレンジャー)の激しい愛と裏切り。華麗な映像とブルックナーの交響曲第7番

◆「麗しのサブリナ」監督:ビリー・ワイルダー
※資産家ララビー家の運転手の娘サブリナ(オードリー・ヘップバーン)は、ララビー家の次男デビッド(ウィリアム・ホールデン)に失恋し、パリの花嫁学校へ。ところが、修業して戻ったサブリナを見て、デビッドは逆に熱をあげてしまう。兄ライナス(ハンフリー・ボガート)がその邪魔をするが…。ビリー・ワイルダーが製作、監督、脚色の三役をこなす。

◆「裏窓」監督:アルフレッド・ヒッチコック
※足を骨折し車椅子生活を強いられているカメラマンのジェフ(ジェームズ・スチュアート)は、退屈しのぎにアパートの窓から望遠カメラでのぞき見をしていたために、いつしか殺人事件に巻き込まれて・・・。 主人公が身動きのとれない状態であることを逆手にとり、さまざまなスリルの趣向と演出が、素晴らしい緊迫感を与えてくれる。主人公の恋人役はグレース・ケリー

◆「スタア誕生」監督:ジョージ・キューカー
※前座の歌手エスター(ジュデイ・ガーランド)は、のんだくれのスター、ノーマン(ジェームズ・メイスン)と知り合い、その才能を認められて映画界入りする。チェスターは次第に頭角を現していくが、一方彼女と結婚したノーマンはどんどん落ちぶれていき、ついには・・・。

◆「ケイン号の叛乱」監督:エドワード・ドミトリク
※第二次大戦中、嵐の海上で艦隊からはぐれた駆逐艦ケイン号。それまで威張っていた艦長(ハンフリー・ボガード)が沈没の恐怖から精神錯乱に陥った。副長(バン・ジョンソン)は緊急に艦長を解任、嵐を乗りきり無事帰港するが、彼らを待っていたのは艦長解任の是非を巡る激しい軍事裁判だった。艦上の迫力あるスペクタクルと息詰まる法廷場面で見せる傑作サスペンス。軍事法廷の弁護士はホセ・ファーラー

◆「ホワイト・クリスマス」監督:マイケル・カーティス
※第二次世界大戦後、デイヴィスとコンビを組み成功を収めたウォレス。戦友の姉妹と知り合った二人はバーモントでクリスマス休暇を取るが、彼らが泊まった山荘ホテルのオーナーは戦時中の上官ウェイバリー将軍だった。雪が降らずに山荘の経営が悪化していることを知った二人は、お客を集めるために山荘でのショウを企画する。雪が舞う中であの名曲が歌われる最後のシーンは感動的。出演:ビング・クロスビー、ダニー・ケイ、ローズマリー・クルーニー、ヴェラ=エレン。

1950年代

1953年の映画(DVD)

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アカデミー賞

★作品賞:「地上より永遠に」監督:フレッド・ジンネマン
※1941年夏のハワイ・ホノルル基地に赴任してきたラッパ手プルー(モンゴメリー・クリフト)は、上官に逆らったことから孤立無援となっていく。唯一彼をかばうアンジェロ(フランク・シナトラ)は営倉入りとなり、残忍な主任(アーネスト・ボーグナイン)に虐待される…。ハリウッド赤狩りの真っ最中に作られた軍隊の非人間性を鋭く突いた反骨の作品。他に、バート・ランカスター, デボラ・カー

★監督賞:フレッド・ジンネマン「地上より永遠に」

★主演男優賞:ウイリアム・ホールデン第十七捕虜収容所
ビリー・ワイルダー監督作。抜け目のないアメリカ人捕虜セフトンは捕虜仲間たちから敵に内通しているのではないかと疑われ、リンチを受けるが、逆に単身スパイを発見し、脱走を試みる。冷酷な所長役に映画監督オットー・プレミンジャー。家族をナチに殺されたワイルダー監督の想いがこもる。

★主演女優賞:オードリー・ヘプバーンローマの休日
※ウィリアム・ワイラー監督。ヨーロッパ旅行中のプリンセス・アンが、付き人の目を盗んで、ローマの街に1人とび出す。そして、そこで知り合った新聞記者(グレゴリー・ペック)と恋に落ちる。身分を隠したままデートするアン。その生き生きとした表情、キュートなふるまい。プリンセス演じるオードリーのすべてがチャーミングだ。スペイン広場でアイスクリームを食べるシーン、ベスパの2人乗りなど、数々の名場面を生んだ。

★助演男優賞:フランク・シナトラ「地上より永遠に」

★助演女優賞:ドナ・リード「地上より永遠に」
※モンゴメリー・クリフトの恋人役。


■ベネチア国際映画祭

★作品賞(銀賞):6作品受賞
☆「雨月物語」監督:溝口健二

☆「ムーラン・ルージュ 赤い風車」監督:ジョン・ヒューストン
※公爵家に生まれながら事故により下半身の自由を失い、絵画の世界へ身を投じたフランス印象派の画家ロートレック(ホセ・ファーラー)の過酷な運命を描く。

★主演男優賞:アンリ・ビルベール「邪心なき顔」

★主演女優賞:リリー・バルマー「四本柱の寝台」


■カンヌ国際映画祭

★パルムドール:「恐怖の報酬」監督:アンリ・ジョルジュ・クルーゾー
※中南米ベネズエラ。油田で発生した大火事を消す為に必要なニトログリセリンの運搬役に2000ドルの報酬が掛けられた。少しでもトラックが揺れれば、荷台のニトロが爆発し、命は無くなる。そんな賭けに、吹きだまりから抜け出し、新たな生活を夢見るマリオ(イブ・モンタン)とジョー(シャルル・ヴァネル)、ビンバ(ピーター・ヴァン・アイク)とルイジ(フォルコ・ルリ)の4人が選ばれた。

★監督賞:該当なし

★主演男優賞:シャルル・バネル「恐怖の報酬」
※シャルル・バネルは、パリで食いつめた札つき男で、マリオ(イヴ・モンタン)と組んでニトログリセリンを運搬する意気地なしのジョーを演じた。

★主演女優賞:シャーリー・ブース愛しのシバよ帰れ

★国際批評家賞:「ぼくの伯父さん」(仏)
※監督・主演:ジャック・タチ。鮮やかな色彩や奇妙な音響、軽快な音楽、滑稽な登場人物たちが爽やかな笑いを贈るパントマイム的な映画。


★この年の主要な作品

◆「終着駅」監督:ビットリオ・デ・シーカ
※ローマに住んでいる妹を訪ねた米国人の若い人妻メアリー(ジェニファー・ジョーンズ)は、たまたま知り合った米伊混血の英語教師ジョヴァンニ(モンゴメリー・クリフト)と烈しく愛し合う。彼の烈しい情熱に、戸惑うメアリーだったが、やはり夫や子供のもとへ帰国する以外なかった。列車の席をとったメアリーのもとへ、発車直前、ジョヴァンニが駆けつける。刻一刻と迫る別れの切なさ。

◆「砂漠は生きている」製作:ウォルト・ディズニー
※ジェイムズ・アルガー監督作で、ディズニーの自然の冒険シリーズ第1作。砂漠には、生命を持ったものが存在しないように見えるが、砂漠はたえず自然の営みを続けているし、多くの動物植物が生活していた。

◆「聖衣」監督:ヘンリー・コスター
※ローマ帝政時代、キリスト教弾圧の手先となって働いていた貴族マーセラス(リチャード・バートン)は、キリスト処刑の際に聖衣に触れたことから神の愛に目覚め、やがて恋人のダイアナ姫(ジーン・シモンズ)とともにローマ皇帝の意に逆らうようになる。シネマスコープ第1作。

◆「バンド・ワゴン」監督:ヴィンセント・ミネリ
※人気が落ち目のスター(フレッド・アステア)が、ブロードウェイ時代の友人である脚本家夫妻と共に舞台での大ヒットを目指すミュージカル映画。

◆「乱暴者(あばれもの)」監督:ラズロ・ベネディック
マーロン・ブランド主演。バイクレースのトロフィーを強奪したライダーの一団が田舎町に押し寄せるが、やがて別の一団との抗争が勃発。バイクと皮ジャン。社会に反抗するアウトローのスタイルを確立した青春映画のバイブル的作品。

1950年代

1952年の映画(DVD)

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■アカデミー賞

★作品賞:「地上最大のショウ」監督:セシル・B・デミル
※世界最大のサーカス団で繰り広げられる華やかなショーと共に、そこに集う人々が織り成す人間ドラマをドキュメンタリータッチで描く。
出演はチャールトン・ヘストン, ジェームズ・スチュアート、ベティ・ハットン

★監督賞:ジョン・フォード静かなる男
※故郷のアイルランドに戻ってきた元ボクサー(ジョン・ウェイン)が、勝気な女(モーリン・オハラ)に恋をして巻き起こる騒動を描いた。ラストの殴り合いの長丁場は映画史上屈指とたたえられた名シーンである。

★主演男優賞:ゲーリー・クーパー真昼の決闘
フレッド・ジンネマン監督。教会で結婚式を挙げ、町を去ろうとしていた元保安官ケインと新妻エミー(グレース・ケリー)。そのとき、ケインに恨みを抱く4人のならず者たちが彼を殺しに町にやってくるという知らせが届く。留まって彼らと決闘するか、町から逃げるかで悩むケイン。決闘のときは一刻と近づいてきている。
ディミトリ・ティオムキンが「ハイ・ヌーン」等で音楽賞。

★主演女優賞:シャーリー・ブース愛しのシバよ帰れ
ダニエル・マン監督。以前可愛がっていて行方不明になった仔犬のシバを想い、現在の生活を無為に過ごす熟年夫婦(バート・ランカスター、シャーリー・ブース)が、一緒に住むようになった女学生・マリー(テリー・ムーア)を通して本当の幸せを探し求める姿を描いた作品。

★助演男優賞:アンソニー・クイン革命児サパタ
エリア・カザン監督。20世紀初頭のメキシコ。圧制の下、父祖伝来の土地を次々と奪われ怒りを燃やす農民のひとりサパタ(マーロン・ブランド)。自由と土地を求め、革命に命を懸けた男が最後に得たものは…。
アンソニー・クインはサパタの兄ユーフェミオ役。

★助演女優賞:グロリア・グレアム悪人と美女
ヴィンセント・ミネリ監督。ハリウッドの映画監督フレッド(バリー・サリヴァン)、脚本家ジェームズ(ディック・パウエル)、スター女優ジョージア(ラナ・ターナー)がとある撮影所長宅に招集され、大物プロデューサーのジョナサン(カーク・ダグラス)のカムバックに手を貸すよう、依頼される。しかし、三人にはジョナサンにまつわる苦い思い出があった…。


■ベネチア国際映画祭

★作品賞:「禁じられた遊び」監督:ルネ・クレマン
※1940年のフランス、ドイツの空襲で両親を失った少女ポーレット(ブリジット・フォッセー)は、少年ミシェル(ジョルジュ・ブージュリー)の家に世話になることに。二人はいろいろな動物の死のたびに墓を作り続ける。
子供の視線で戦争を描いた感動作。

★監督賞:溝口健二西鶴一代女
※老醜を厚化粧で隠し、道にたたずむ娼婦お春(田中絹代)。羅漢堂に入った彼女は、さまざまな仏像を見つめるうちに、今まで関わってきた男たちのことを思い返していく…。
溝口健二監督宿願の映画化。

★主演男優賞:フレデリック・マーチ「セールスマンの死」
※アーサー・ミラー原作(1949年発表)のピューリッツア賞受賞戯曲を制作のスタンリー・クレイマーがラスロ・ベネデクを監督に抜擢して映画化した。ウィリィ(フレドリック・マーチ)は63歳になるセールスマンだが、既に気力は尽き果て、過去の幻影と、自分を人並以上の人間だとする妄想の中だけに生きていた。妻(ミルドレッド・ダンノック)のすすめもあり、会社に内勤への移動を願い出るが、会社から解雇を言い渡される。

★主演女優賞:該当者なし


■カンヌ国際映画祭

★パルムドール:
☆「2ペンスの希望」監督:レナート・カステラーニ
※アントーニオ(ヴィンチェンツォ・ムゾリーノ)は兵役から帰ってきたが、貧しい家庭の長男である彼は母や姉妹を養うため休む間もなく仕事をしなければならなかった。だがどこも不景気で、村にも失業者があふれていた。ある日、職を探すため教会前の広場に出てきたアントーニオに花を投げて笑いながら逃げていった女がいた。彼女は花火屋の娘カルメラ(マリア・フィオーレ)だった。

☆「オセロ」監督:オーソン・ウェルズ
※オーソン・ウェルズが、監督・製作・脚本・主演でウィリアム・シェークスピアの戯曲の映画化。他の出演者は、デズデモーナにシュザンヌ・クルーティエ、イアーゴにマイケル・マクラマー、ロダリーゴにロバート・クート、キャシオにマイケル・ローレンス、イアーゴは妻エミリアにフェイ・コンプトン、キャシオの恋人で娼婦のビアンカにドリス・ダウリング。

★監督賞:クリスチャン・ジャック花咲ける騎士道

★主演男優賞:マーロン・ブランド革命児サパタ
※「革命児サパタ」は、1911年のメキシコ革命に活躍したエミリアノ・サパタの半生を描いたエリア・カザン監督作。ジョン・スタインベックが脚本を書いた。

★主演女優賞:リー・グラント探偵物語
ウィリアム・ワイラー監督。家庭内暴力を繰り返していた父親を恨み続け、犯罪を憎み、決して不正を許さない信条を貫いている熱血刑事ジム(カーク・ダグラス)が、貞淑な妻(エリノア・パーカー)の秘密を知ってしまうことに…。人物の個性が上手く描かれ、展開の面白さに目が離せない。リー・グラントは万引き犯役で受賞。


★この年の主要な作品

◆「ライムライト」監督:チャールズ・チャップリン
※第一次大戦前、ロンドンでの物語り・・・かつては一声を風靡した老道化師カルヴェロ(チャップリン)は中年を過ぎたいまはすっかり落ちぶれてしまった。ある日、彼がアパートに帰ってみると、美しい女(クレア・ブルーム)が自殺を企てて意識不明になって倒れていた。チャップリンが自らの老いの心境と人生の輪廻を哀感を込めて描いた。

◆「雨に唄えば」監督:ジーン・ケリースタンリー・ドーネン
※サイレントからトーキーへと転換期を迎えたハリウッドの楽屋裏をおもしろく見せながら、ジーン・ケリーデビー・レイノルズらと歌い、踊りまくる。ミュージカル映画の革命といえるほど斬新で感動的に仕上がった。共演のドナルド・オコーナーによるコミカルなナンバーや、ハリウッド随一のダンサー、シド・シャリースの踊りなど、見どころが満載。

◆「ノックは無用」監督:ロイ・ウォード・ベイカー
※パイロットのジェッド(リチャード・ウィドマーク)が宿泊するホテルのエレベーターボーイの伯父を訪ねてきたネル(マリリン・モンロー)。彼女はパイロットの恋人が墜落死したショックで精神を病み、さきごろ退院したばかり。伯父はホテル客の子守の仕事をネルに与えるが…。
マリリン・モンローは16作目にして初主演の本作で狂気の女を熱演。

1950年代

1951年の映画(DVD)

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■アカデミー賞

★作品賞:「巴里のアメリカ人」監督:ビンセント・ミネリ
※ラストにジーン・ケリーレスリー・キャロンがルノワールやロートレックの絵の世界に入り込み、踊るダンスシーンの豪華と完璧さは圧巻。ガーシュインの曲がモチーフに使われている。

★監督賞:ジョージ・スティーブンス陽のあたる場所
※貧しい青年ジョージ(モンゴメリー・クリフト)は、富豪令嬢のアンジェラ(エリザベス・テイラー)に心ひかれ、彼女との結婚の約束をとりつけるが、彼にはアリスという身寄りのない娘とも深い仲にあり、彼女から妊娠を告げられたジョージは、彼女を殺そうとするが……。

★主演男優賞:ハンフリー・ボガードアフリカの女王
ジョン・ヒューストン監督。ドイツ領コンゴ、ドイツ軍に兄を殺されたローズ(キャサリン・ヘップバーン)は、おんぼろ船「アフリカの女王」号の船長(ハンフリー・ボガート)と出会う。ドイツ軍に復讐するため河を下る2人に危機が次々に迫る中、互いに惹かれ合う。スリリングな追跡シーン、そして爽快なラストが心を揺さぶる。

★主演女優賞:ビビアン・リー欲望という名の電車
※エリア・カザン監督。休暇と偽って妹のステラを尋ねてきたブランチ(ビビアン・リー)。だが、彼女を嫌う妹の夫スタンリー(マーロン・ブランド)は、彼女と顔を合わせるたびに暴言を浴びせ続ける。揚げ句に恋人のミッチにブランチの暗い過去をばらし、彼女を精神的に追い込んでいく。テネシー・ウィリアムズの名戯曲を完全映像化。

★助演男優賞:カール・マルデン「欲望という名の電車」
※舞台時代から演じていたブランチの恋人ミッチ役で受賞。

★助演女優賞:キム・ハンター「欲望という名の電車」
※ブランチの妹ステラ役。ゴールデングローブ賞女優賞も受賞。


■ベネチア国際映画祭

★作品賞:「羅生門」監督:黒澤明
※本賞およびアカデミー賞外国語映画賞を受賞し、一躍世界に黒澤明監督の名前をとどろかせた傑作。時は平安時代、土砂降りの羅生門の下で、杣売り(志村喬)らが、3日前に起きた不思議な話を語り始めた。検非違使(森雅之)が殺され、盗賊の多襄丸(三船敏郎)が逮捕されるが、彼と検非違使の妻真砂(京マチ子)、さらにはイタコを使って冥界から呼び寄せた検非違使の霊と、それぞれ証言が異なっているのだ…。

★主演男優賞:ジャン・ギャバン「夜はわがもの」

★主演女優賞:ビビアン・リー欲望という名の電車



■カンヌ国際映画祭
★パルムドール:
☆「ミラノの奇蹟」監督:ビットリオ・デ・シーカ
※トト(フランチェスコ・ゴリザーノ)が六歳になった時、養い親のロロッタ婆さん(エンマ・グラマティカ)は死に、彼は十八歳になるまで孤児院に入れられた。やがて孤児院を出てミラノにやってきたトトは、街外れの広場に貧しい人々のための部落を作りはじめた。

☆「令嬢ジュリー」監督:アルフ・シェーベルイ
※アウグスト・ストリンドベルイの同名戯曲をアルフ・シェーベルイが脚色・監督して映画化。伯爵(アンデルス・ヘンリクソン)のひとり娘・ジュリー(アニタ・ビョルク)は夏至祭の夜、下男のヤン(ウルフ・パルメ)を挑発的な態度で誘い身を任せる。しかし、一夜明けて…

★監督賞:ルイス・ブニュエル忘れられた人々
※「忘れられた人々」は、感化院を脱走しスラム街に戻った少年が、仲間とともに悪行の限りを尽くしやがて破滅していく姿を描いたルイス・ブニュエル監督の中期を代表する作品。

★主演男優賞:マイケル・レッドグレーブ「The Browning Version」

★主演女優賞:ベティ・デイビスイヴの総て
※ジョセフ・L・マンキーウィッツが脚色及び監督を担当し、2年連続のアカデミー賞脚色賞、監督賞を受賞。ベティ・デイヴィスは、大女優マーゴ・チャニングを演じた。


★この年の主要な作品

◆「見知らぬ乗客」監督:アルフレッド・ヒッチコック
※ 列車の中でテニス選手ガイ(ファーリー・グレンジャー)は見知らぬ乗客ブルーノ(ロバート・ウォーカー)から声をかけられ、交換殺人をもちかけられるが、取り合わずに列車を降りた。しかし、ブルーノはガイの妻を殺害。容疑者として疑われるガイに再びブルーノが近づく―「今度は君の番だ」。パトリシア・ハイスミスの小説をレイモンド・チャンドラーが脚色。

◆「ホフマン物語」監督:マイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガー
※オッフェンバックのオペラを映画化したファンタジー。詩人・ホフマンが語る3つの幻想的な物語がオペラとバレエの手法によって展開される。魔法の眼鏡をかけてしまったホフマン(ロバート・ラウンズヴィル)は人形・オランピア(モイラ・シアラー)に恋をしてしまう。

◆「遊星よりの物体X」監督:ハワード・ホークス
※SF映画の幕開けとなった重要作。1982年にホラー映画の鬼才ジョン・カーペンターによって「遊星からの物体X」としてリメイクされた、カルト的人気を誇る傑作SF映画。

◆「地球の静止する日」監督:ロバート・ワイズ
※戦争など地球で勃発する数々の闘争が宇宙の星々の平和を脅かすとして、遊星よりの使者クラートゥ(マイケル・レニー)が地球に現れ、すべての争いをやめるべく地球人に勧告。しかし、それがなかなか聞き入れられないとなるや、彼は全世界の動力を停止するという手段に打って出た。特撮効果よりもドラマを重視した作りになっている。

◆「田舎司祭の日記」監督:ロベール・ブレッソン
※寒村に赴任した若き司祭(ジャン・リヴィエール)が、病に冒されながら強い信仰と使命感から献身的な努力を続けるが、村人から誤解を受けて悩む。陰影を巧みに活かした撮影が印象深い。

1950年代

1950年の映画(DVD)

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■アカデミー賞

★作品賞:「イヴの総て」監督:ジョセフ・L・マンキーウィッツ
※大女優マーゴ(ベティ・デイビス)は田舎から出て来た娘イヴ(アン・バクスター)を紹介された。イヴの哀しい身の上に同情したマーゴは、彼女を自分の秘書にする。しかしイヴは、次第にマーゴの周囲にこびては取り入りようになり…。マリリン・モンローの出世作でもある。

★監督賞:ジョセフ・L・マンキーウィッツ「イヴの総て」
※ジョーゼフ・L・マンキーウィッツは、1909年2月11日ペンシルベニア州ウィルクス=バール生まれ。コロンビア大学卒業後記者となる。パラマウント、MGM、20世紀フォックスで脚本家、製作者として活躍した後、1946年監督デビュー。アカデミー監督賞と脚本賞を2回ずつ受賞した。1993年2月5日没。

★主演男優賞:ホセ・フェラー「シラノ・ド・ベルジュラック」(VHSのみ)
※「シラノ・ド・ベルジュラック」は、スタンリー・クレイマー制作、マイケル・ゴードン監督作。
※ホセ・フェラーは、1909年1月8日プエルトリコ生まれ。10代でアメリカに渡り、ニューヨーク大学、プリンストン大学で学ぶ。舞台を経て、1948年映画デビュー。1992年1月26日没。

★主演女優賞:ジュディ・ホリディボーン・イエスタディ
※ジョージ・キューカー監督。億万長者ハリー(ブロデリック・クロフォード)は、世間の事を何も知らない無邪気な愛人ビリーに、最低限の教育を身に着けさせようと家庭教師(ウィリアム・ホールデン)を雇うが…。ビリー役で初主演ながら本賞を受賞したジュディ・ホリデイの傑作ラブロマンスコメディ。

★助演男優賞:ジョージ・サンダース「イブの総て」
ジョージ・サンダースは批評家アディスン役で受賞。

★助演女優賞:ジョセフィン・ハルハーヴェイ
※ヘンリー・コスター監督。米国中西部の田舎町に住むエルウッド(ジェームズ・スチュアート)と“ハーヴェイ”と呼ばれる白兎との交流を描くハートウォーミングドラマ。


■ベネチア国際映画祭

★作品賞:
☆「裁きは終わりぬ」監督:アンドレ・カイヤット

☆「明日では遅すぎる」監督:レオニード・モギー

★主演男優賞:サム・ジャフェアスファルト・ジャングル
ジョン・ヒューストン監督による犯罪ドラマ。宝石強奪を企むドクは、ボス・エメリックに話を持ち掛けるのだが…。初々しいマリリン・モンローが出演。

★主演女優賞:エレノア・パーカー「Caged 」
※エレノア・パーカーの他の出演作は、「サウンド・オブ・ミュージック」「黄金の腕」など。


★この年の主要な作品

◆「サンセット大通り」監督:ビリー・ワイルダー
※売れない映画脚本家ジョー(ウィルアム・ホールデン)の死体が、サイレント映画時代の大女優ノーマ(グロリア・スワンソン)の家のプールで発見された。なぜ、彼が殺されたのか?ハリウッドの内幕を冷酷なまでのタッチで描いた傑作。エリッヒ・フォン・シュトロハイムが召使役で。

◆「花嫁の父」監督:ビンセント・ミネリ
※結婚披露宴を終えた父スタンリー(スペンサー・トレイシー)は、ぐったりしながら愛娘ケイ(エリザベス・テイラー)が結婚へ至るまでの道程を思い返していく。彼女が結婚したいと言い出した食卓、相手の男バクレー(ドン・テイラー)の家は裕福で、妻エリー(ジョーン・ベネット)は嫁入り仕度で大はしゃぎ。そして、そして…。また、後にスティーヴ・マーティン主演のリメイク『花嫁のパパ』も製作された。

◆「アニーよ銃をとれ」監督:ジョージ・シドニー
※シンシナティにやってきたバファロー・ビルの西部ショー一座。町に住む野性的な少女アニー(ベティ・ハットン)は射撃の競技で一座の看板スター、フランクを負かして憧れの一座に入り、やがてフランクとも結ばれる。しかし、アニーの人気が高まるにつれてフランクは屈辱感を覚え、商売敵の一座へ転じる。そしてふたりは、ニューヨークの射撃競技で再び対決することになるのだが…。リチャード・ロジャースオスカー・ハマースタイン二世による傑作ミュージカルの映画化。

◆「拳銃王」監督:ヘンリー・キング
※ガンマン、ジミー・リンゴ(グレゴリー・ペック)は早撃ちを競うため喧嘩を売って来る者たちとの闘いに疲れ、そんな生活から足を洗うため妻子を尋ねるが、そこにも高名心に逸る若者の銃が……。

◆「オルフェ」監督:ジャン・コクトー
※詩人カフェに集うオルフェ(ジャン・マレー)は、そこに突如現れた美しき“死の国の王女”(マリア・カサレス)に魅せられ、やがて生と死の世界を往来するようになる。ギリシャ神話をモチーフに描く前衛的かつ幻想的な映像詩。

◆「忘れられた人々」監督:ルイス・ブニュエル
※ブニュエル監督の他の作品:「アンダルシアの犬」「昼顔」「哀しみのトリスターナ」「欲望のあいまいな対象」「小間使いの日記」「ブルジョワジーの密かな愉しみ」「赤いブーツの女

◆「シンデレラ」制作:ウォルト・ディズニー
※美しい映像や、アカデミー賞主題歌賞にノミネートされた「ビビディ・バビディ・ブー」を始めとする陽気なメロディー、魅力的なキャラクター、そしてファンタジックなストーリーで世界中を魅了したディズニーの代表作。
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