1960年代

1969年の映画(DVD)

1969年
アカデミー賞
★作品賞:真夜中のカーボーイ 監督:ジョン・シュレジンジャー
※ジョー・バック(ジョン・ヴォイト)は、カウボーイのいでたちでテキサスからニューヨークに出て来た。彼は自分の肉体と美貌を武器に、孤独なニューヨークの夫人達を慰め、そして富と栄光を得ようと考えていた。しかし、現実は思うようにいかず、孤独感に襲われていく。そんな時、彼は足の不自由なペテン師ラッツオ(ダスティン・ホフマン)と知り合った。まんまとラッツオにだまされたジョーは、必死に彼を探し歩いた。しかし、無一文で酒場にいた彼を見て、ジョーは何も言えなかった。逆に、ホテルを追い出されたジョーは、ラッツオの部屋に同居する事になる。しかしそれは、とり壊し寸前のビルの、廃屋のような一室であった。そこでラッツオはフロリダ行きの夢を語る。必死に、泥沼をはい上がろうと2人は力を合わせたが…。また、アメリカ初のX指定(成人向け)映画となった。
★監督賞:ジョン・シュレジンジャー「真夜中のカーボーイ」
※ジョン・シュレシンジャーは、1926年2月16日ロンドン生まれ。2003年7月24日に亡くなる。他の作品は、ダスティン・ホフマン主演「マラソン マン」 、ティモシー・ハットン主演の実話サスペンス「コードネームはファルコン」、マイケル・キートン、メラニー・グリフィス出演のサイコホラー「パシフィック ハイツ」、ベン・キングスレー主演の実話猟奇殺人事件「スウィーニー・トッド」、マドンナ主演「2番目に幸せなこと」などがある。
★主演男優賞:ジョン・ウェイン勇気ある追跡
※「勇気ある追跡」は、ヘンリー・ハサウェイ監督作。片目の保安官ルースター・コグバーン(ジョン・ウェイン)と若きテキサス・レンジャーのラ・ボーフ(グレン・キャンベル)は、父親のかたきを討とうとする14歳の娘マティ(キム・ダービー)の旅に同行することになり、犯人トム(ロバート・デュヴァル)を追う。ジョン・ウェインの晩年の当たり役。
★主演女優賞:マギー・スミス「ミス・ブロディの青春」
※マギー・スミスは、1934年12月28日イギリス生まれ。イギリスでは映画は元より舞台やTVにも意欲的に活動している。オックスフォード大学演劇科で学び、1956年に映画デビュー。イギリス王室よりデイムに叙勲されている名優。
★助演男優賞:ギグ・ヤングひとりぼっちの青春
※「ひとりぼっちの青春」はシドニー・ポラック監督作。大恐慌真っただ中の1932年。1500ドルの賞金を得る過酷なダンスレース「マラソンダンス」が始まろうとしていた。ハリウッドにやってきたロバート(sマイケル・サラザン)は、たまたまパートナーが出場できなくなったグロリア(ジェーン・フォンダ)と出会い、誘われるままに出場する。ギグ・ヤングはプロモーター役を演じた。
★助演女優賞:ゴールディ・ホーンサボテンの花
※「サボテンの花」ジーン・サックス監督作。妻子持ちと偽ってプレイボーイ振りを発揮している独身医師ジュリアン(ウォルター・マッソー)。ある日、若い恋人トニー(ゴールディ・ホーン)が自殺未遂したことから、急遽かたぶつの受付嬢兼看護士ステファニー(イングリット・バーグマン)を妻に仕立てて、危機を打開しようとする。ゴールディ・ホーンの愛らしいコメディエンヌぶりが魅力的だ。

ベネチア映画祭
※公式受賞作品の選出なし

カンヌ映画祭
★パルムドール:ifもしも・・・(リンゼイ・アンダーソン
※リンゼイ・アンダーソンは、1923年4月17日、父親がイギリス陸軍に所属していた関係でインドのバンガロールで生まれた。オックスフォード大学で学び、ドキュメンタリー映画の製作を経て、1963年に初の長編映画を製作。1994年8月30日に亡くなっている。
他に、「孤独の報酬」、「オー!ラッキーマン」、「怒りを込めて振り返れ」、「ブリタニア・ホスピタル」、「
八月の鯨」。「逆転無罪」がある。
★監督賞:
グラウベル・ローシャ「アントニオ・ダス・モルテス」
ボイチェク・ヤスニ「すべての善良な市民たち」
★主演男優賞:ジャン・ルイ・トランティニアン「Z」
★主演女優賞:バネッサ・レッドグレーブ「裸足のイサドラ」
★審査員特別賞:ADALEN31(スエーデン)
★国際批評家賞:アンドレイ・ルブリョフ 監督:アンドレイ・タルコフスキー
※製作は1966年。タルコフスキーの長編2作目。15世紀にロシアが生んだ不世出のイコン(聖像画)画家アンドレイ・ルブリョフを描いた映画。ソ連当局により上映中止になったが、フランスの業者によってカンヌ映画祭に出品された。

★この年の主要な作品
イージー・ライダー 監督:デニス・ホッパー
※ピーター・フォンダ製作。キャプテン・アメリカ(ピーター・フォンダ)とビリー(デニス・ホッパー)は、大型オートバイを駆って旅に出た。途中、ラスベガスの留置場で酔っ払いの弁護士ジョージ(ジャック・ニコルソン)と知りあい、3人は、ニューオーリンズを目指す。ステッペンウルフ、ザ・バンド、ジミ・ヘンドリックスなど、初めてロック音楽だけで映画音楽を構成した、画期的な作品である。アメリカン・ニューシネマの最高峰といわれる。
明日に向かって撃て! 監督:ジョージ・ロイ・ヒル
※1890年代のアメリカ西部。2人組の銀行強盗、ブッチ・キャシディ(ポール・ニューマン)とサンダンス・キッド(ロバート・レッドフォード)は、盗人仲間の誘いにのって、列車強盗を試み、大金を得た。この後ブッチは、鉱山資源の豊富なボリビアへ行って荒稼ぎしようと、サンダンスを誘う。そして、スペイン語のできるサンダンスのガール・フレンド、女教師のエッタ(キャサリン・ロス)も交えて、彼らはボリビアへ向かう。2人は実在の銀行強盗。主題歌はB.J.トーマスの「雨に濡れても」(明日に向かって撃て! ― オリジナル・サウンドトラック所収)も大ヒットした。アカデミー主題歌賞も獲得。
ワイルドバンチ 監督:サム・ペキンパー
※1913年、テキサスとの国境の町。パイク(ウィリアム・ホールデン)をリーダーに、ダッチ(アーネスト・ボーグナイン)ら5人組は鉄道の駅で強盗を働く。ところが、鉄道会社が雇った仮釈放中のソーントン(ロバート・ライアン)をリーダーとする3人の腕ききガンマンたちに逆襲されて大混乱。パイクたちが再び集まったのは老ガンマンのサイクス(エドモンド・オブライエン)の牧場だった。そしてサイクスも仲間に割り込み、再び旅が始まった。とにかく、登場するのは、とんでもない悪党ばかりで、「血の舞踏」とよばれたスローモーションのアクション・シーンが有名。
ウエスタン 監督:セルジオ・レオーネ
※ハーモニカを持つ「その男」(チャールズ・ブロンソン)が荒野の駅に降り立ち、3人のならず者を射殺した。その頃、婚約者ジルを待つ農場主マクベイン(フランク・ウルフ)が、殺し屋フランク(ヘンリー・フォンダ)一味に殺され、その罪は混血児シャイアン(ジェイスン・ロバーツ)になすりつけられる。一味はさらに、到着早々にして新妻から未亡人となり、マクベインの財産を引き継いだジル(クラウディア・カルディナーレ)の命をも狙うが、そのたびに「その男」に邪魔される。セルジオ・レオーネがアメリカで監督した西部劇。音楽はエンニオ・モリコーネ。
ハロー・ドーリー! 監督:ジーン・ケリー
※ジェリー・ハーマン作詞作曲の大ヒットミュージカルの映画化。世話好きの未亡人ドーリー(バーブラ・ストライサンド)は金持ちだが口やかましい男やもめホレス(ウォルター・マッソー)と帽子屋アイリーン(マリアン・マクアンドリュー)の仲を取り持とうと奔走するが、そのうちドーリー自身も彼を好きになってしまい、ついには自分を売り込んでしまう。ルイ・アームストロングが出演し、華を添えている。

1960年代

1968年の映画(DVD)

1968年
アカデミー賞
★作品賞:オリバー! 監督:キャロル・リード
※19世紀のロンドン。孤児オリバー(マーク・レスター)たちは、フェイギン(ロン・ムーディ)率いる盗賊団に拾われて手下にさせられ、さまざまな体験をするが、やがてオリバーが上流階級の子息であることがわかる。アカデミー賞作品・監督・美術監督・ミュージカル音楽・サウンド5部門受賞。
★監督賞:キャロル・リード「オリバー」
※キャロル・リードは、1906年12月30日ロンドン生まれ。父は俳優。カンタベリーで教育を受け、十代から俳優、台詞監督、助監督を経て1934年に“Midshipman Easy”で監督デビュー。1953年映画監督として初めてナイトの称号を受ける。1976年4月25日他界。他の主な作品は、「最後の突撃」(1944)、「邪魔者は殺せ」(1947)、「落ちた偶像」(1948)、「第三の男」(1949)、「空中ぶらんこ」(1956)、「ハバナの男」(1959)、「フォロー・ミー」(1972) 。
★主演男優賞:クリフ・ロバートソンアルジャーノンに花束を」原題「Charly」、公開時の邦題「まごころを君に」
※「アルジャーノンに花束を」は、ダニエル・キースの小説「アルジャーノンに花束を」をラルフ・ネルソンが製作、監督した。肉体的には大人だが、精神的には子供の青年チャーリー(クリフ・ロバートソン)は、脳手術によって一般人を上回る知能を身につける。親身になってくれた夜学の女教師アリス(クレア・ブルーム)との恋も成就し、順風満帆な日々を送っていた。ある日彼と同様の手術を施されたねずみのアルジャーノンの死を目撃し、彼は悲しみと恐怖のどん底につき落とされる。
★主演女優賞:
キャサリン・ヘプバーン冬のライオン
※「冬のライオン」はアンソニー・ハーベイ監督作。1183年、イギリス国王ヘンリー二世(ピーター・オトゥール)は、後継者を決めるために一族である、幽閉の身の王妃エレオノール・ダキテーヌ(キャサリン・ヘップバーン)、長子リチャード(アンソニー・ホプキンズ)、次男ジェフリー(ジョン・キャッスル)、末子ジョン(ナイジェル・テリー)を召集した。そこに、フランス国王フィリップ(ティモシー・ダルトン)とその姉で、王の愛人アレース(ジェーン・メロウ)が加わった。そこでは、一族の複雑な家族関係を背景に、権力を巡る巧妙な駆け引き、愛と憎しみが激しくぶつかり合う。
バーブラ・ストレイザンドファニー・ガール
※ウィリアム・ワイラー監督作。踊り子ファニー・ブライス(バーブラ・ストレイサンド)は、はいつも失敗ばかりで、コーラスからもはずされたが観客にはこれが大いに受け、劇場主キーニーは今までよりも高給で彼女を雇わねばならなかった。ファニーのショウは話題となり、ジーグフェルド(ウォルター・ピジョン)一座のコメディアン・シンガーとして引き抜かれ、人気スターになってゆく。そんな時、以前ファニーを引き抜こうとしたギャンブラーのニック(オマー・シャリフ)が彼女の前に再び現れる。
ステージ・シーンの演出はハーバート・ロス。ジーグフェルド・フォリーズの名優、ファニー・ブライスの伝記をミュージカルにした舞台劇の映画化だが、バーブラ・ストレイザンドはこの舞台でデビューを果たしており、まさに当たり役。
★助演男優賞:ジャック・アルバートソン「The Subject Was Roses」
※ジャック・アルバートソンは1907年6月16日、マサチューセッツ州マルデン生まれ。「三十四丁目の奇蹟」、「愛情物語」、「酒とバラの日々」、「女房の殺し方教えます」、「ポセイドン・アドベンチャー」、「夢のチョコレート工場」、ゾンビ映画「ゾンゲリア」などに出演している。1981年11月25日死去。
「The Subject Was Roses」では、1962年の「ハッド」でアカデミー主演女優賞を受賞したパトリシア・ニールが主演女優賞にノミネートされた。
★助演女優賞:ルース・ゴードンローズマリーの赤ちゃん
※「ローズマリーの赤ちゃん」はロマン・ポランスキー脚本・監督作。マンハッタンの古いアパートに新婚のローズマリー(ミア・ファロー)と夫の俳優ガイ(ジョン・カサベテス)が引っ越してきた。ある日、隣室のミニー夫人(ルース・ゴードン)が作ったデザートを食べたローズマリーは、気分が悪くなり、その夜、毛むくじゃらの悪魔に犯される夢を見る。やがてローズマリーは妊娠するが、彼女の身の回りで不可解なことが続いて起こる。
ルース・ゴードンは、1896年10月30日、マサチューセッツ州生まれ。1965年、ロバート・マリガン監督、ロバート・レッドフォード、ナタリー・ウッド主演の「サンセット物語」でアカデミー助演女優賞を受賞。他に、当時79歳で出演し、シリーズ最高齢の★★役を演じた「刑事コロンボ」、短気で頑固な主人公の母親役で存在感を示した、クリント・イーストウッド主演の「ダーティファイター」と続編「ダーティファイター 燃えよ鉄拳」などがある。

ベネチア映画祭
★作品賞:Artisten in der zirkushuppel:ratlos(アレクサンデル・クリューゲ)
★主演男優賞:ジョン・マーレイ「フェイシズ」
※「フェイシズ」は監督2作目で脚本も書いたジョン・カサヴェテス。リチャード(ジョン・マーレイ)と妻マリア(リン・カーリン)の冷めてしまった中年夫婦の関係を中心として、リチャードの旧友フレディ(フレッド・ドレイパー)と娼婦ジェニー(ジーナ・ローランズ)を加えた2日間の出来事。
ジョン・マーレイは、「ある愛の詩」、「ゴッドファーザー」(ハリウッドで絶大な権力を持つプロデューサー、ウォルツ役)、「3人のゴースト」などに出演している。
★主演女優賞:ラウラ・ベッティテオレマ
※「テオレマ」は、ピエル・パオロ・パゾリーニ監督作。ミラノの高級住宅街に住むブルジョワ一家。父のパオロ(マッシモ・ジロッティ)は大工場主、 美しい母ルチア(シルヴァーナ・マンガーノ)、高校生の長男ピエトロ(アレドレ・ホセ・クルス)、 女学生の長女オデッタ(アンヌ・ヴィアゼムスキー)、それに家政婦エミリア(ラウラ・ベッティ)の五人がいる。ある日、「明日着く」との名無し電報があり、翌日、パーティーにきた見知らぬ不思議な青年(テレンス・スタンプ)は そのまま邸にとどまることになる。しかしその後、家族に異様な変化が・・・。
ラウラ・ベッティは、何故か神の生まれ変わりのような存在として村人たちに崇め奉られる家政婦で、美しい青年を愛する事で神の啓示を受けた聖女のように変化していくエミーリアを演じた。また、彼女はパゾリーニの死後もパゾリーニ財団を管理している。

カンヌ映画祭
※五月革命のため中止

★この年の主要な作品
2001年宇宙の旅  監督:スタンリー・キューブリック
※これは、キューブリックアーサー・C・クラークがアイデアを出し、クラークが小説としてまとめ、後に二人で脚本し、キューブリックが監督したSF映画である。SF映画としては例外的と言えるほど、科学的に正しく描写されている事でも評価されている。また、「ツァラトゥストラはかく語りき」、「美しく青きドナウ」、リゲティの「ルクス・エテルナ」や「アトモスフェール」など、クラシック音楽が効果的に用いられた。アカデミー賞特殊視覚効果賞とヒューゴー賞受賞。
400万年前の人類誕生以来、人類の進歩の過程で必ずその姿を現す黒石板モノリス。この謎の物体を解明するため、ボーマン船長(キア・デュリア)ら5人の科学者と、最高の性能をもつ人工知能HAL9000を乗せ、宇宙船ディスカバリー号が木星に旅立つ。
猿の惑星  監督:フランクリン・J・シャフナー
※宇宙飛行士のテイラー(チャールトン・ヘストン)たちは、宇宙に飛び立って1年6か月後、ある惑星に不時着した。その惑星は青々とした森、温暖な気候、そして呼吸可能な大気を持ち合わせていた。まさに地球のように。しかし、一見天国のようなその惑星は、実はまったく違う顔をもっていた。そこでは猿が支配者で、人間は猿の奴隷にされていたのだった。
原作は、フランスの作家ピエール・ブウルのSF小説「猿の惑星」だが、有色人種である日本軍の俘虜となった屈辱的な経験を題材として描かれたといわれている。
猿人の特殊メイクはアカデミー特別賞(メイクアップ)を受賞し、のちにメイクアップ賞が設立されるきっかけとなった。
バーバレラ 監督:ロジェ・バディム
※ジャン・クロード・フォレストによるフランスのSFエロティックコミックの映画化。西暦4万年の未来。宇宙飛行士バーバレラ(ジェーン=フォンダ)は、全裸で、宇宙遊泳しながらヴァカンスを楽しんでいたが、そこへ大統領から、地球壊滅の凶器ともなる「宇宙破壊光線」を発明したまま行方をくらました若きマッド・サイエンティスト、デュラン・デュランを探すという秘密指令が下る。宇宙の運命を背負ってバーバレラはレーザー銃とセックスを武器に広大なる宇宙に旅立つ。ジェーン・フォンダのセクシー・ボデーとあえぎ声、無重力ストリップや、オルガスマトロンと名づけられた性的拷問装置など、セクシー・アイデア満載。
ブリット 監督:ピーター・イエーツ
※警官ブリット(スティーブ・マックイーン)が、野心的な政治家チャーマース上院議員(ロバート・ヴォーン)に、シンジケートをつぶすための公聴会の重要証人を護衛するよう依頼される。しかし、ブリットの非番中に、かくまっていたホテルに殺し屋が現れ、刑事と証人が撃たれる。事件に疑問を感じたブリットは、チャーマースの追及にもかかわらず犯人を見つけようとする。
坂道の多いサンフランシスコの公道で繰り広げたスタントなしのカーチェイスシーンはこの映画のハイライト。
ブリットの恋人にジャクリーヌ・ビセット
ロミオとジュリエット 監督:フランコ・ゼフィレッリ
※長年敵対する家同士のロミオ(レナード・ホワイティング)とジュリエット(オリヴィア・ハッセー)は、互いに深く愛しあいながらも、やがて悲劇的結末へと突き進んでいく。数知れないほど舞台や映画になったシェイクスピアの悲劇をフランコ・ゼフィレッリ監督が斬新で若々しいスタイルで描いた。

1960年代

1967年の映画(DVD)

1967年
アカデミー賞
★作品賞:夜の大捜査線 監督:ノーマン・ジュイソン
※ミシシッピーの田舎町スパルタ。警官サム(ウォーレン・オーツ)は深夜のパトロール中、町の実業家コルバートが殺害されているのを発見した。連絡をうけた署長ビル・ギレスピー(ロッド・スタイガー)は早速行動を開始した。気負ったサムは駅で列車をまっていた黒人を容疑者として逮捕した。ところがその黒人はバージル・ティッブス(シドニー・ポワチエ)というフィラデルフィア警察殺人課の優秀な刑事で、休暇で帰っていたのだった。初めて殺人事件を扱うギレスピーはベテランのティッブスの協力を得たいと思うが、人種偏見の強い土地柄、どうしても頭をさげることができなかった。だが殺人犯として逮捕された不良少年が犯人ではないと断定したティッブスにギレスピーは助力を頼む。
アカデミー賞は作品、主演男優、脚色、音響、編集と5冠。
★監督賞:マイク・ニコルズ卒業
※「卒業」は若き日のダスティン・ホフマン主演の青春映画の名作。ベンジャミン(ダスティン・ホフマン)は優秀な成績で大学を卒業したが、将来に対する漠然とした不安で苛立っていた。両親が卒業祝いで開いたパーティーでロビンソン夫人(アン・バンクロフト)と出会う。数日後、ベンジャミンがデートを申し込み、2人は、しばしばホテルで会うようになった。だが、ロビンソンの娘エレーヌ(キャサリン・ロス)が学校休みで戻ってくる。両親の勧めで、初めはいやいやエレーヌとつき合ったベンジャミンだが、その可憐さ、清純さに次第に本気で愛するようになる。サイモン&ガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」など「卒業-オリジナル・サウンドトラック」も大ヒットした。
マイク・ニコルズ監督は、1931年11月6日ベルリン生まれ。シカゴ医大中退。俳優を経て舞台演出でさまざまな賞を受賞。映画監督デビューは、66年の「バージニア・ウルフなんかこわくない」。その後は「キャッチ22」、「イルカの日」、「ワーキング・ガール」、「バードケージ」、「心みだれて」など、娯楽作でありながら社会風刺をきかせた作品が多い。
★主演男優賞:ロッド・スタイガー「夜の大捜査線」
※ロッド・スタイガーは、1925年4月14日ニューヨーク州生まれ。第二次世界大戦では海軍に所属。除隊後、アクターズ・スタジオで演技を学ぶ。テレビ出演を経て1951年に映画デビュー。1954年、エリア・カザンの「波止場」で注目される。1964年には「質屋」でベルリン国際映画祭男優賞受賞。2002年7月9日他界。
他の出演作は、「オクラホマ!」、「乙女座殺人事件」、「悪魔の棲む家」。「魔の山」。「気まぐれな狂気」、「夢の旅路」、「クレイジー・イン・アラバマ」、「ドクトル・ジバゴ」などがある。
★主演女優賞:キャサリン・ヘプパーン招かれざる客
※「招かれざる客」はスタンリー・クレイマー製作・監督作。黒人で世界的に著名な青年医師ジョン(シドニー・ポワチエ)と、白人女性ジョーイ(キャサリン・ホートン)はハワイで知り合い、互いに愛し合う。ジョーイの母クリスティ(キャサリン・ヘップバーン)は、娘の婚約者が黒人であることに驚くが、娘の嬉々とした様子に、動揺は次第に喜びに変わる。だが、父のマット(スペンサー・トレイシー)は、そうはいかなかった。新聞社を経営し、人種差別と闘ってきたマットも、自分の娘のこととなれば、話はちがった。そしてジョンの両親もやって来る。
キャサリン・ヘップバーンは1907年5月12日コネチカット州ハートフォードで裕福な医者の娘として生まれる。ブリン・モーア大学でで心理学博士の学位を得た後、舞台を経て1932年に映画デビュー。1933年の「勝利の朝」で主演女優賞を初受賞した。更に1960年代に2度、そして1980年代に一度と50年に渡り4度主演女優賞を受賞している。受賞4回は俳優では最多である。ちなみにノミネートは12回でこれは2番目。受賞作、ノミネート作は、「勝利の朝(1933)」、「乙女よ嘆くな(1935)」、「フィラデルフィア物語(1940)」、「女性No.1(1942)」、「アフリカの女王(1951)」、「旅情(1955)」、「雨を降らす男(1956)」、「去年の夏 突然に(1959)」、「Long Day's Journey into Night(1962)」、「招かれざる客(1967)」、「冬のライオン(1968)」、「黄昏(1981)」の12作。2003年6月29日他界。
★助演男優賞:ジョージ・ケネディ暴力脱獄
※「暴力脱獄」はスチュアート・ローゼンバーグ監督作。原題は「COOL HAND LUKE(図々しいルーク)」。原作は実際に刑務所の経験があるドン・ピアーズの小説。
パーキングメーターを破ったルーク(ポール・ニューマン)は懲役2年の刑を言い渡された。刑務所仲間は強面の連中ばかりだったが、それ以上に、看守も猛者ぞろいだった。囚人と看守は絶えず反目していた。ルークの新入りらしからぬ図々しくて、容量のいい態度は仲間の反感を買い、とくにボスのドラグライン(ジョージ・ケネディ)は気に入らなかった。ある日2人は命をかけての殴り合いとなり、ついにルークが勝つ。リーダーはドラグラインからルークの手に渡った。数日後、病に老いたルークの母(ジョー・V・フリート)が訪ねてきた。面会時間が切れて、母を見送った時、ルークは、もう母に会うことはあるまい、と思う。そして、母の死を知らせる電報が届く。
ジョージ・ケネディは、1925年2月18日ニューヨーク生まれ。父はオーケストラの指揮者、母はヴォードビルのダンサー。2歳で舞台に立ち、7歳でラジオのディスク・ジョッキーを務めた。17歳で第二次世界大戦に従軍、陸軍のラジオ関係の仕事をした。60年映画デビュー。主な出演作は、「シャレード」、「荒野の七人」、ジェームズ・スチュワート主演「シェナンドー河」、「エアポート'75」、「大地震」、「アイガー・サンクション」、「人間の証明」、「エアポート’80」、「裸の銃を持つ男」。「裸の銃を持つ男 PART2 1/2」、「裸の銃を持つ男 PART33 1/3」。
★助演女優賞:エステル・パーソンズ俺たちに明日はない
※「俺たちに明日はない」はアーサー・ペン監督のアメリカン・ニューシネマの金字塔的作品。クライド(ウォーレン・ベイティ)が駐車中の車を盗もうとした時、ボニー(フェイ・ダナウェイ)と出会う。気が合った2人は、次々と犯行をくり返す。それにつれて2人の仲も次第に深くなっていった。ほどなくC・W(マイケル・J・ポラード)を加え、自動車泥棒でかせぎまくった。しかし、クライドの兄バック(ジーン・ハックマン)とその女房ブランシュ(エステル・パーソンズ)加わり、ボニーとブランシュが気が合わず、調子が狂いだす。
エステル・パーソンズのたの出演作は、「リチャードを探して」(1996年)、「ボーイズ・オン・ザ・サイド」(1995年)、「ディック・トレイシー」(1990年)、「父の肖像」、「レーチェル レーチェル」(1968年)などがあある。

ベネチア映画祭
★作品賞:昼顔 監督:ルイス・ブニュエル
※ジョゼフ・ケッセルの同名小説の映画化。セブリーヌ(カトリーヌ・ドヌーブ)とピエール(ジャン・ソレル)は、幸せそのものの若夫婦。だが、セブリーヌは八つの時の異常な経験がトラウマとなって妖しい妄想にかられることがあった。ある時、セブリーヌは友人のルネ(マーシャ・メリル)から、良家の夫人たちが、夫には内証で売春をしている事を聞き、大きな衝撃を受けたが、強くひかれるものもあった。一時は内心のうずきを抑えたもののセブリーヌは、自分でもわからないまま、そういう女たちがいる家を訪ねる。
★主演男優賞:リュビサ・サマルビッチ「夜明け」
★主演女優賞:シャーリー・ナイト「ダッチマン」
※シャーリー・ナイトは、1937年7月5日カンザス州生まれ。UCLAで学ぶ。TVを経て、1959年「野獣部隊」で映画デビューし、1960年「階段の上の暗闇」、1961年、リチャード・ブルックス監督、 ポール・ニューマン主演「渇いた太陽」でアカデミー助演女優賞の候補となる。

カンヌ映画祭
★パルムドール:欲望 監督:ミケランジェロ・アントニオーニ
※深夜の公園でカップルを盗み撮りした売れっ子カメラマンのトーマス(デヴィッド・ヘミングス)。そのことに気づいたカップルの女性(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)は、彼にネガを出せと迫る。彼女に別のネガを渡したトーマスが本物を現像してみると、そこに映されていたものは…。
★監督賞:フェレンツ・コーシャ「一万の太陽」
★主演男優賞:オデッド・コトラー「一人の子供のための3日」
★主演女優賞:ピア・デゲルマルクみじかくも美しく燃え
※「みじかくも美しく燃え」は、脚本・編集も担当したボー・ヴィーデルベリ監督作。夏も終りに近いスウェーデンの片田舎。妻子ある伯爵のスパーレ中尉(トミー・ベルグレン)は、美しいサーカスの娘エルヴィラ(ピア・デゲルマルク)と駆け落ちする。友人の説得も聞き入れず、恋の高揚のままに逃避行を重ねる日々。手配書が回るなか、ふたりは森の奥へ奥へと分け入っていく。1889年、スウェーデンで実際に起こった事件がモデル。
ボー・ヴィーデルベリの他の出演作は、「鏡の国の戦争(コロンビア・トライスター ウォー・ムービーズ・コレクションBOX 2 [冷徹な戦場編]に収録)」、「さよならを言わないで」などがある。
★審査員特別賞:
できごと 監督:ジョセフ・ロージー
※中年の大学教授スティーブン(ダーク・ボガード)は教え子のアンナ(ジャクリーヌ・ササール)に惹かれていくが、彼女は婚約者ウィリアム(マイケル・ヨーク)以外にスティーブンの同僚チャーリー(スタンリー・ベイカー)とも関係を持っていた。
ジョセフ・ロージーは赤狩りでハリウッドを追われ、イギリスに亡命する。その後も5年あまり、自分の名前では作品を発表できない状態が続き、やむを得ず3つの変名で映画を撮っていた。その後一度もアメリカに戻ることなく、ヨーロッパで、映画をとり続けた。他の作品は、「緑色の髪の少年」、「恋」(1971年)、「パリの灯は遠く」(1976年)、「エヴァの匂い」(1962年)、「暗殺者のメロディ」(1972年) 、「召使」(1963年) などがある。
☆ジプシーの唄をきいた(ユーゴスラビア)
★国際批評家賞:
☆できごと(英)
☆ジプシーの唄をきいた(ユーゴスラビア)

★この年の主要な作品
モダン・ミリー 監督:ジョージ・ロイ・ヒル
※チャールストン華やかなりし1920年代、田舎からニューヨークへ出てきたミリー(ジュリー・アンドリュース)は、瞬く間にモダン・ガールに変身。そして彼女は二枚目若社長トレヴァー(ジェームズ・フォックス)に熱を上げるが、彼は女優ドロシー(メアリー・タイラー・ムーア)に夢中だ。ある日、ドロシーがチャイナタウンに連れ去られてしまい、ミリーはトレヴァーに頼まれて彼女の救出に向かう。エルマー・バーンスタインがアカデミー賞作曲賞を、金持ち未亡人役のキャロル・チャニングがゴールデングローブ賞助演女優賞受賞。
キャメロット  監督:ジョシュア・ローガン
※アーサー王伝説をテーマにしたミュージカル。他国との争いに常に勝利したアーサー王(リチャード・ハリス)は、力のみが正義なのか?と疑う。王妃グエナビア(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)の賛成をえて、アーサー王は新しい騎士制度の創設を思いたち、すべての国王に武器を捨て我がもとへ集まれと招いた。こうして円卓の騎士と、平和の楽園「キャメロット」が生れた。呼びかけは海峡をこえ、フランスの騎士ランスロット(フランコ・ネロ)もそれに応じた。アーサー王への献身を誓ったのちの宴席でランスロットははじめてグエナビアを知り、その美しさに抑えがたい愛を感じた。道ならぬ恋の苦しみから逃れるため、ランスロットは剣の遠征に出発する。原作はT・H・ホワイトの小説「円卓の騎士」。
いつも二人で 監督 :スタンリー・ドーネン
※原作はフレドリック・ラファエル「愛情の限界」。結婚20年で倦怠期となったマーク(アルバート・フィニー)とジョアンナ(オードリー・ヘプバーン)が再び愛を取り戻すためにフランスへ旅行に出かける。オードリー・ヘプバーンとスタンリー・ドーネン監督は「シャレード」に続くコンビ作。オードリー・ヘプバーンは、当時、離婚騒動の真っ最中だったため、そのリアルな演技が話題を呼び、オードリーの主演作の中で最高と評価する批評家もいた。DVDは「オードリー・ヘプバーン セット」として、「おしゃれ泥棒」「噂の二人」「許されざる者」と共に収録されている。
暗くなるまで待って 監督:テレンス・ヤング
※カナダからニューヨークに帰る途中に知り合った女から、夫のサム(エフレム・ジンバリスト・ジュニア)が人形を預かって来たことで、盲目の妻スージー(オードリー・ヘップバーン)は、思いがけない事件にまきこまれる。人形の中には、ヘロインが縫いこまれていたのだ。そのヘロインをとり戻すべくマイク(リチャード・クレンナ)、カルリーノ、そして犯罪組織のリーダー・ロート(アラン・アーキン)の3人が、スージーのアパートに集まる。
ベトナムから遠く離れて 監督:ジャン=リュック・ゴダールほか。
※ベトナム戦争を、このまま傍観することはできないという意図のもとに、アラン・レネ、ウィリアム・クライン、ヨリス・イベンス、アニエス・ヴァルダ、クロード・ルルーシュ、ジャン・リュック・ゴダールら六人の映画作家が、それぞれ自由な立場で、南ベトナム民族解放戦線への連帯意識を表明した作品。
007は二度死ぬ 監督:ルイス・ギルバート
※米ソ両国の直接対決を目論む巨大犯罪組織スペクターの陰謀を阻止すべく、英国諜報部員007ことジェームズ・ボンド(ショーン・コネリー)は日本に赴く。若林映子, 浜美枝, 丹波哲郎、ドナルド・プレザンスらが出演。
私は好奇心の強い女 監督:ヴィルゴット・シェーマン
※1968年にアメリカでの公開をめぐって裁判となり、sノーマン・メイラーをはじめとする知識人が徹底擁護の論陣を張ってノーカット上映が許可され、ポルノ解禁の火付け役になった伝説的な作品。主演はレナ・ニーマン、ボリエ・アールステッド

1960年代

1966年の映画(DVD)

1966年
アカデミー賞
★作品賞:わが命つきるともフレッド・ジンネマン
※16世紀のイギリスで、ヘンリー8世(ロバート・ショー)は妻と離婚して王妃アン(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)と結婚しようとしていたが、当時の国教ローマ・カトリックでは離婚の際ローマ教皇の許可を必要としていたため、大法官秘書クロムウエル(レオ・マッカーン)はトマス・モア卿(ポール・スコフィールド)にその調停を依頼するが卿はそれを断固拒否し続けたため、枢密卿(オーソン・ウェルズ)の怒りを買い、やがてクロムウェルの陰謀によって処刑される。
★監督賞:フレッド・ジンネマン「わが命つきるとも」
※16世紀イギリスがローマ・カトリックと絶縁し、イギリス国教会を建立するに至った事件のあらましを、トマス・モアの忠誠を中心に描いたロバート・ボルトの舞台劇の映画化。アカデミー賞作品・監督・主演男優・脚色・撮影・衣装の6部門を受賞。
★主演男優賞:ポール・スコフィールド「わが命つきるとも」
★主演女優賞:エリザベス・テイラーバージニア・ウルフなんかこわくない
※監督:マイク・ニコルズ。ニューイングランドのある大学の構内にある住宅に住む教授ジョージ(リチャード・バートン)とその妻マーサ(エリザベス・テイラー)。結婚23年目を迎えたこの夫婦の関係はすでに冷え切っており、ただののしりあうばかりの日々。そんな折、若い生物学教師ニック(ジョージ・シーガル)とその妻ハニー(サンディ・デニス)がジョージの家を訪れた。「卒業」のマイク・ニコルズ監督の映画デビュー作。リズも受賞が当然といった熱演。
★助演男優賞:ウォルター・マッソー恋人よ帰れ!わが胸に
※監督・製作・脚本:ビリー・ワイルダー。黒人フットボール選手にタックルされたTVカメラマンのハリー(ジャック・レモン)。逃げた妻とヨリを戻すために弁護士の義兄(ウォルター・マッソー)の提案で半身不随を装い、巨額の損害賠償をせしめようとするが……。
★助演女優賞:サンディ・デニス「バージニア・ウルフなんかこわくない

ベネチア映画祭
★作品賞:アルジェの戦いジッロ・ポンテコルボ
※1950年代のアルジェリア。10年に及ぶ独立運動の激しい戦闘をドキュメンタリータッチで描いた作品。数々の証言や記録に基づき映像化、8万人のアルジェリア市民が参加し、兵器も軍隊の協力を得るなどして徹底したリアルさを追求している。本賞の授賞式ではフランス代表団がボイコットした。
★主演男優賞:ジャック・ペラン「半人前の男」「La Busca」
※ジャック・ペランの出演作は、「ニュー・シネマ・パラダイス」、「ロバと王女」。監督として、「WATARIDORI」がある。
★主演女優賞:ナタリー・アリンバサーロワ「最初の教師」

カンヌ映画祭
★パルムドール:
s男と女クロード・ルルーシュ
※妻に自殺されたレーサー(ジャン・ルイ・トランティニヤン)と、スタントマンの夫と死別した女(アヌーク・エーメ)が、お互いの過去に引きずられながらも惹かれあっていく。モノクロとセピアカラーを使い分けた画面と、フランシス・レイのボサノヴァ調の主題曲が見事に融合した、流麗でスタイリッシュな映像詩。
☆蜜がいっぱい(ピエトロ・ジェルミ)
★監督賞:セルゲイ・ユトケーヴィッチ「ウラジミール・レーニンの想い出」
★主演男優賞:ペール・オスカルソン「飢え」
★主演女優賞:バナッサ・レッドグレーブ「モーガン」
★審査員特別賞:アルフィー(英) 監督:ルイス・ギルバート
※ロンドンに住むアルフィー(マイケル・ケイン)は、定職にもつかずに女性たちとの甘い時間を過ごしていた。しかしいつしか皆、彼の下を離れていき…。共演はシェリー・ウィンタース。後にジュード・ロウ主演で『アルフィー』と同じタイトルでリメイクされた。
★国際批評家賞:
☆戦争は終わった(仏/スエーデン)
☆テルレスの青春(西独/仏)

★この年の主要な作品
ミクロの決死圏 監督:リチャード・フライシャー
※手術不可能な脳内出血患者を救うべく、人間を細菌以下にミクロ化し、人体内部から治療しようという前代未聞の極秘プロジェクトが開始され、5人の医者が体内へ送り込まれていく。しかし、彼らがミクロ化していられる時間はわずか60分しかない。奇抜かつ斬新なアイデアがすばらしいSF冒険映画。シュールレアリストのダリが美術を担当。出演はスティーブン・ボイド、ラクウェル・ウェルチ、エドモンド・オブライエンほか。
野生のエルザ 監督:ジェームズ・ヒル
※原作はジョイ・アダムソンのノン・フィクション小説。ケニアの狩猟監察官ジョージ・アダムソン(ビル・トラヴァース)とその妻ジョイ(ヴァージニア・マッケナ)は、射殺された人食いライオンの子を引き取り、エルザと名付けて育てるが、やがて夫妻はケニアを離れることになり、人間に慣れ切ったエルザを野生に戻そうと腐心する。ラストの静かな感動は、観る者に忘れられない余韻を残す。ジョン・バリー作曲の主題曲『ボーン・フリー』も世界的に大ヒット。
プロフェッショナル 監督・製作・脚本:リチャード・ブルックス
※1917年のメキシコ革命最中のテキサス。妻・マリア(クラウディア・カルディナーレ)を革命派のリーダーに誘拐された油田主・グラントは、妻を奪い返すため4人の戦争のプロ(バート・ランカスター、リー・マーヴィン、ロバート・ライアン、ジャック・パランス)を雇う。
ワイルド・エンジェル 監督:ロジャー・コーマン
ピーター・フォンダが、バイクとドラッグを愛する暴走族を演じた傑作アクション。実在のカリフォルニアのヘルス・エンジェルズをモデルに製作されたと言われる。また『イージー・ライダー』のアイデアはこの作品から生まれた。
華氏451 監督:フランソワ・トリュフォー
※原作はレイ・ブラッドベリのカルト小説。全てが機械化され、あらゆる知識や情報が全てテレビによって伝達される近未来を舞台に、禁止されている読書の虜となった男の姿を通し、物欲主義への非難をシニカルに描いた作品。出演は、オスカー・ウェルナー, ジュリー・クリスティ, シリル・キューザック
荒野の1ドル銀貨  監督:カルヴィン・ジャクソン・パジェット
※農民グループに味方していた弟は、悪党の策略にかかり兄とは知らずにゲイリー(ジュリアーノ・ジェンマ)を撃ってしまい、自分も無残にも射殺される。胸にあった1ドル銀貨のおかげで命を取り留めた兄は弟の敵を討つため、顔役一味と対決する決意を固める。
南から来た用心棒
※用心棒・ジェンマの華麗なガン捌きを堪能できる一作。
仮面/ペルソナ 監督:イングマール・ベルイマン
※女優のエリザベートは、舞台の出演中に突然セリフを忘れ、失語症と無感動状態に陥ってしまう。彼女は看護婦アルマとともに海辺の別荘で療養生活をはじめる。出演はビビ・アンデション, リヴ・ウルマンほか。
アンドレイ・ルブリョフ 監督:アンドレイ・タルコフスキー
※15世紀初期に活躍したロシア史上最高といわれるイコン(聖像)画家、アンドレイ・ルブリョフの波乱に満ちた生涯を描いたドラマ。 当時のソ連では歴史的事実を歪曲しているとして上映禁止となった。

1960年代

1965年の映画(DVD)

1965年
アカデミー賞
★作品賞:サウンド・オブ・ミュージックロバート・ワイズ
※修道院院長は、問題児の修道女見習いマリア(ジュリー・アンドリュース)をトラップ大佐(クリストファー・プラマー)の家に送り、7人の子供たちの家庭教師とした。トラップ家に受け入れられたマリアは、やがて大佐への恋心に気づく。そのうち、第2次大戦が始まる。『ドレミの歌』をはじめ、名曲の多いホームミュージカルの傑作。第2次大戦前夜の実話がもとになっている。
★監督賞:ロバート・ワイズ「サウンド・オブ・ミュージック」
※『ウエスト・サイド物語』でミュージカルに新境地を拓いたロバート・ワイズ監督はロジャース&ハマーシュタインによるミュージカルを映画ならではの魅力的な作品に仕上げた。特に冒頭での70ミリ大画面を利用した、アルプスからザルツブルクまでの空中撮影シーンが圧巻。
★主演男優賞:リー・マービン「キャット・バルー」
※リー・マービンの出演作には、「リバティ・バランスを射った男」、「特攻大作戦」、「太平洋の地獄」、「ミステリーゾーン」がある。
★主演女優賞:ジュリー・クリスティ「ダーリング」
※ジュリー・クリスティの出演作には、「ドクトル・ジバゴ」、「華氏451」、「デモン・シード」などがある。
★助演男優賞:マーティン・バルサム「A Thousand Clowns」
★助演女優賞:シェリー・ウインタース「いつか見た青い空」

ベネチア映画祭
★作品賞:熊座の淡き星影ルキノ・ビスコンティ
※サンドラ(クラウディア・カルディナーレ)はアメリカ人の夫アンドリュー(マイケル・クレイグ)と、ニューヨークへ旅立つ前に、実家があるイタリア・トスカーナ地方のヴォルテッラへ向かう。帰郷の目的は、科学者だったがナチスに連行され、アウシュビッツで命を落とした父親の記念碑を除幕するためだった。そこへ何年も会っていない弟ジャンニ(ジャン・ソレル)が姿をあらわす。母親は心を病んで入院している。妻のことを何も知らなかったことにアンドリューは当惑を隠せない。そしていつか、サンドラとジャンニとの間の微妙な距離感も気になり始める。ギリシャ悲劇「エレクトラ」をモチーフに繊細かつ斬新な視点で姉弟の禁断の愛を描いた。
★主演男優賞:三船敏郎「赤ひげ」 監督:黒澤明
※江戸時代末期、エリート青年医師・保本登(加山雄三)は心ならずも貧民たちの施設・小石川療養所に配属される。しかし、そこで出会った「赤ひげ」の異名をとる医師・新出去定(三船敏郎)に感化され、真の人間愛にめざめていく。山本周五郎の名作を黒澤明監督が2年の歳月をかけて映画化した。
★主演女優賞:アニー・ジラルド「マンハッタンの哀愁」監督:マルセル・カルネ
※妻に裏切られ、傷心の思いでパリからマンハッタンへやって来た俳優・フランソワ(モーリス・ロネ)。そんな時、とある裏町の酒場でケイ(アニー・ジラルド)に出会い、互いに惹かれ合う。
カンヌ映画祭
★パルムドール:ナックリチャード・レスター
※テラス・ハウスの持ち主で内気な青年コリン(マイケル・クロフォード)は、女たらしの間借り人トーレン(レイ・ブルックス)を相手に、ナンシー(リタ・トゥシンハム)をめぐって恋のさやあてを繰り広げる。リチャード・レスターが2本のビートルズ映画の間に監督した伝説的カルト・ムービー。
★監督賞:リビウ・チューレイ「絞首刑の森」
★主演男優賞:テレンス・スタンプ「コレクター
※ウィリアム・ワイラー監督によるサイコサスペンス。蝶の収集を趣味とする銀行員(テレンス・スタンプ)が、蝶の代わりに女子美術大生(サマンサ・エッガー)を誘拐し、人里離れた一軒家に監禁。決して手を触れる事なく、ペットを愛玩するように優しく飼育しようとするが、彼女は脱走を試みる。
★主演女優賞:サマンサ・エッガー「コレクター」
★審査員特別賞:怪談(日)
※監督:小林正樹ラフカディオ・ハーン原作の「怪談」から、『黒髪』『雪女』『耳無芳一の話』『茶碗の中』の4篇を映画化したオムニバス作品。出演は岸恵子、仲代達矢ほか。
★国際批評家賞:
東京オリンピック(日)
※監督:市川崑。東京オリンピックの記録映画だが、市川崑監督は、これを単なる競技記録の域に留めることなく、あくまでも映画作家たる自身の作品とした。
☆Tarahumara (メキシコ)

★この年の主要な作品
気狂いピエロ 監督:ジャン=リュック・ゴダール
※パリからフランスを縦断して南仏に向かう、フェルディナン(ジャン=ポール・ベルモンド)とマリアンヌ(アンナ・カリーナ)。マリアンヌは彼をピエロと呼び、彼は「違う、フェルディナンだ」と答える。パリを去るのは日常の悪夢から脱出するため。冒険活劇漫画『ピエ・ニクレ』を携え、愛と永遠を求めてさすらう2人。だが、青春は常にアナーキーで、暴力的で、犯罪に彩られていた。2人のささやきはランボーの詩。「見つかった」「何が?」「永遠が」。
幸福 監督:アニエス・ヴァルダ
※平凡だが幸せな家庭を築いた男が、妻とは別の女性を愛しながらも幸せな家庭に執着する姿を描き、どこまでも曖昧な"幸福の形"を描き出す。出演はクレール・ドルオー、ジャン・クロード・ドルオー、ほか。
ドクトル・ジバゴ 監督:デビッド・リーン
※デビッド・リーン監督が、ロシアを舞台に壮大なスケールとロマン香る映像で綴る不朽の名作。出演はオマー・シャリフ, ジュリー・クリスティ, ジェラルディン・チャップリンほか。
素晴らしきヒコーキ野郎 監督・脚本:ケン・アナキン
※1910年、ロンドンからパリへの飛行レースが開催されることになり、世界各国から個性豊かなヒコーキ野郎たちが駆けつけてきた。出演は、スチュアート・ホイットマン、セーラ・マイルス、ジェームズ・フォックス、アルベルト・ソルディ、ジャン=ピエール・カッセル、石原裕次郎
反撥  監督:ロマン・ポランスキー
※毎晩、恋人とベッドを共にする姉を意識し、セックスに対して憧れと嫌悪の感情を抱き、やがて幻覚に悩まされていく妹キャロル(カトリーヌ・ドヌーブ)の姿を描く。
戦争と平和 監督:セルゲイ・ボンダルチュク
※トルストイの古典的名作小説を、時のソ連映画界が総力を結集して映画化した超大作。ナポレオンによるロシア侵攻を背景に、名門貴族や農民などあらゆる階級の人々の運命が国の威信をかけた壮大なスケールで描かれていく。主演はリュドミラ・サペーリエワ
愚か者の船 監督:スタンリー・クレイマー
※ヒトラーがドイツの政権を握った1933年、客船ヴェラ号は「メキシコからドイツのブレーメルハーフェンをめざして就航していた。その船には、下卑たプロ野球選手(リー・マーヴィン)、欲求不満の離婚女性(ヴィヴィアン・リー)、ナチスに心酔するほら吹き男(ホセ・フェラー)など、人生の敗残者ばかりが乗りあわせていた。又、そんな彼らを冷ややかに見つめるは小人(マイケル・ダン)が大きな役割を果たしている。
キャット・バルー 監督:エリオット・シルヴァースタイン
※1894年のワイオミング。かつて深窓の令嬢だったキャサリン(ジェーン・フォンダ)は、父親を殺し屋(リー・マーヴィン)に殺され、その復讐を誓ったことから、今では酔いどれキッド(リー・マーヴィン二役)など子分を従えた無法者集団のボスとなっていた。ナット・キング・コールの歌に乗せて、ヒロインが父の復讐を果たすまでをコミカルに描いた異色西部劇。
ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ! 
※ビートルズ全盛期の熱狂ぶりを知るアイドル映画であると同時に、コメディとしてもミュージカルとしても面白い傑作。

1960年代

1964年の映画(DVD)

1964年
アカデミー賞
★作品賞:マイ・フェア・レディジョージ・キューカー
※下町の花売り娘が社交界レディに変身するまでを描いた、オードリー・ヘップバーン主演による不朽の傑作ミュージカル。
★監督賞:ジョージ・キューカー「マイ・フェア・レディ」
※女優の魅力を引き出す監督としてハリウッドに名を残すジョージ・キューカーは、アラン・ジェイ・ラーナー(脚本、作詞)とフレデリック・ロウ(作曲)のコンビによる本作で、オードリー・ヘプバーンを、貧しく乱暴な女から礼儀正しい淑女に変身させた。
★主演男優賞:レックス・ハリソン「マイ・フェア・レディ」
※レックス・ハリソンはイライザを教育する言語学者ヘンリー・ヒギンズを演じた。ハリソンは舞台でも、ジュリー・アンドリュースと共演で、同じ役に扮している。
★主演女優賞:ジュリーアンドリュース「メリーポピンズ
※監督:ロバート・スティーブンソンディズニーによる、実写とアニメを織り交ぜたミュージカル。傘を手に風に乗ってやって来たメリーポピンズ(ジュリー・アンドリュース)は、子どもたちが思い描いた理想の家政婦。メリーポピンズの友人、煙突掃除人のバートにはディック・ヴァン・ダイク。劇中に歌われる曲はどれも素晴らしい。
★助演男優賞:ピーター・ユスチノフ「トプカピ」
※ピーター・ユスチノフの他の出演作に、「地中海殺人事件」、「ナイル殺人事件」、声で出演したディズニーの「ロビンフッド」などがある。
★助演女優賞:リラ・ゲドロヴァその男ゾルバ
※監督・製作・脚色:マイクル・カコヤニス。父の遺産の炭鉱再開のためギリシャのクレタ島に来た英国人作家バジル(アラン・ベイツ)。エネルギッシュで楽天家のギリシャ人ゾルバ(アンソニー・クイン)。生き方も性格も異なる2人の男が偶然出会い、マダム・ホーテンス(リラ・ケドロヴァ)の経営するホテルに住むことになった。その村には半ば村八分気味の未亡人(イレーネ・パパス)がいた。

ベネチア映画祭
★作品賞:赤い砂漠ミェランジェロ・アントニオーニ
※イタリアの工業都市を舞台に、精神が不安定な女性(モニカ・ビッティ)の心の空洞を描き出す。
★主演男優賞:トム・コートネイ「銃殺」
※トム・コートネイの他の出演作は、「将軍たちの夜」「ミラクル*ショー〜ハロルド・スミスに何が起こったか?〜」「ドクトル・ジバゴ」「キング・ラット」がある。
★主演女優賞:ハリエット・アンデーション「愛する」

カンヌ映画祭
★パルムドール:シェルブールの雨傘ジャック・ドゥミ
※フランスの港町シェルブール。傘屋の娘(カトリーヌ・ドヌーヴ)と自動車修理工の青年(ニーノ・カステルヌオーヴォ)が恋に落ち、結婚の約束を誓い合うが、やがて青年はアルジェリア出征に徴兵され、戦地で消息を絶つ。ドヌーヴ19歳。
★主演男優賞:
☆アンタール・バーゲル「ひばり」
サーロー・ウルツィ誘惑されて棄てられて
※監督:ピエトロ・ジェルミ。シシリー地方にすむ若者ペチーノ(アルド・プリージ)は、ある日婚約者の妹アネーゼ(ステファニア・サンドレッリ)に無理やり手を出して妊娠させてしまった。彼女の父や親類は激怒しつつも体面を気にしてふたりを結婚させようとする。
★主演女優賞:
☆アン・バンクロフト「女が愛情に渇くとき」
☆バーバラ・バリー「わかれ道」
★審査員特別賞:砂の女(日)
※監督:勅使河原宏。原作・脚本:安部公房。砂丘地帯に昆虫採集にやってきた高校教師(岡田英次)は、その砂の穴の中で暮らす後家(岸田今日子)の家に一夜の宿を借りる。しかし、次々とこぼれ落ちる砂をかきだしているうちに、教師はその穴の中から脱出できなくなっていることに気づき、もがき、そしていつしか後家と情欲で結ばれ、その穴の中に同化していく。
★国際批評家賞:パサジェルカ(ポーランド)

★この年の主要な作品
博士の異常な愛情 監督:スタンリー・キューブリック
※正式な題名は『博士の異常な愛情/または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』。アメリカ空軍基地の司令官リッパー将軍(スターリング・ヘイドン)が突然発狂し、ソ連の戦略核基地攻撃命令を出してしまう。しかし、ソ連側は攻撃を受けると自動的に反撃する、人類滅亡爆弾で応戦。緊迫した状況のなか、ついに両国主脳はホットラインで和解する。だがただ1機、コング少佐(スリム・ピケンズ)のB−52が、それを知らずに任務を遂行してしまう。ピーター・セラーズが、米大統領、英国軍大佐、ストレンジラブ博士の1人3役を怪演。ジョージ・C・スコットも好戦的な軍人、タージドソン将軍をユーモラスに演じた。
007 ゴールドフィンガー 監督:ガイ・ハミルトン
※シリーズ第3弾。イギリスの金が大量に国外へ流出した。黒幕は世界有数の億万長者ゴールドフィンガー(ゲルト・フレーベ)。ボンド(ショーン・コネリー)はゴールドフィンガーに接近し、彼の陰謀をはばもうとする。その陰謀の標的は、アメリカの金塊保管所だった。シャーリー・バッシーの主題歌、ボンド・カーとしてさまざまな機能を持つアストン・マーティンなど楽しみがいっぱいだし、ボンドガールも、金粉を塗られて殺される美女にシャーリー・イートンほか、オナー・ブラックマン、タニア・マレットと多彩。また、日系レスラー、ハロルド坂田の怪演も見もの。
昨日・今日・明日 監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
※イタリア人らしいエロティックな風味がたっぷりな艶笑喜劇。失業中の夫をささえて、ヤミタバコを売っているが、刑を逃れる為四六時中妊娠している女を描く第1話。若い男を誘い込んでばかりいる金持ちの人妻を描く第2話。神学生が夢中になったコールガールの話を描く第3話というセックスにまつわる3話のオムニバス構成。主演はソフィア・ローレンマルチェロ・マストロヤンニ
奇跡の丘 監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ
※マタイ伝をもとにキリストを一人の人間として描いた。公開前は神を冒瀆したと非難攻撃されたが、やがて、「聖書をテーマにした最も感動的な映画」と評価された。
荒野の用心棒  監督:セルジオ・レオーネ
※ニューメキシコ国境の町サン・ミゲル。ふたつの無法者勢力が争い続けるこの町に、ふらりと現れた風来坊ガンマン(クリント・イーストウッド)は、互いの勢力をうまくだましながら、それぞれを破滅へと追いやっていく。黒澤明監督の『用心棒』を翻案し、1960年代マカロニ・ウェスタンの一大ブームを築き上げた記念碑的作品。エンニオ・モリコーネの音楽も効果をあげた。

1960年代

1963年の映画(DVD)

1963年
アカデミー賞
★作品賞:」トム・ジョーンズの華麗な冒険トニー・リチャードソン
※原作はヘンリー・フィールディングの長編小説「トム・ジョーンズ」。18世紀のイギリス、大地主オールワーシー家の養子として育てられたトム・ジョーンズ(アルバート・フィニー)は、近くの地主の娘ソフィ(スザンナ・ヨーク)と愛し合うようになるが、トムを嫌う者の策略で家を勘当され、ひとりロンドンへと赴くが……。アカデミー賞は他に、脚色、作曲賞も受賞。気持ちよく楽しめる映画。
★監督賞:トニー・リチャードソン「トム・ジョーンズの華麗な冒険」
※リチャードソン監督作品には他に、「長距離ランナーの孤独」、「ホテル・ニューハンプシャー」、「遥かなる戦場」、遺作となった「ブルー・スカイ」等がある。
★主演男優賞:シドニー・ポワチエ野のユリ
※製作・監督:ラルフ・ネルソン 。アリゾナの砂漠地帯を気ままに旅する黒人青年ホーマー(シドニー・ポワチエ)は、東ドイツからの亡命者であるマザー・マリア(リリア・スカラ)ら5人の修道女と出会い、言葉も通じないままに否応なく荒地に教会を建てるための手伝いをさせられる。がめつくしたたかな修道女たちと主人公の交流が実におかしい。「手錠のままの脱獄」で黒人として異例の大スターとなったシドニー・ポワチエは「野のユリ」でついに黒人初の主演男優賞を受賞した。但し、黒人俳優のオスカー受賞は過去に「風と共に去りぬ」でハティ・マクダニエルが助演女優賞を受けているので二度目となる。
★主演女優賞:パトリシア・ニールハッド
※監督:マーティン・リット(P・ニューマンのアクターズ・スタジオ時代の講師でもある)。兄を飲酒運転で死なせてしまった過去を背負い、酒と女に溺れる日々を過ごすハッド(ポール・ニューマン)と一代で大牧場を築き上げた父(メルヴィン・ダグラス)。二人は牧場の運営を巡って対立する。パトリシア・ニールは中年家政婦アルマ・ブラウンを演じた。
★助演男優賞:メルビン・ダグラス「ハッド」
※裸一貫で自分の牧場を築き、石油には見向きもせず、ロングホーンの育成に情熱を燃やす父ホーマー役。「ニノチカ」では映画で初めてグレタ・ガルボを笑わせたレオンを演じた。
★助演女優賞:マーガレット・ラザフォード「予期せぬ出来事」
アガサ・クリスティーミス・マープルシリーズではタイトルロールを。

ベネチア映画祭
★作品賞:Le Mani Sulle Citta(フランチェスコ・ロージ)
★主演男優賞:アルバート・フィニー「トム・ジョーンズの華麗な冒険」
★主演女優賞:デルフィーヌ・セイリグミュリエル
※ 監督:アラン・レネ。アルジェ紛争で心に深い傷を負いながら骨董屋の未亡人エレーヌは養子のベルナールと2人暮らしをしていたが…。デルフィーヌ・セイリグの他の出演作は、アラン・レネ監督「去年マリエンバートで」、ルイス・ブニュエル監督「ブルジョワジーの密かな愉しみ」「銀河」、『愛人(ラマン)』の原作者マルグリット・デュラスが、自ら監督・脚本を務めた「インディア・ソング」、 フレッド・ジンネマン監督「ジャッカルの日」、ジャック・ドゥミ監督「ロバと王女」などがある。

カンヌ映画祭
★パルムドール:山猫 (ルキノ・ビスコンティ
※イタリアで統一戦争が起きていた1860年の春、シチリア島で山猫の紋章をあつらい300年の栄華を誇るサリーナ家のドン・ファブリッツオ公爵(バート・ランカスター)は貴族支配の時代がまもなく終わろうとしていることを自覚しつつも気丈に振舞い続ける。やがて騒乱が終わりを告げ、公爵は甥のタンクレディ(アラン・ドロン)と新興ブルジョアの娘アンジェリカ(クラウディア・カルディナーレ)との婚約を発表し、舞踏会を開く。1時間あまりに及ぶ豪華絢爛たる舞踏会シーンは圧巻だが、その喧騒をよそに感慨にふけるバート・ランカスターの名演。
★主演男優賞:リチャード・ハリス孤独の報酬
リチャード・ハリスはアイルランドの俳優。ミュージカル『キャメロット』に主演後、知的さと男臭さを伴わせた演技で『ジャガーノート』、『カサンドラ・クロス』、『ワイルド・ギース』といったアクション映画を中心に活躍。1990年『フィールド』で27年ぶりにアカデミー主演男優賞にノミネートされる。「ハリー・ポッターと秘密の部屋 」「ハリー・ポッターと賢者の石」で魔法学校の校長アルバス・ダンブルドアを好演。
★主演女優賞:マリナ・ブラディ「女王蜂」
★審査員特別賞:
切腹(日)
※監督:小林正樹。井伊家屋敷に「切腹の為お庭拝借!」と津雲半四郎(仲代達矢)と名乗る浪人が訪れる。家老、斉藤陰衛(三國連太郎)はたかりだと勘繰るが、半四郎の口からは、次々と人間性を抑圧する武士社会の虚飾と残酷さが暴かれていった。
猫に裁かれる人たち(チェコ)
※チェコのとある町にやって来たサーカス一座。美女ダイアナが抱くサングラスをかけた猫が視線を向けると、人々はそれぞれの本性を現わす色に染まり始める。独特の色彩感覚が全編を彩る奇妙で詩的な猫ファンタジー。
★国際批評家賞:
☆孤独の報酬(英)
※監督:リンゼイ・アンダーソン。愛のために、鉱夫から一躍プロラグビーの花形となった一人の男だが、恋愛では葛藤と苦悩を得たに過ぎなかった。
☆Les Abysses(仏)
☆Le Joli Mai(仏)

★この年の主要な作品
大脱走 監督:ジョン・スタージェス
※第2次世界大戦下、ドイツ軍は、脱走不可能な収容所を作った。連合軍兵士たちは、収容されるやいなや脱走を敢行、しかし失敗する。だが将兵たちは知恵を絞り、なんと計250人の集団脱走を計画する。そして実行当日を迎えた。スティーブ・マックィーン、ジェイムズ・ガーナ、チャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーンら、オールスターキャストで描く傑作エンターテイメント。エルマー・バーンスタインの『大脱走マーチ』にのって、痛快無比な男のドラマが展開する。
 監督:アルフレッド・ヒッチコック 
※サンフランシスコ近郊の漁村で、新聞社社長令嬢メラニー(ティッピー・ヘドレン)が1羽のカモメに額をつつかれた。やがて、無数の鳥たちが街全体を襲撃するようになる。出演は他に ロッド・テイラー, ジェシカ・タンディ
シャレード 監督:スタンリー・ドーネン
※謎の25万ドルを巡る事件に美しき未亡人(オードリー・ヘップバーン)が巻き込まれていく。共演はケーリー・グラント
クレオパトラ  監督:ジョセフ・L・マンキーウィッツ
※紀元前48年、エジプトに侵攻したシーザー(レックス・ハリソン)は、王の姉クレオパトラ(エリザベス・テイラー)に魅せられ、彼女を女王に据えるが、やがてシーザーは暗殺される。クレオパトラはその後アントニー(リチャード・バートン)と結ばれるが…。映画史上もっとも金と時間がかかった作品と言われ、製作時トラブルが続発し、社長の退陣など20世紀FOXの屋台骨が一時傾いた。
ディメンシャ13 監督:フランシス・フォード・コッポラ
※アイルランドの古城で、ひとりの娘が殺された。それから数十年後、まるで彼女の呪いであるかのように、城の住人が次々と惨殺されていく。B級映画の王者ロジャー・コーマンが、UCLA在学中より注目していたコッポラを監督に抜擢して製作したホラー。日本では劇場未公開。
軽蔑 監督:ジャン=リュック・ゴダール
※売れない劇作家・ポール(ミシェル・ピコリ)は妻・カミーユ(ブリジット・バルドー)のために映画脚本の手直しを引き受けるが…。当時、自身も妻アンナ・カリーナとの関係で悩んでいたとされるゴダールが、自己の苦悩を投影させた。伝説的監督フリッツ・ラングが、重要な役回りで出演。アメリカ人プロデューサーにジャック・パランス
沈黙 監督:イングマール・ベルイマン
※言葉の通じないティモカという街にやって来たエステルとアンナの姉妹と妹の息子。欲望の赴くまま男と自分の部屋で愛し合う妹と、虚しさのあまり酒を飲み、ひとり自慰に耽る姉との確執を描いた作品。濃密な官能描写にわが国では初めて成人指定を受けた。「鏡の中にある如く」「冬の光」に次ぐ、ベルイマン "神の沈黙" 三部作の終章!!出演はイングリット・チューリン、グンネル・リンドブロム、ヨルゲン・リンドストレム、ビルイェル・マルムステーン、他。
007/ロシアより愛をこめて  監督:テレンス・ヤング
※イスタンブールのソ連情報部に勤務する女性タチアナ(ダニエラ・ビアンキ)から、ボンド(ショーン・コネリー)に会いたいという手紙が届いた。土産は最新暗号解読器。できすぎた話ではあるが、Mの命令によりボンドはイスタンブールへ向かう。シリーズ最高の面白さと定評ある第2作。
◆おかしなおかしなおかしな世界 監督:スタンリー・クレイマー
◆81/2 監督:フェデリコ・フェリーニ

1960年代

1962年の映画(DVD)

1962年
アカデミー賞
★作品賞:アラビアのロレンスデビット・リーン
※第一次世界大戦下、ドイツと手を組んだトルコ帝国の圧政下にあったアラブの独立に燃えたT.E.ロレンス(ピーター・オトゥール)は、独自のゲリラ隊を指揮し、アラブの救世主と称えられるようになる。しかし、やがて英国軍上層部に利用されていたことを知る。ロレンスの栄光と挫折を砂漠を舞台に描く。主な出演はオマー・シャリフ, アレック・ギネス, アンソニー・クイン, ホセ・ファーラー
★監督賞:デビット・リーン「アラビアのロレンス」
※砂漠の恐ろしさと美しさを撮るために、リーン監督は3ヶ月かけて鉄のレールを敷いた。
★主演男優賞:グレゴリー・ペックアラバマ物語
ロバート・マリガン監督。1930年代のアメリカ南部。白人少女を暴行した罪で起訴された黒人を弁護することになった弁護士フィンチ(グレゴリー・ペック)は、町の人々から白い眼で見られながらも正義を通そうとする。その一方フィンチのふたりの子供によって、近所の幽霊屋敷に住むブーという謎の男にまつわるエピソードが並行してつづられていく。フィンチはアメリカンヒーローの第一位に選ばれた事もある。
★主演女優賞:アン・バンクロフト奇跡の人
※監督:アーサー・ペン。熱病により、目も見えず、耳も聞こえず、言葉も話せなくなった三重苦の少女ヘレン(パティ・デューク)のもとへ、家庭教師としてサリヴァン女史(アン・バンクロフト)が雇われた。盲目の彼女は、まるで野獣のようにふるまうヘレンに厳しく接しながら指文字を教え、やがて彼女に新しい世界を見出させていく。
★助演男優賞:」エド・ベグリー「乾いた大地」
★助演女優賞:パティ・デューク「奇跡の人」
※パティ・デュークは、1959年からブロードウェイの舞台で2年間ヘレン・ケラーを演じている。また、1979年のリメイク版ではサリバン先生を演じた。

ベネチア映画祭
★作品賞:
☆家族日記(バレリオ・ズルニーニ)
僕の村は戦場だったアンドレイ・タルコフスキー
※斥候兵として戦場を駆け回る少年の脳裏に浮かぶのは、戦禍で失われた美しい故郷と家族の思い出だった。タルコフスキー監督の長編デビュー作。
★主演男優賞:バート・ランカスター「終身犯
※監督: ジョン・フランケンハイマー。内向的で人付き合いの下手な囚人ストラウド(バート・ランカスター)は、服役中に残酷な殺人を犯したが、その後は鳥類とその病気についての研究で国際的な権威となる。共演は、ネビル・ブランド(看守)、テリー・サバラス(隣のお喋りな囚人)、セルマ・リッター(母親)カール・マルデン(乱暴な看守長)など。
★主演女優賞:エマニュエル・リバ「テレーズ・デケイルー」

カンヌ映画祭
★パルムドール:サンタ・バルバラの誓い(アンセルモ・ドゥアルテ)
★主演男優賞:
☆マレー・メルビン「蜜の味」
☆ディーン・ストックウェル、ラルフ・リチャードソン、ジェイソン・ロバーズ
「Long Day's Journey into the Night」
★主演女優賞:
☆リタ・トゥシンハム「蜜の味」
☆キャサリン・ヘプパーン「Long Day's Journey into the Night」
★審査員特別賞:
ジャンヌ・ダルク裁判(仏)
※監督:ロベール・ブレッソン。魔女裁判にかけられ、死を恐れながらも最期まで屈することのなかったジャンヌ・ダルク(フロランス・カレ)の生涯を、現存する裁判記録をもとに映画化。
☆太陽はひとりぽっち(伊)
★国際批評家賞:皆殺しの天使(メキシコ)

★この年の主要な作品
007 ドクター・ノオ 監督:テレンス・ヤング
ショーン・コネリーが32歳の時に主役を演じた、記念すべきシリーズ第1作。美しいカリブ海を舞台に、宿敵スペクターと戦う。ウルスラ・アンドレス演じるハニー、ジョセフ・ワイズマンのドクター・ノオなど、個性豊かな登場人物が楽しい。
世界残酷物語 監督:グァルティエロ・ヤコペッティ
※世界中の残酷で奇怪な風習を集めたドキュメンタリー。この衝撃の映像はやらせか!? それとも事実なのか!?
ロリータ 監督:スタンリー・キューブリック
※アメリカの田舎町にやって来た中年紳士ハンバート(ジェームズ・メイスン)。彼は下宿先の未亡人シャーロットに求愛されるが、彼女の娘ロリータ(スー・リオン)に心を奪われる。美しい少女への禁断の愛に苦しみ、やがて自滅していく中年男の悲哀を、官能的な映像とともに淡々と描いていく。
酒とバラの日々 監督:ブレイク・エドワーズ
※サラリーマンのジョー(ジャック・レモン)は激務を紛らわすために酒を飲むようになり、妻カーステン(リー・レミック)も、彼に付き合ううちに酒の虜となっていく。やがてカーステンは酒のためにアパートを全焼させ、またジョーは酒で会社をクビになる。酒のために身を滅ぼしていく一組の夫婦の姿をリアルに描いたシリアスドラマの秀作。
史上最大の作戦  監督:ケン・アナキンなど4名。
※第2次世界大戦の運命を決定づけた連合軍のフランス・ノルマンディ上陸作戦の全貌を完全再現。1944年6月4日未明、独のロンメル元帥は休暇をとって家族の元へ帰ろうとしていた。連合軍の大陸進入が迫りつつある事は察知していたが、おりしもドーバー海峡は30年ぶりの暴風雨で上陸可能な気象状況ではなかった。同日、南部イングランドではアイゼンハワー将軍により、6月6日、上陸作戦遂行の決定が下された。出演は、ジョン・ウェイン, ヘンリー・フォンダ, クルト・ユルゲンス, ヴェルナー・ハインツ, ロバート・ミッチャム
恋人よ帰れ 監督:デルバート・マン
※広告を取るためなら手段を選ばない広告代理店のエリート社員(ロック・ハドソン)と、それに立ち向かうひとりの女(ドリス・デイ)の姿を描いたドラマ。コミカルなギャグの連続が心地よい。

1960年代

1961年の映画(DVD)

1961年
アカデミー賞
★作品賞:ウエスト・サイド物語ロバート・ワイズ、ジェローム・ロビンス
※ニューヨークのウエスト・サイド。リフ(ラス・タンブリン)率いるポーリッシュの「ジェッツ」と、ベルナルド(ジョージ・チャキリス)率いるプエルトリカンの「シャークス」は、何かにつけ対立していた。ダンスパーティが開かれ、トニー(リチャード・ベイマー)とマリア(ナタリー・ウッド)はひと目で恋に落ちた。しかし、トニーはリフの親友、マリアはベルナルドの妹だった。原案ジェローム・ロビンズ、脚本アーサー・ローレンツ、歌詞スティーヴン・ソンドハイム、音楽レナード・バーンスタイン
★監督賞:ロバート・ワイズ、ジェローム・ロビンス「ウエストサイド物語」
※アメリカの人種問題、非行問題に真正面から取り組み緊迫感に満ちたミュージカル映画に仕上げた。
★主演男優賞:マクシミリアン・シェル「ニュールンベルグ裁判」
★主演女優賞:ソフィア・ローレン「ふたりの女」
★助演男優賞:ジョージ・チャキリス「ウエストサイド物語」
★助演女優賞:リタ・モレノ「ウエストサイド物語」
※ベルナルドの恋人アニタ。ダイナミックなダンスと歌で強烈な存在感を示す。

ベネチア映画祭
★作品賞:去年マリエンバードで(アラン・レネ)
★主演男優賞:三船敏郎「用心棒」 
※監督:黒澤明。ふたつの勢力が対立している宿場町にふらりと現れた謎の浪人。桑畑三十郎(三船敏郎)と名乗る彼は、両方の親分に自分を用心棒として売り込みつつ、双方を巧みに争わせて壊滅に追い込んでいく。後にイタリアで『荒野の用心棒』、アメリカで『ラストマン・スタンディング』とリメイクされた。
★主演女優賞:シュザンヌ・フロン「汝殺すなかれ」

カンヌ映画祭
★パルムドール:
☆ビリディアナ(ルイス・ブニュエル)
☆かくも長き不在(アンリ・コルビ)
★監督賞:ユーリア・ソーンチェワ「戦場」
★主演男優賞:アンソニー・パーキンス「さよならをもう一度」
★主演女優賞:ソフィア・ローレン「ふたりの女
※第二次大戦下、夫を失った母娘が疎開先で一人の青年と親しくなるが、彼はドイツ兵に道案内として連れ去られる。そして二人は、ローマへ帰る途中で兵士たちに強姦され、感情を失う。二人の感情が戻ったのは、青年の訃報が届いたときだった。ジャン=ポール・ベルモンドが共演。
★審査員特別賞:尼僧ヨアンナ(ポーランド)
★国際批評家賞:
☆LEMANO EN LA TRAMPA(アルゼンチン)
☆ある夏の記録(仏)

★この年の主要な作品
ティファニーで朝食を 監督:ブレイク・エドワーズ
※猫と暮らすホリー(オードリー・ヘプバー)の隣に越してきた小説家志望の青年・ポール(ジョージ・ペパード)は、ホリーの不思議な魅力にとらわれてしまい…。ヘンリー・マンシーニ作曲の「ムーン・リバー」も大ヒット。
ハスラー 監督:ロバート・ロッセン
※若きハスラーのエディ(ポール・ニューマン)は、名人ミネソタ・ファッツ(ジャッキー・グリーソン)に勝負を挑み、前半はリードするがやがてボロ負けし、酒浸りの生活へと転落。しかし、愛人サラ(パイパー・ローリー)の自殺を機に、再びファッツに挑戦する。アンチヒーローの先駆け的な映画。
草原の輝き 監督:エリア・カザン
※ハイスクールの同級生であるバッド(ウォーレン・ビーティ)とディーン(ナタリー・ウッド)は、相思相愛ながらも素直になれず、やがて2人の別離という悲劇を生み出してしまう…。
ナバロンの要塞 監督:J.リー・トンプソン
※第2次世界大戦下の1943年。エーゲ海ナバロン島のドイツ軍要塞を爆破すべく、イギリス軍のフランクリン少佐(アンソニー・クエイル)は登山家のキース・マロリイ大尉(グレゴリ―・ペック)、元ギリシャ軍スタヴロウ大佐(アンソニー・クイン)、科学者で爆破専門のミラー伍長(デヴィッド・ニヴン)、ナイフの名人ブラウン無線兵(スタンリー・ベイカー)、ナバロン島生れのパパディモス1等兵(ジェームズ・ダーレン)の5人をナバロン島へ向け、出発させるが・・・。
突然炎のごとく 監督:フランソワ・トリュフォー
※親友同士のジム(アンリ・セール)とジュール(オスカー・ウェルナー)は、ある日美しい娘・カトリーヌ(ジャンヌ・モロー)と出会い、ふたりとも心を奪われる。熱烈なアタックをしたジュールは彼女と結婚し、ジムを残し祖国へと連れ帰ってしまう。そして、数年後ジムがひょっこりジュールを訪ねる。
鏡の中にある如く 監督・脚本:イングマール・ベルイマン
※ベルイマン「神の沈黙」3部作の第1弾。娘カーリンと息子ミヌスを連れて保養にやってきたダヴィドは、娘の夫から彼女が精神分裂症にかかり先行きが暗いことを告げられる。それを知ったカーリンは錯乱状態に陥りミヌスの童貞を奪う。精神分裂症の娘を中心に、父親、弟、娘の夫、それぞれの心の悩みを描く。

1960年代

1960年の映画(DVD)

1960年
アカデミー賞
★作品賞:アパートの鍵貸しますビリー・ワイルダー
※独身の平社員バド(ジャック・レモン)は、出世の糸口として上司の逢い引きに、自分のアパートの部屋を提供することを思いつく。ところがある日、人事部長が自分の部屋に連れ込んできた会社のエレベーターガール(シャーリー・マクレーン)は、バドが密かに思いを寄せる女性だった。サラリーマンの悲哀をペーソス豊かにつづったソフィスティケーションコメディ。
★監督賞:ビリー・ワイルダー「アパートの鍵貸します」
※「ビリー・ワイルダー監督は、その内側に毒と牙を隠し持った狼である」瀬戸川猛資著『夢想の研究―活字と映像の想像力』より。
★主演男優賞:バート・ランカスターエルマー・ガントリー
※口八丁手八丁で女を乗り換えていく詐欺師まがいの男エルマー(バート・ランカスター)は、聖処女とも呼ばれる新興宗教団体の伝道師シャロン(ジーン・シモンズ)に一目ぼれし、彼女の気を引きたい一心で信徒拡大に取り組む。だが、かつて彼のために娼婦となってしまった女ルルが現れ、エルマーの黒い過去が暴かれてしまう。社会派リチャード・ブルックス監督によるヒューマン大作。
★主演女優賞:エリザベス・テーラーバターフィールド8
※監督:ダニエル・マン。モデルとは名ばかりの、“バターフィールド8”の番号で呼び出されるコールガール・グロリア。様々な男に体を売る彼女だが、妻子ある男性を真剣に愛してしまった。そして悲劇は不意に訪れる。共演は、ローレンス・ハービー, エディ・フィッシャー
★助演男優賞:ピーター・ユスティノフスパルタカス
※監督:スタンリー・キューブリック。ローマ帝国時代、当時の大将軍クラサスに対して、勇敢にも反乱軍を組織し立ち上がったトラキア人の剣闘士奴隷スパルタカス(カーク・ダグラス)の生涯。降伏後、スパルタカスを指し示せ、そうすれば命は助けてやるといううクラサスに対し、口々に“I'm Spartacus!”と叫んで立ち上がる仲間たち。ピーター・ユスティノフは鉱山採掘奴隷だったスパルタカスを剣闘士にするために買う奴隷商人バタイアタスを演じた。他に、クラサスにローレンス・オリヴィエ、スパルタカスが愛した女性バリニアにジーン・シモンズ。 
★助演女優賞:シャーリー・ジョーンズ「エルマー・カントリー」
※シャーリー・ジョーンズは娼婦ルル役で受賞。

ベネチア映画祭
★作品賞:ラインの仮橋(アンドレ・カイヤット
★主演男優賞:ジョン・ミルズ「栄光の旋律」
★主演女優賞:シャーリー・マクレーン「アパートの鍵貸します」

カンヌ映画祭
★パルムドール:甘い生活フェデリコ・フェリーニ
※作家を夢見てローマに出てきたが、今はゴシップ記者のマルチェロ(マルチェロ・マストロヤンニ)。彼が大富豪の娘(アヌーク・エイメ)と一夜を共にし、帰宅すると同棲相手が自殺未遂。取材で知り合ったハリウッド・スター(アニタ・エクバーグ)にはさんざん振り回され、唯一のより所でもあった知的な友人は、子どもと一緒に自殺してしまう。ショックを受けたマルチェロは乱痴気パーティへと興じていく。
★監督賞:該当なし
★主演男優賞:該当なし
★主演女優賞:ジャンヌ・モロー「雨のしのび逢い」
      メリナ・メルクーリ「日曜はダメよ」
★審査員特別賞:情事(ミケランジェロ・アントニオーニ)、鍵(市川昆
★国際批評家賞:処女の泉イングマル・ベルイマン
※キリスト教を深く信仰する娘カーリン(ビルギッタ・ペテルセン)が、その優しさが仇となり3人の男に犯され殺されてしまう。カーリンの父トーレ(マックス・フォン・シドウ)は男を殺し復讐を果たすが罪の意識に苛まれていく。

★この年の主要な作品
太陽がいっぱい 監督:ルネ・クレマン
※貧乏なアメリカ青年トム(アラン・ドロン)は、金持ちの息子フィリップ(モーリス・ロネ)を連れ戻すため、ナポリにやってきた。フィリップにねたみを覚えたトムは、殺して恋人(マリー・ラフォレ)と裕福な生活を手に入れようとする。そして計画どおり殺害し、自殺に見せかけるが…。原作は、パトリシア・ハイスミスアンリ・ドカエの美しい映像と、ニーノ・ロータの名旋律が印象的だ。
許されざる者 監督:ジョン・ヒューストン
※長男でベン(バート・ランカスター)の下、平和に牧場を営むザカリー一家。美しく成長した養女のレーチェル(オードリー・ヘプバーン)は近くの牧場の長男チャーリーと婚約していた。ところが、不気味な老人がレーチェルにはインディアンの血が流れているという噂を広める。やがてカイオワ族の酋長がベンの前に現れ、幼い時に別れた妹を返せと迫る。要求を拒絶するベン。だが、婚約者チャーリーがカイオワ族に惨殺され、ザカリー一家は孤立する。ヘップバーン唯一の西部劇。
荒野の七人 監督:ジョン・スタージェス
※毎年、野盗に襲われるメキシコの寒村イストラカン。村の長老は助っ人を雇うことを決意する。わずかな報酬にすぎなかったが、農民達の熱意に打たれて、クリス(ユル・ブリンナー)、ヴィン(スティーブ・マックィーン)、オライリー(チャールズ・ブロンソン)、ブリット(ジェームズ・コバーン)、チコ(ホルスト・ブーフホルツ)、リー(ロバート・ヴォーン)、ハリー(ブラッド・デクスター)ら、7人のガンマンが集まってきた。黒澤明『七人の侍』をモチーフに作られた映画。
サイコ 監督:アルフレッド・ヒッチコック
※顧客の金4万ドルを横領して逃亡するマリオン・クレーン(ジャネット・リー)は一軒のさびれたモーテルへ宿泊する。経営者の青年ノーマン・ベイツ(アンソニー・パーキンス)と語り合うことで、もう一度、やり直すことを決心するが、サスペンスはそこから始まる。「シャワー殺人」のシーンはスリラー映画史上空前の反響を呼び、その後多くの模倣やパロディを生んだ。
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